むちうちになった場合に後遺障害認定のポイントは?

むちうちになった場合に後遺障害認定のポイントは?

交通事故の怪我で比較的多いのがむちうちです。多くのケースで2~3ヶ月で治ることが多いとされていますが、中には症状が改善せず後遺症が残り、生活に支障が出ることもあります。交通事故で後遺症が発生した場合、後遺障害等級認定をすることになるのですが、むちうちの場合にはどのようなポイントがあるのでしょうか。

本記事では、むちうちになった場合の後遺障害認定のポイントについて解説します。

むちうちとは

むちうちとは、首に強い力が加わったことによって、頸椎や首の捻挫などによって神経を損傷することで発生する諸症状のことをいいます。

正式には外傷性頸部症候群といい、首が鞭のようにしなることからむちうちという名称で一般的に呼ばれています。首や頸椎などには神経が集まっており、神経を損傷することで痛み・こわばり・頭痛・めまい・痺れなどの症状が発生します交通事故では、首に強い力がかかってしまうことが多く、むちうちは頻発する症状です。

むちうちで後遺症になる場合がある

むちうちは、ケースによっては症状が引かず後遺症となり、日常生活に支障を来たすことになります。多くのケースでは2~3ヶ月程度で良くなるのですが、人によっては数ヶ月~数年症状に苦しめられることがあります。そのため、後遺障害等級認定をすれば、後遺障害として認定されることがあり、認定されれば、自賠責保険から補償があるほか、相手に後遺障害慰謝料として請求ができます。

むちうちで認定される可能性がある後遺障害等級

むちうちで認定される可能性がある後遺障害等級は次の通りです。

後遺障害等級自賠責から支払われる補償後遺障害慰謝料(裁判所基準)
第12級第13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」224万円290万円
第14級第9号「局部に神経症状を残すもの:75万円110万円

むちうちの症状が後遺症として残る場合、第14級もしくは第12級に認定される可能性があり、上記の表のように自賠責保険から補償を受け取り、相手に後遺障害慰謝料の請求ができます。

むちうちで後遺障害等級認定をされるためのポイント

むちうちで後遺障害等級認定をされるためのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

むちうちの後遺障害等級認定は難しい部類である

まず前提として、むちうちで後遺障害等級認定をしてもらうのは、非常に難しいことを知っておきましょう。

後遺障害等級には後遺症となるものが様々規定されています。たとえば交通事故で両足をひざ関節以上で切断してしまった場合には、後遺障害等級としては第1級の認定がされます。ひざ関節以上で足を切断したかどうかは見た目で判断できるので、後遺障害等級認定にあたって疑念を生じることはありません。

しかしむちうちの症状は痛み・こわばり・頭痛・めまい・痺れであり、これが「局部に頑固な神経症状を残すもの」「局部に神経症状を残すもの」にあたるということを客観的に認定するのは困難です。

そのため、むちうちの後遺障害認定は一般的に難しいとされています。

ポイント1:医師の診察をなるべく早くしてもらう

後遺障害等級認定をしてもらうポイントの1つめは、医師の診察をなるべく早くしてもらうことです。

交通事故の直後は興奮状態にあり、痛みを感じにくいとされています。そのため交通事故を起こして体を強く打っているにもかかわらず、痛みを感じなかったために自宅に戻ったところ、翌日から痛みなどの症状が出始めることがあります。ケースによっては2~3日経過してから症状が出ることもあります。

一番望ましいのは交通事故直後に病院できちんと診察をしてもらうことですが、もし診察をしてもらっていない場合で、症状が後から出た場合には、なるべく早く病院に行くようにしましょう。もし長期間病院に行っていなかった場合、交通事故と症状との因果関係を疑われ、後遺障害等級認定がされない可能性があるためです。

ポイント2:きちんと通院を継続する

後遺障害等級認定をしてもらうポイントの2つめが、きちんと通院することです。

むちうちで後遺障害等級認定をしてもらうためには、6ヶ月~12ヶ月程度通院して治療経過を見る必要があります。長期間かかるため、中にはつい面倒になってしまって通院を途中でやめてしまったり、間隔が空いてしまったりするケースがあります。

通院を途中でやめたり、間隔が空いてしまうと、交通事故と症状の因果関係を否定される可能性が高くなってしまうので、きちんと通院を継続するようにしましょう。

ポイント3:後遺障害等級認定のために有利な検査を受け診断書を記載してもらう

後遺障害等級認定をしてもらうポイントの3つめが、後遺障害等級認定のために有利な検査を受け、診断書を記載してもらうことです。

後遺障害等級認定をする場合には、医師が記載する診断書を提出しておこないます。むちうちの後遺障害等級では、神経学的異常所見があることが重要視され、神経学的検査を丁寧に受けて交通事故による被害と症状との間に因果関係があることが診断書からわかるようにする必要があります。

医師は治療のスペシャリストですが、後遺障害等級認定のスペシャリストではありません。そのため、後遺障害等級認定という観点から必要な検査を行っておらず、かつ有利な認定がされやすい診断書の作成方法まで熟知していません。

必要な検査・診断書の書き方の工夫について、お願いをする必要があります。

まとめ

本記事では、むちうちになった場合の後遺障害等級認定のポイントについて解説しました。痛みやこわばりなどが長期間残ってしまう場合には、後遺障害等級認定が可能なむちうちですが、客観的に分かりづらいものであるためその認定は困難とされています。

本記事でご紹介したポイントをもう一度復習してみましょう。特にポイントの3つ目の医師への働きかけには後遺障害等級認定に関する知識や医学的な知識が欠かせず非常に難解です。交通事故に強い弁護士に依頼して適切な対応をしてもらうことをおすすめします。