

借金返済ができなくて債務整理をしたいです。ただ、私は買い物依存症が原因で借金を作ってしまいました。こんな自業自得ともいえる原因でも債務整理はできるのでしょうか?

買い物依存症で浪費した場合、自己破産で免責不許可事由に当たる可能性がありますが、手続きに影響があるだけで自己破産ができないわけではありません。
「買い物がやめられない」
「気づいたらカードの利用額が限度額を超えていた」
買い物依存症が原因で借金を抱え、返済が難しくなる人は少なくありません。このような状況になると、「債務整理はできるのか」「自業自得だから認められないのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。
結論として、買い物依存症が原因であっても債務整理の手続きは可能です。ただし、選択する手続きによっては影響が生じる場合があるため、注意が必要です。
本記事では、買い物依存症が原因の場合でも債務整理ができるのか、また注意すべきポイントについて詳しく解説します。
買い物依存症が原因でも債務整理はできるのか
買い物依存症が原因であっても、債務整理は原則として可能です。債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがありますが、それぞれの制度において買い物依存症や浪費をしたことという理由だけで利用を拒まれることはありません。
特に任意整理と個人再生は、借金の原因を問わないため、比較的スムーズに進められます。ただし、自己破産の場合には一部例外があるため注意が必要です。
参考:
買い物依存症が原因である場合の債務整理手続きへの影響
買い物依存症による借金が原因で返済ができなくなっている場合、債務整理の手続きに影響を与えることがあります。
買い物依存症が原因で自己破産をする場合免責不許可事由となる
自己破産では、買い物依存症による浪費が「免責不許可事由」と判断されることがあります。
免責不許可事由とは、本来であれば借金を免責できない原因のことで、破産法252条第1項各号に規定されています。その4号には「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」と記載されており、買い物依存症による浪費もこれに該当する可能性があります。
ただし、破産法第252条第2項では、破産に至った経緯やその他の事情を総合的に考慮し、免責を認めることが相当と判断される場合には、裁判官の裁量で免責を許可する「裁量免責」の制度が設けられています。
借金の原因がギャンブルや浪費であっても、真摯に手続きに協力すれば、ほとんどのケースで裁量免責が認められています。
任意整理・個人再生には影響はない
買い物依存症が原因であっても、任意整理や個人再生の手続きには基本的に影響はありません。これらの手続きでは、借金の原因が問われることはなく、利用することが可能です。
任意整理では、債権者と個別に交渉し、利息のカットや分割返済を目指します。個人再生では、収入に応じて借金の一部を原則3年間で返済する計画を立てることになります。
つまり、浪費が原因であっても、安定した収入があり、現実的な返済計画を立てられるのであれば、問題なく手続きを利用できます。
高額品は引き上げ対象になる可能性
買ったものが手元に残っている場合、それが引き上げられる可能性があります。クレジットカードや分割払いで購入した商品の多くは、ローンを完済するまで債権者に所有権があります。そのため、返済ができなくなると、債権者は商品を引き上げて売却し、返済に充てることが認められています。
特にブランド品、貴金属、電化製品など、売却して価値のあるものは引き上げの対象となります。また、自己破産をする場合には、一定額以上の財産は売却され、破産手続きの費用に充てられます。目安として、売却価格が20万円以上の財産は引き上げ対象となるため注意が必要です。
過度な買い物は犯罪には該当しない
買い物依存による借金は、道義的な問題はあるものの、原則として犯罪には該当しません。浪費や衝動買いは、あくまで個人の消費行動の範囲内であり、刑事罰が科されることはないといえます。
また、借りたお金やクレジットカードの残高を返済できない場合でも、最初から返済する意思がなく借り入れやカードを利用したのでなければ、詐欺罪に問われることはありません。
ただし、債務整理の過程で虚偽の申告や資産隠しを行った場合には、「詐欺破産罪」などに問われる可能性があります。借金の理由が買い物依存であっても、それを隠す必要はありませんが、正直に申告し誠実に対応することが大切です。
つまり、買い物をしすぎただけで逮捕されることはないため、安心して専門家に相談してください。
まとめ
買い物依存症が原因であっても、債務整理を行うことは十分可能です。任意整理や個人再生であれば、問題なく手続きを進めることができますし、自己破産でも裁量免責によって免責が認められる可能性は高いといえます。
ただし、高額な物品が手元に残っている場合には、引き上げられる可能性があるため注意が必要です。まずは弁護士に相談し、債務整理の方法やその後の生活への影響について確認することをおすすめします。