債務整理の手続きを依頼する選択肢としては、弁護士と司法書士があります。司法書士の方が相談しやすいと感じる方もいるかもしれませんが、弁護士と司法書士とでは対応できる業務範囲に大きな違いがあります。
「弁護士と司法書士に依頼するのとで何が違うの?」「結局、どちらがおすすめなの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
今回は、債務整理の依頼先を迷っている方に向けて、「弁護士と司法書士の違い」「司法書士と弁護士それぞれのメリット」「債務整理の依頼先としてどちらがおすすめか」を解説します。
債務整理の依頼について弁護士と司法書士の違い
弁護士は、法律にかかわる身の回りの困りごとや事件について、法的なアドバイスを与えたり、代理人として対応したりして、紛争の予防・解決をする法律の専門家です。債務整理については、債務額の制限なく、交渉から裁判まですべて対応できます。
司法書士は、登記手続きや書類作成の代行を業務とする士業です。債務整理の場面では、自己破産や個人再生の申立書や添付書類の作成が主な業務内容でした。
2023年に認定司法書士の制度が始まったことで、債務額が140万円以下の案件については、認定司法書士が代理人として活動できるようになりました。そのため、現在では、書類作成だけでなく債務整理の代理人業務を専門分野として活動する司法書士も多くいます。
弁護士 | 司法書士 | |
140万円以下の案件の交渉・訴訟 | 〇 | 〇 |
140万円を超える案件の交渉・訴訟 | 〇 | × |
自己破産や個人再生の書類作成 | 〇 | 〇 |
自己破産や個人再生の代理人業務 | 〇 | × |
債務整理を司法書士に依頼するメリット
債務整理を司法書士に依頼するメリットは、弁護士よりも費用が安く抑えられる可能性がある点です。
同じ業務を司法書士と弁護士に依頼した場合、司法書士の方が安い費用で対応していることが多いでしょう。一般的には、弁護士よりも司法書士の方が敷居が低く、相談しやすいのもメリットと言えます。
しかし、司法書士でも弁護士と変わらない料金体系を採用しているところもあります。費用を抑えるために司法書士を利用するのであれば、事前に相場を確認しておくのがおすすめです。
債務整理を弁護士に依頼するメリット
債務整理を弁護士に依頼するメリットは、次の3点です。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
対応できる金額の制限がない
弁護士は、債務額に関係なくすべての案件に対応できます。
司法書士の場合、1社で140万円を超える案件については訴訟対応はもちろんのこと、交渉もできません。
複数の借金について債務整理を検討している場合、1社でも140万円を超える債務があると司法書士だけでは対応できません。司法書士に任意整理を依頼中に140万円を超える過払い金が発覚したときは、弁護士に切り替える必要があります。
複数の借金を抱えている場合や過払い金が発生する可能性がある場合には、はじめからすべての案件に対応できる弁護士に依頼しておく方が安心です。
自己破産や民事再生の代理人になれる
弁護士は自己破産や民事再生の手続きを依頼した場合、書類作成だけでなく代理人として対応できます。
司法書士に自己破産や民事再生を依頼した場合、書類作成やアドバイスは受けられますが、裁判所への書類提出や裁判官とのやり取りは自分自身で行わなければなりません。
自己破産や民事再生では、借金の状況や債権者の対応によって複雑なやり取りが必要なケースもあります。弁護士に手続きを依頼すれば、弁護士が代理人としてすべてやり取りしてくれるので、不安なく手続きを進められます。
早期の解決が期待できる
弁護士はすべての案件に対応できるので、業務範囲を気にせずに解決のために最適な手段を選択できます。そのため、手続きがスムーズに進行して問題の早期解決が期待できるでしょう。
自己破産や民事再生については、本人が申し立てる場合(書類作成を司法書士が担当した場合も含む)と弁護士が代理人として申し立てる場合で手続きの進行方法が異なる裁判所もあります。手続きの進行方法が同じ場合でも、弁護士が裁判所と直接やり取りをすることでスムーズな進行が期待できます。
債務整理の問題を早く解決したいのなら、交渉から裁判まですべてを任せられる弁護士への依頼がおすすめです。
債務整理の依頼は弁護士がおすすめ
債務整理は、弁護士に依頼することをおすすめします。特に、高額の債務を抱えている人や複数の借金を抱えている人は、業務範囲の制限がない弁護士を選ぶようにしてください。
司法書士への依頼については、業務範囲に関連したトラブルも報告されています。手続きの流れによっては、司法書士から弁護士への切り替えが必要となり、二重に費用が発生してしまう可能性もあるでしょう。
仙台青葉ゆかり法律事務所では、初回60分の法律相談を無料でお受けしています。弁護士に依頼するには費用が心配という方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。