「任意整理しなければよかった」と後悔しないために知っておくべきこと

「任意整理しなければよかった」と後悔しないために知っておくべきこと
相談者
相談者

任意整理をしたいと思っています。任意整理は必ず成功するのでしょうか?後から「任意整理なんかしなければよかった…」と後悔することはありませんか?

前田啓吾
前田啓吾

例えば、弁護士との相談時には「月8万円なら返済できる」と話していても、実際に任意整理を進めてみると、月4万円しか支払えない状況になることもあります。このように、月8万円の返済を前提に手続きを進めてしまうと、途中で返済が行き詰まり、完済できずに失敗してしまうのです。後悔しないためにも、注意すべきポイントをしっかり押さえておきましょう。

任意整理は、借金の返済を少しでも楽にしたいと考える人にとって、有効な債務整理手続きの一つです。利息のカットや返済スケジュールの見直しによって、生活の再建を目指す人も多く利用しています。

しかし、実際に手続きを行った人の中には「任意整理しなければよかった」と後悔してしまうケースも少なくありません。

本記事では、任意整理で後悔しないために押さえておくべき注意点や、他の選択肢を検討すべきケースについて詳しく解説します。

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任意整理で後悔しないための注意点

任意整理は、借金の負担を軽減する有効な手段ですが、適切に進めないと「こんなはずではなかった」と後悔するケースもあります。任意整理で後悔しないための注意点を見てみましょう。

なお、任意整理については以下の記事を参考にしてください。

相談時に債務や収入などを正直に伝える

債務整理の相談を弁護士にする際、借金の総額や件数、収入や支出などの情報を正確に伝えることが重要です。情報に誤りや漏れがあると、返済計画の見通しが甘くなり、後々返済が行き詰まるリスクが高まります。

特に、隠していた借入が後から発覚した場合、再交渉が必要になったり、手続き自体が頓挫することもあります。自己破産をしたくないと思って収入や返済可能額を高めに弁護士に伝えた結果、その収入を前提として貸金業者と和解したため、毎月の支払いができなくなるケースもあります。

任意整理に失敗しないためにも、正直な相談が何より大切です。

任意整理依頼後に収入が減った・支出が増えた場合には弁護士にきちんと伝える

任意整理を依頼した後に、転職や病気、家庭の事情などで収入が減ったり、生活費が大きく増えたりすることがあります。このような場合は、すぐに弁護士へ相談することが大切です。

弁護士は、相談時に聞いた情報をもとに任意整理を進めます。しかし、収入が減ったり支出が増えたりして返済できる額が少なくなっているのに、これまで通りの返済額で手続きを進めてしまうと、途中で支払いができなくなってしまいます。どんな些細なことでも構わないので、変化があれば弁護士にきちんと伝えるようにしましょう。

任意整理依頼後に生活のレベルを上げすぎないように注意

任意整理を行うと、返済額が減少することで家計に多少の余裕が生じることがあります。しかし、その時期に外食や趣味、ショッピングなどの支出を増やしてしまうと、すぐに家計は再び逼迫し、返済が困難になるおそれがあります。

完済するまでは、倹約を意識し、無駄な支出を控えることが重要です。

任意整理が厳しいと思う場合には他の手続きを利用する

任意整理を進めていても、返済がどうしても困難だと感じる場合があります。そのような場合には、無理を続けるのではなく、他の債務整理手続きへの切り替えを検討する必要があります。

例えば、個人再生や自己破産であれば、返済額を大幅に減額したり、借金自体が免除されたりする可能性があります。

状況が変化しているにもかかわらず任意整理に固執することは危険です。生活を立て直すことが最優先であり、手続きを柔軟に見直すことも後悔を防ぐために重要な判断といえます。

任意整理ではなく他の債務整理が良いケース

任意整理は便利な手続きですが、すべての人に適しているとは限りません。特に、借金額が多すぎる場合や、安定した収入がない場合には、他の債務整理手続きの方が適していることがあります。

自分の状況を正確に把握し、最適な方法を選ぶことが大切です。

返済能力がない場合には自己破産・個人再生にする

任意整理は、将来利息のカットなどを目的とする手続きであり、元本の返済は必要となります。そのため、収入が少なく返済の見通しが立たない場合には適していません。このような場合には、借金を原則として全額免除できる自己破産や、借金を大幅に減額して再出発を図る個人再生の方が適しています。

無理に任意整理を続けると、生活がさらに悪化するおそれがあります。返済能力がないと感じた場合には、ためらわずに他の手続きも検討することが重要です。

住宅を残したい場合には個人再生にする

住宅ローンがあり、マイホームを手放したくない場合には、任意整理だけでなく個人再生を利用することも可能です。

個人再生には「住宅資金特別条項」があり、住宅ローンの返済を続けながら、その他の借金を大幅に減額することができます。任意整理でも住宅ローン債権者を手続きから外すことで進めることは可能ですが、元本の返済が必要であり、支払わなければならない金額が大きくなる傾向にあります。

任意整理では返済が難しいが、住宅を守りたい場合には、「個人再生」の利用を検討するべきです。

自己破産の職業制限で支障がある場合も個人再生にする

自己破産には、一部の職業に就くことができなくなる「職業制限」があります。例えば、保険外交員や警備員、宅地建物取引士など、資格をもとに従事する職業では、破産手続き中にその資格で業務を行うことが制限されます。

このような影響を避けたい場合には、借金を減額でき、かつ職業制限が発生しない「個人再生」を選択することが有効です。

まとめ

任意整理は、借金問題を解決するための有力な手段の一つですが、すべての人に適しているわけではありません。収入状況や家族構成、持ち家の有無、職業などを総合的に考慮し、最適な債務整理方法を選択することが重要です

後悔しないためには、弁護士へ正確な情報を提供し、収支の変化に適切に対応するとともに、生活全体を見直すことが不可欠です。仮に任意整理が自分に合わないと感じた場合でも、他の手続きに切り替えることで再出発することは可能です。

一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することをお勧めします。