多重債務者でも借金減額はできる?

多重債務者でも借金減額はできる?
相談者
相談者

私は消費者金融2社とクレジットカード会社1社から借金をしている多重債務者です。私のように無計画にお金を借りてしまった場合、借金減額をしてもらうのは難しいでしょうか?

前田啓吾
前田啓吾

いいえ、多重債務にあるような場合でも、債務整理によって借金減額をしてもらうことが可能ですよ。

いくつもの貸金業者から借金をしている人のことを多重債務者といいます。そんな借り方をしていると、借金減額はしてもらえないのでは?と心配する方も多いのですが、多重債務者でも借金減額は可能です。

今回は多重債務者の借金減額方法について解説します。

借金問題の初回対面相談無料:仙台青葉ゆかり法律事務所

多重債務者とは?

多重債務者とは、複数の金融機関や消費者金融などから借金をしている人のことを指します。

借入件数が多くなるほど返済負担も大きくなり、借金完済の見通しが立ちにくくなります。各社への返済日がばらばらであることが多く、お金の調達に手間取ると、返済をするために他社から借り入れることがあり、債務が膨らむばかりの自転車操業状態になります。

多重債務の状態は経済的にも精神的にも大きな悪影響をもたらすので、早期の解決が必要です。

多重債務者でも借金減額できる?

結論からいえば、多重債務者でも借金を減額することは可能です。

借金減額の方法である債務整理は多重債務者であっても利用できます。むしろ多重債務に陥って返済が難しくなった場合には積極的に利用すべきものといえます。

多重債務者の中には、借金減額ができないと勘違いしている人もいます。しかしこれは、自己破産手続きにおいて、借入れの原因によっては免責が認められない「免責不許可事由」にあたる場合があるという情報を誤解しているに過ぎません。

多重債務者が借金減額をするための債務整理とは

債務整理とは、法律に基づいて借金の返済負担を軽くしたり、返済義務を免除してもらったりするための手続きの総称です。代表的な手続きには、「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3つがあります。

それぞれの手続きには特徴があり、減額できる範囲や手続きの難しさ、生活への影響も異なります。どの手続きを選ぶべきかは、借金の額や返済能力、持っている資産などによって変わってきます。

債権者と交渉して借金減額をしてもらう「任意整理」

任意整理とは、裁判所を通さずに貸金業者と直接交渉し、借金の減額や返済条件の変更を目指す手続きです。

主に、将来利息や遅延損害金をカットしたり、返済期間を延長したりすることで、毎月の支払額を減らすことができます。元本自体は原則として減りませんが、利息がなくなることで返済総額が大幅に減るケースがほとんどです。

任意整理の交渉は、通常、弁護士司法書士に依頼して行います。借金額がそれほど大きくなく、返済のための継続的な収入がある人や、保証人などに請求が及ぶのを避けたい人にとって、適した手続きです。

任意整理については「任意整理とは?メリット・デメリット・条件を解説」で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

裁判所に申立てを行い借金免除をしてもらう「自己破産」

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の返済義務を全額免除してもらう手続きです。収入や財産の状況を総合的に判断し、「支払不能」と認められた場合に利用できます。

借金の理由が浪費やギャンブルなどの免責不許可事由に該当しなければ、免責が認められます。また、たとえ免責不許可事由があっても、裁判官の判断によって「裁量免責」が認められる場合もあります。

自己破産の最大のメリットは、借金の額にかかわらず、原則としてすべての債務がゼロになることです。ただし、自宅や車など一定以上の財産は処分の対象となるほか、職業制限や官報への掲載といったデメリットもあります。

それでも、生活を立て直したい人にとって、自己破産は人生を再スタートさせるための有力な手段です。なお、自己破産の手続きは申立書の作成や添付書類の収集などが複雑なため、弁護士に依頼して正確に進めることが必要です。

自己破産については「自己破産とは?メリット・デメリット・流れを解説」で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

裁判所に申立てを行い借金減額をしてもらう「個人再生」

個人再生とは、裁判所に申立てを行い、借金の元本を大幅に減額してもらった上で、3~5年かけて分割返済する手続きです。自己破産とは異なり、住宅など一定の財産を手元に残したまま借金を整理できることが特徴です。

減額される金額は借金額によって異なりますが、例えば500万円の借金がある場合は、100万円まで減額されます。ただし、継続的な収入があり、毎月きちんと返済を続けられることが必要です。

個人再生の手続きでも、自己破産と同様に申立書の作成や添付書類の収集が必要となるため、弁護士に依頼して正確に手続きを進めることが不可欠です。

生活基盤を守りながら債務負担を軽減できるため、家族がいる人持ち家を手放したくない人にとって、有力な選択肢となります。

個人再生については「個人再生とは?メリット・デメリット・流れを解説」で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

まとめ

多重債務の状況であっても、債務整理を利用することは可能です。自分の状況に合った適切な方法を選び、無理のない返済計画を立て直して、生活を再建していきましょう。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、どの手続きが適しているかは、借金額や返済能力によって異なります。多重債務でお悩みの方は、できるだけ早めに弁護士へ相談することをおすすめします。