個人再生失敗の原因と対策について

個人再生失敗の原因と対策について
相談者
相談者

債務整理を考えています。住宅ローンの返済中で、個人再生という手続きを利用したいのですが失敗しないか不安です。

前田啓吾
前田啓吾

確かに個人再生に失敗する可能性はあります。失敗のパターンと対策を知っておきましょう。

債務整理の手続きの中でも住宅を守ることができたり、自己破産による職業制限を避けられる個人再生ですが、様々な原因により失敗してしまうことがあります。

そこで今回は、個人再生はどのような原因で失敗するのかと、個人再生が失敗しないための対策について解説します。

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個人再生とは

個人再生とは、裁判所に申立てをして借金の総額を大幅に減額し、原則3年(最長5年)かけて分割返済する債務整理の一つの手法です。同じ債務整理の手法である任意整理では元本の分割返済が原則ですが、個人再生では債務が最大で1/10に減額されるメリットがあります。また、自己破産と異なり、自宅や車などの財産を手放さずに済む可能性があり、かつ資格制限が無いというメリットがあります。

個人再生が失敗するケース

個人再生は強力な債務整理手段ですが、誰でも確実に成功するわけではありません。手続きの途中で失敗し、計画が認可されなかったり、打ち切られたりすることも珍しくありません。

個人再生の主な失敗ケース
  • そもそも申立てができない
    (弁護士や司法書士への費用未払い、連絡が取れないなどで手続きが進まない場合)
  • 申立てが棄却される
    (個人再生の要件を満たしていない場合)
  • 途中で廃止となる
    (必要書類の提出漏れや費用未納などで手続きが打ち切られる場合)
  • 再生計画が認可されない
    (返済額や支払期間が適切でない、資料に不備がある、債権者の同意が得られないなどの場合)
  • 支払いが継続できない
    (病気や失業などで計画通りに返済できなくなる場合)

これらの原因と注意点を把握しておくことで、手続き失敗のリスクを最小限に抑えることができます。

申立てができない

依頼している弁護士や司法書士への費用の支払いをしなかったり、連絡をしても応答がなく手続きが進められない場合、個人再生の申立てができず、債権者から裁判を起こされたり、弁護士や司法書士が辞任することもあります。

個人再生の申立てが棄却されてしまう

個人再生をするには要件があり、要件を満たしていない場合には申立てが棄却されてしまいます。個人再生の要件は以下の通りです。

個人再生の要件
  • 支払不能のおそれがあること
  • 住宅ローンを除く債務の総額が5,000万円以下であること
  • 継続的な収入が見込めること
  • 給与所得者等再生の場合は安定した給与などがあること

個人再生手続きが途中で廃止(打ち切り)となる

個人再生は申立て後も安心とは限らず、途中で廃止(打ち切り)になるリスクがあります。たとえば、再生委員からの資料提出指示に従わなかった場合、裁判所が求める費用(予納金など)を支払えなかった場合、再生計画案を期日どおりに提出できない場合などが挙げられます。

個人再生の再生計画案が認可されない

再生計画案は提出すれば自動的に通るわけではなく、裁判所の厳しい審査を受けます。たとえば、返済額があまりにも少なすぎる、支払期間が不適切、提出資料に整合性がないなどの場合、計画案の認可が下りません。また、小規模個人再生では債権者の同意が得られない場合にも不認可となります。

再生計画通りの支払いができなくなる

再生計画が認可された後も、計画どおりの支払いが継続できなければ、個人再生は事実上失敗に終わります。途中で病気や失業などの予期せぬトラブルが起きると、計画通りに返済できなくなることも少なくありません。

個人再生に失敗した場合の対応方法

個人再生に失敗すると債務は残ったままになるため、次のいずれかの対応が必要となります。

個人再生に失敗した場合の対応方法
  • 個人再生をもう一度やり直す
  • 任意整理に切り替える
  • 自己破産に切り替える

個人再生をもう一度やり直す

一度個人再生が失敗しても、状況次第では再度申立てが可能です。たとえば、過去の申立てが手続き不備や収入状況の一時的な悪化によるものであれば、再申立てによって再挑戦できる場合があります。ただし、同じ理由で再び棄却されないよう、弁護士と十分に相談し、前回の問題点をクリアする必要があります。

任意整理に切り替える

個人再生が不認可となった場合、比較的ハードルが低い任意整理への切り替えも一つの手です。任意整理は裁判所を通さず、債権者と直接交渉して利息カットや返済期間の延長を目指す手続きです。財産の処分も不要で、周囲に知られにくいというメリットもあります。ただし、元本の減額は基本的にないため、毎月の返済額は個人再生の場合よりも多く、その額を支払えるのが前提となります。

自己破産に切り替える

再生手続きがどうしても進められない、または再生計画の履行が困難な場合、最終手段として自己破産の検討が必要です。収入が途絶えた場合や返済能力が完全に失われた場合には自己破産が最も確実な選択肢です。自己破産の場合、住宅を維持することはできません。

個人再生を失敗しないための方法

個人再生が失敗するケースを踏まえて、失敗しないための方法を確認しましょう。

実績のある弁護士・司法書士に依頼する

個人再生は高度な専門知識が求められるため、経験豊富な専門家を選びましょう。実績のある弁護士や司法書士であれば、申立書類作成から裁判所対応、再生計画案の調整までスムーズに進めてくれます。過去に個人再生の取り扱い実績が少ない事務所では、思わぬミスが発生する可能性もあります。依頼前には「過去の実績」や「専門分野の傾向」を確認しておくと安心です。

弁護士に相談・依頼する場合には嘘をつかない

弁護士に相談・依頼する場合には嘘をつかないようにしましょう。相談時に自己破産をしたくないなどの理由から弁護士に債務の額を少なく申告したり、多めの収入額を申告することがあります。また、手放したくない財産がある場合に、その財産について申告しないこともよくあります。

相談時や依頼後に弁護士に嘘をつくと、書類作成の段階や申立後に辻褄が合わなくなり、個人再生が失敗に終わってしまうこともあります。

弁護士の指示に従う

手続き中は弁護士から多くの指示がありますが、これにきちんと従うことが重要です。たとえば、書類の収集依頼に応じたり、提出期限を守ったり、必要な説明を正しく行ったりすることで、個人再生の手続きをスムーズに進めることができます。

反対に、独断で行動したり、指示を無視したりすると、手続きに支障が出て、最悪の場合は申立てができなくなるリスクもあります。少しでも疑問があるときは、特に手続き中のお金に関することについては、必ず弁護士やに確認するようにしましょう。

仙台地方裁判所に個人再生を申し立てる場合には弁護士に依頼を

仙台地方裁判所に個人再生を申し立てる場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

仙台地方裁判所に個人再生を申し立てる場合、司法書士は書類作成しか行えないため本人申立てして取り扱われるため、個人再生委員が選任されることになり、費用が多くかかってしまうためです(弁護士が申立代理人になっている場合30,000円程度・申立代理人がいない場合215,000円程度)。

参考:個人再生手続利用にあたって|裁判所ホームページ

参考:債務整理を依頼するのは弁護士と司法書士のどちらがおすすめ?

まとめ

個人再生は、借金を大幅に減額しながら財産を守ることができる強力な債務整理の制度です。しかし、条件や手続きが法律で厳しく定められているため、失敗するリスクもあります。申立てができない場合や、再生計画が認可されない場合、返済が続けられなくなって手続きが打ち切られる場合など、失敗の原因はさまざまです。

個人再生を成功させるためには、実績のある弁護士に相談し、適切に手続きを進めることが大切です。