マルチ商法で作った借金は減額できる?

マルチ商法で作った借金は減額できる?

マルチ商法にはまり、気がついたら大きな借金を抱えていたという事例は少なくありません。マルチ商法で作った借金については「自己責任だから債務整理はできない」と考える方もいるでしょう。

しかし、マルチ商法が原因の借金でも、基本的には債務整理を利用することは可能です。

本記事では、マルチ商法で作った借金を減額する方法マルチ商法で借金を抱えてしまった際の対処法などを解説します。

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マルチ商法とは?

マルチ商法とは、商品やサービスを購入した人が販売組織の会員となり、他の人に商品やサービスを売ることで報酬を得て、次々に販売組織を拡大していく商法のことです。

マルチ商法と似たものとして、ねずみ講があります。ねずみ講は、商品やサービスの販売を目的とせず、金銭の配当のみを目的として組織を拡大する手法で、法律によって禁止されています。

マルチ商法は、ねずみ講とは異なり、その販売手法自体が法律で禁止されているわけではありません。

しかし、マルチ商法のスキームが特定商取引法上の連鎖販売取引に該当する場合は、クーリングオフや中途解約が認められています。

参照:連鎖販売取引|特定商取引法ガイド

マルチ商法にはまり、大きな借金を作ってしまう方は少なくありません。マルチ商法で借金を作ってしまったら、まずはクーリングオフや中途解約によって損害の拡大を食い止めることが大切です。

マルチ商法で作った借金を減額する方法

マルチ商法で作った借金であっても、基本的には債務整理による減額の対象となります。債務整理には、次の3つの方法があります。

債務整理の方法
  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

それぞれの方法について詳しく解説します。

任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉して、借金の返済条件を決め直す手続きです。

任意整理の交渉に成功すると、借金の利息や遅延損害金がカットされ、元本を原則3年、最長5年で返済することになります。

任意整理では、借金の元本を減らすことはできませんが、借金の原因を問わず債権者との合意さえあれば整理の対象とすることが可能です。

つまり、マルチ商法で作った借金であっても、問題なく手続きを進められます。

借金の利息と遅延損害金がカットされ、元本の返済を続けられる場合は、任意整理の利用がおすすめです。

個人再生

個人再生は、裁判所に申し立てをして、借金の額を大幅に減額してもらう手続きです。

個人再生で再生計画案が認可されると、借金の額が5分の1から10分の1程度にまで減額され、それを原則3年、最長5年で返済すれば借金がなくなります。

個人再生についても、基本的には借金の原因がどのようなものであっても手続きを進められます。マルチ商法だけでなく、ギャンブルや浪費が原因の借金でも再生計画案さえ認可されれば借金を減額できるのです。

ただし、個人再生が認められるためには、安定かつ継続した収入が必要となります。

安定した収入があり、大幅に減額された借金の返済を続けられるのなら、個人再生による借金問題の解決を検討すべきです。

自己破産

自己破産は、裁判所に申し立てて、財産のほとんどを手放す代わりに借金の免除を受ける手続きです。

自己破産で免責が認められると、借金がゼロになるので借金問題を完全に解決できます。

ただし、マルチ商法で作った借金は「浪費」として免責不許可事由に該当する可能性があります。免責不許可事由とは、自己破産で免責が認められなくなる事情のことです。

マルチ商法の借金には、事業の失敗による借金と甘い話に乗ってしまった浪費による借金という2つの側面があります。事業の失敗による借金であれば問題なく自己破産できますが、浪費の側面が強いと、免責が認められない可能性があります。

マルチ商法の借金が「浪費」として免責不許可事由に当たると判断されても、裁量免責によって免責が許可される可能性はあります。

裁量免責とは、免責不許可事由がある場合でも本人の反省の態度や更生の可能性を考慮して裁判所の裁量により免責を認める制度のことです。

マルチ商法の借金については、具体的な事情を考慮し、免責が認められる可能性がある場合は、自己破産も選択肢の一つとなるでしょう。

マルチ商法で借金を作ってしまったときの対処法

ここでは、マルチ商法の借金を減額する前提として、マルチ商法で借金を作ってしまったときに、何をすべきかについて解説します。

マルチ商法との関係を絶つ

マルチ商法での借金問題を解決したいのなら、マルチ商法との関係を絶つのが何より重要です。借金を取り戻そうとしてマルチ商法を続けると、事態はさらに悪化してしまいます。

マルチ商法は、特定商取引法上の連鎖販売取引に該当するケースが多く、商品やサービスを購入した後でも、クーリングオフや中途解約によって契約を解消できます。

借金の減額に成功しても、マルチ商法を続けるのなら再び借金を作ってしまう可能性が高いでしょう。

マルチ商法による借金問題を解決するには、マルチ商法との関係を絶つのがスタートラインとなります。

弁護士に相談する

マルチ商法による借金問題を解決するには、弁護士へ相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すると、相談者の状況に合わせて最適な債務整理の方法を提案してもらえます。さらに、マルチ商法を続けている場合には、マルチ商法との関係を絶つ手続きの代行も依頼できます。

マルチ商法の借金に悩み、何から始めたら良いかわからないという方は、まずは弁護士へ相談してみてください。