家や車などの財産をできるだけ残して債務整理する方法はありますか?

家や車などの財産をできるだけ残して債務整理する方法はありますか?

借金を減らすために債務整理を検討しています。
持ち家や車などの財産をできるだけ残して債務整理する方法はありますか?

前田啓吾
前田啓吾

自己破産の場合、原則として20万円を超える価値がある財産と99万円を超える現金は処分しなければなりません。家や車などの高価な財産は残すことはできません。

しかし、個人再生任意整理なら持ち家や車を手元に残して手続きを進める方法もあります。

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債務整理の方法と特徴

債務整理には、任意整理個人再生自己破産の3つの方法があります。

任意整理は、債権者と直接交渉して、借金の金額や返済方法を決め直す債務整理の方法です。裁判所を利用しない手続きで、任意整理の対象とする借金も債務者が自由に決められるのが特徴で、財産を処分することなく手続きを進められます。

個人再生は、裁判所に再生計画を認可してもらうことで、借金の大幅な減額を認めてもらう債務整理の方法です。借金がゼロになることはありませんが、自己破産とは異なり、原則として手元の財産を処分せずに手続きを進められます。

自己破産は、裁判所への申立てによって、財産を債権者に分配したうえで、借金の免責を認めてもらう手続きです。借金が免責される唯一の手続きなので、返済能力がなくても利用できるのが特徴ですが、代わりにほとんどの財産を失うことになります。

自己破産で家を残すことはできない

自己破産すると、自己破産後も所有が認められる自由財産を除くすべての財産を処分しなくてはなりません。

自己破産後も所有できる自由財産には、次のものが挙げられます。

自己破産後も所有できる自由財産
  • 99万円以下の現金
  • 自由財産の拡張によって認められた財産
  • 破産開始決定後に取得した財産
  • 差押禁止財産

自由財産の拡張とは、破産者の生活を守るために裁判所の決定で自由財産の範囲を広げることを言います。自由財産の拡張で所有が認められる財産の例は、次のとおりです。

自由財産の拡張で所有が認められる財産の例
  • 20万円以下の預貯金
  • 20万円以下の解約返戻金
  • 処分価値が20万円以下の車やバイク
  • 家財道具 など

その他、破産開始決定後に新たに取得した、給料や贈答品などの財産や、法律で差し押さえが禁止されている給与の一部や日用品などは、自由財産として自己破産後も手元に残すことができます。

持ち家は、自由財産に含まれないため、自己破産で持ち家を残すことはできません。については、処分価値が20万円以下であれば、自由財産の拡張で手元に残せる可能性があります。

任意整理・個人再生は家や車を残して債務整理できる

自己破産と異なり、任意整理個人再生では家や車を残しての債務整理が可能です。任意整理と個人再生に分けて、家や車などの財産を手元に残して債務整理する方法を解説します。

任意整理で家や車を残す方法

任意整理は、対象の債務を自分で選択できます。たとえば、消費者金融のカードローン、クレジットカードのリボ払い、住宅ローン、自動車ローンなど複数の借金があるときでも、消費者金融のカードローンだけを任意整理の対象とすることが可能です。

任意整理の対象から住宅ローンや自動車ローンを外せば、任意整理しても家や車を手元に残せます。ただし、当然のことですが、住宅ローンを任意整理の対象から外すと、任意整理した債務と住宅ローンの返済を継続しなければなりません。家や車を残す場合、任意整理してもローンの負担が軽減されない点には注意してください。

個人再生で家を残す方法

個人再生は、任意整理と異なり、原則としてすべての債務を対象としなければなりません。持ち家を残したまま個人再生をするには、住宅資金特別条項を定めた再生計画を認可してもらう必要があります。

住宅資金特別条項を利用するには、住宅ローンとしての借入れであること、住宅が債務者の所有物であること、居住用の物件であることなどの条件があります。

住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されたときには、個人再生後も住宅ローンを支払い続けて、持ち家を手元に残すことが可能です。このケースでは、住宅ローン以外の債務は個人再生による大幅な減額というメリットを受けつつ、持ち家を失うこともありません。

個人再生で車を残す方法

個人再生では、自己破産と異なり、自分の財産を処分する必要はありません。そのため、ローンの支払いを終えた車は、個人再生しても手元に残せます。

ローンを返済中の車でも、所有権留保(販売会社などに自動車の所有権がある状態)が付けられていない場合は、個人再生をしてもローン会社は車を引き揚げることはできません。自動車ローンを組む際には多くのケースで所有権留保が付けられますが、所有権留保がない場合は個人再生しても車を手元に残せます。

所有権留保付きの車を手元に残す方法としては、家族や知人に残債を第三者弁済してもらう方法があります。債務者自身が弁済すると、偏頗弁済(へんぱべんさい)と判断される可能性があるため注意が必要です。他には、ローン会社の同意と裁判所の許可を得たうえで別除権協定を締結する方法もありますが、営業用車両でない限り裁判所の許可を得るのは難しいでしょう。

※偏頗弁済(へんぱべんさい):一部の債権者にだけ優先的に返済や担保提供をすること。

まとめ

自己破産では高価な財産を残すことは難しいですが、個人再生や任意整理なら家や車などの財産をできるだけ残して債務整理をすることができます。

ただし、自己破産なら全ての借金を免責することができますが個人再生・任意整理では借金の一部しか免責することが出来ない点には注意が必要です。

借入・収入・資産状況によって最適な債務整理方法は異なります。仙台青葉ゆかり法律事務所では、ご依頼者ごとに最適な債務整理方法を無料で相談することが出来ます。借金問題は一人で悩まずまずはお気軽にご相談ください。