2回目の自己破産は可能?注意点や条件はなに?

2回目の自己破産は可能?注意点や条件はなに?
相談者
相談者

実は10年前に病気で仕事を辞めて借金を作ってしまい自己破産をしたことがあります。また病気で借金を作ってしまって返済できなくなったのですが、もう一度自己破産はできるのでしょうか?

前田啓吾
前田啓吾

10年経過しているのであれば免責不許可事由にはあたらないので自己破産できます。簡易管財となる可能性が高いので注意が必要です。

自己破産は、返済不能に陥った債務者に対して法的に借金を免除する手続きであり、多くの人にとって「人生の再出発」を意味する救済制度です。しかし一度自己破産を経験した方の中には、再び多重債務に陥ってしまい「2回目の自己破産はできるのか?」と不安を抱える方もいます。

結論からいえば、2回目以降の自己破産も法律上可能です。ただし、利用のための条件や注意点があります。

本記事では、2回目以降の自己破産が可能かどうか、その注意点や条件について解説します。

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自己破産をするための条件

自己破産をして免責してもらうためには、次の2つの条件が必要です。

自己破産の条件
  • 支払不能
  • 免責不許可事由に該当しないこと

支払不能とは、返済しなければならない債務を返済できなくなっている状態のことであり、手持ちの財産・収入・債務の内容によって判断されます。

免責不許可事由とは、免責が許可されない特定の事由のことをいい、破産法第252条第1項第1号から第11号に列挙されています。

過去に債務整理をした・自己破産をしたことについては自己破産をするための条件には記載されておらず、2回目の自己破産や、それ以降も自己破産自体は可能です。

2回目以降の自己破産を申し立てる場合の注意点

2回目以降の自己破産を申し立てる場合には、次の点に注意が必要です。

前回の自己破産・個人再生から7年が経過していることが必要

前回の自己破産・個人再生から7年が経過していることが必要です。自己破産の条件である免責不許可事由の一つとして、破産法第252条第1項第10号は次のように規定しています。

十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。

イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日

ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日

ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日

引用:破産法|e-Gov法令検索

前回の自己破産による免責が確定してから7年が経過しないうちに自己破産手続きの申立てをすることは、免責不許可事由に該当してしまうためです。

同時廃止での処理は難しくなる

自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類がありますが、2回目以降の破産では同時廃止が認められる可能性が低くなります

同時廃止とは、破産者に財産がほとんどなく、免責不許可事由も見当たらない場合に、破産手続きと同時に免責の審査も行われる簡略な方式です。しかし再破産の場合、過去に自己破産を経験していることから、免責の判断において、より慎重な審査が求められます。

さらに、免責不許可事由が存在していないか、財産を隠していないかなどを確認するため、破産管財人が必要とされる管財事件になる可能性が高くなりますこれにより費用や手続きの期間が大きく増加する点に注意が必要です。

破産管財人による厳しいチェックを受ける

破産管財人は、債務者の財産を調査し、免責の可否を判断する重要な役割を担います。

特に2回目以降の自己破産では、前回の免責後に再び多額の借金を抱えた経緯や、生活状況が改善しているかどうか、免責不許可事由の有無、財産隠しの有無などについて、厳しくチェックされる可能性が高いといえます。

自己破産以外の債務整理を検討

2回目の自己破産が難しい、あるいは避けたいと考える場合には、自己破産以外の債務整理手段を検討しましょう。

任意整理

任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉し、借金の減額や将来利息のカットを行う手続きです。自己破産のように財産を失うことがなく、手続きが比較的簡便であることが特徴です。

多くの場合、弁護士や司法書士が代理人となり、和解交渉を進めるため、債務者自身が金融機関と直接やり取りする必要はありません

また、借金の原因がギャンブルや浪費であっても利用可能で、利用回数にも制限がない点は大きなメリットです。

ただし、任意整理では原則として元本は減額されず、分割返済を継続していくことが前提となるため、一定の収入が必要です。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、3年〜5年かけて分割返済していく法的手続きです。自己破産と異なり、住宅ローンのある自宅などの財産を残しながら債務整理できることが大きな利点です。

特に再破産が困難なケースや、安定収入はあるものの借金が膨らんでしまった方にとっては、有効な選択肢となります。

ただし、一定の収入が継続的に見込まれることが条件であり、裁判所への提出書類も多く、任意整理よりも手続きは複雑です。

また、個人再生では浪費やギャンブルが原因であっても手続きの対象になりますが、裁判所の認可を得るためには返済の意思と実行可能な計画である必要があります

まとめ

2回目の自己破産は、法的には認められていますが、免責が許可されるかどうかや手続きの厳格化といった課題があります。

特に、前回の免責から7年以内の場合には、免責不許可となる可能性が高く、管財事件として対応しなければならないことが多くなります。また、破産管財人による厳格な調査を受けることも想定されます。

2回目以降の自己破産を検討する際は、任意整理個人再生など他の債務整理方法も視野に入れ、総合的に判断することが重要です。まずは専門家に相談し、自身の状況に最も適した解決策を見つけるようにしましょう。