連帯保証人にはどんな責任やリスクがある?

連帯保証人にはどんな責任やリスクがある?
相談者
相談者

親族から連帯保証人になるように頼まれているのですが、連帯保証人にはどのような責任やリスクがあるのか教えて下さい。

前田啓吾
前田啓吾

連帯保証人は、法律上、債務者本人と同じように支払う義務を負います。具体的にどのような責任やリスクがあるのか確認しましょう。

連帯保証人というと、なんとなく危ないというイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、実際にどのような責任があるのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。

友人や親族に頼まれて断れず、安易に連帯保証人になると、思わぬ金銭トラブルに巻き込まれる可能性があります。

今回は、連帯保証人になった場合の責任やリスク注意点について解説します。

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連帯保証人とは?

連帯保証人とは、主たる債務者と同じ責任を負う保証人のことです。

通常の「保証人」の場合は、債権者から請求を受けても、まず主債務者に請求するよう求める権利(催告の抗弁権)や、主債務者の財産を先に差し押さえるよう求める権利(検索の抗弁権)が認められています。

しかし、連帯保証人にはこれらの権利が認められていないため、主債務者に代わって支払いを求められた場合、断ることができません

日本では、保証人を立てる際のほとんどのケースで、連帯保証人が求められています。

連帯保証人にはどんな責任・リスクがある?

連帯保証人には、法的・事実的なものとして次のような責任・リスクがあります。

連帯保証人の責任・リスク
  • 債務者と同様に支払う義務がある
  • 最終的な損失を自分が被る可能性がある
  • 債権者からの追及・裁判に対応しなければならない可能性がある
  • 信用情報に傷がつく可能性がある
  • 主債務者との人間関係が悪化する

債務者と同様に支払う義務がある

連帯保証人は、主債務者が返済できない場合に限らず、債権者から直接請求を受けた時点で、借金全額を支払う義務があります。法律上、債権者は主債務者を飛ばして、いきなり連帯保証人に支払いを求めることができます。ただし、実際にはまず主債務者に請求されることが多いです。

保証債務の金額が大きい場合、連帯保証人自身の生活に重大な影響を与え、場合によっては債務整理が必要になることもあります。

最終的な損失を自分が被る可能性がある

法律上、連帯保証人が保証債務を支払った場合には、主債務者に対して求償権を行使し、自分が支払った分を返してもらうことができます。しかし、実際には主債務者がすでに返済できない状態であることが多く、支払ったお金を回収するのは非常に困難です。

さらに、主債務者が債務整理をした場合、自己破産によって求償権も免責の対象となり、返済を受けられなくなる可能性があります。そのため、最終的には連帯保証人が損失を被ることになるかもしれません。

債権者からの追及・裁判に対応しなければならない可能性がある

連帯保証人は、支払いを求める督促や通知だけでなく、債権者からの法的手続きの対象になることもあります。主債務者が支払えなくなった場合、債権者との支払いを巡る交渉や裁判に対応することを強いられるリスクを負うことになります。

信用情報に傷がつく可能性がある

連帯保証人は、請求された金額を支払えず延滞した場合、信用情報に傷がつく可能性があります。いわゆるブラックリストという状態になり、新たな借り入れクレジットカードの契約携帯電話の分割購入などができなくなることになります。

主債務者との人間関係が悪化する

連帯保証人になることで、主債務者との関係が悪化するおそれもあります。たとえ家族や親友であっても、借金の返済が滞り、連帯保証人に請求が及ぶと、「なぜ返せなかったのか」「どうして事前に相談してくれなかったのか」といった不満や怒りが生じやすくなります。

連帯保証人は被害者ともいえる立場ですが、債務者からは「助けてくれるはずだったのに」と逆に責められることもあります。最悪の場合、金銭トラブルが原因で絶縁状態になってしまうことも少なくありません。

連帯保証人になる場合の注意点

連帯保証人にならざるを得ない場合には、以下の2点に注意が必要です。

契約内容を確認する

連帯保証契約を結ぶ際は、契約書の内容を細かく確認することが重要です。特に「連帯保証人」と「保証人」は似ているようで全く違い、責任の範囲も大きく異なります。

契約書に「連帯保証」と記載されている場合は、主債務者と同じ責任を負うことになります。そのため、どの範囲の債務を保証するのか(借入限度額や返済条件など)をしっかりと確認し、必ず明記してもらいましょう。

また、将来的に追加融資ができる契約内容になっていないか、契約期間はどうなっているかといった点にも注意が必要です。不明な点がある場合は、金融機関や専門家に必ず確認することをおすすめします。

主債務者の状態を確認する

連帯保証人になる前に、主債務者の返済能力や借入目的をしっかり確認することが大切です。

現在の収入や支出、他の借金の状況を把握せずに連帯保証人になると、すでに返済が難しい状態である可能性があります。その場合、最終的にはあなたが連帯保証人として責任を負わなければならなくなるかもしれません。

まとめ

連帯保証人になるということは、主債務者と同じ支払い義務を負うことになり、とても大きな責任が伴います。万が一、主債務者が返済できなくなった場合には、あなたが借金の全額を支払わなければならなくなりますその結果、信用情報に傷がついたり、裁判や差し押さえといった深刻な事態に発展する可能性もあります。

連帯保証人を安易に引き受けるのではなく、契約内容や主債務者の返済状況をしっかり確認し、本当に保証するべきかどうかを冷静に判断することが大切です。