整形外科で診断書を書いてもらえない場合どうすればよい?

整形外科で診断書を書いてもらえない場合どうすればよい?

交通事故の被害にあった場合には、診断書を作成してもらって提出する必要があります。稀にこの診断書を診察してもらった整形外科の医師が書いてくれない場合があります。このような場合どうすれば良いのでしょうか。

本記事では、交通事故の被害にあったにもかかわらず整形外科の医師に診断書を書いてもらえない場合の対応方法について解説します。

整形外科で診断書を書いてもらえないとどうなるのか

まず、整形外科で診断書を書いてもらえないとどうなるのかを確認しましょう。

交通事故でケガをしたことを証明できない

整形外科で診断書を書いてもらえないと、交通事故でケガをしたことを証明できません。

警察に人身事故として届け出る場合や、後遺障害等級認定を申請する場合、裁判で相手に主張する場合などでケガをした証拠が必要です。ケガをしていることは整形外科などで医師に診断してもらうことが必要で、診断書が無い限り交通事故でケガをしたことを主張できません。

物損事故として取り扱われてしまう

整形外科で診断書を書いてもらえないと、物損事故として取り扱われてしまう場合があります。

交通事故でケガをした場合、警察に届け出る必要があり、診断書をもって警察では人身事故と扱います。また、当初ケガをしていなかったように見えても何日か経つとむちうちの症状が出るということもよくあり、この場合診断書をもって物損事故から人身事故に切り替える必要があります。

診断書を書いてもらえない場合、ケガがないものとされ、物損事故として取り扱われる可能性があります。物損事故として取り扱われると、実況見分調書が作成されないため、たとえば被害者の過失を主張された際の反論材料が1つなくなることになります。また後遺障害等級認定がされにくい、相手方がケガについての因果関係を争ってくる可能性が高くなるなど、非常に不利となります。

整形外科で診断書を書いてもらえない場合の対応方法

整形外科で診断書を書いてもらえない場合の対応方法には次のものがあります。

主治医と交渉する

整形外科で診断書を書いてもらえない場合の対応方法の1つ目は、主治医と交渉することが挙げられます。

診断書が発行できない理由には、診察が不十分で現時点では診断書が発行できない、診察した医師の専門外の症状がある、など様々な理由があります。医師にその理由を尋ね、どのようにすれば診断書を発行してもらえるかを尋ねることで、最終的には診断書を出してもらえることがあります。

主治医は治療の専門家ではありますが、診断書を作成して法律上の要件の証拠とする、という法的な側面については詳しくないことがあります。そのため、主治医を説得するにあたって、法律の専門家である弁護士に依頼することも1つの選択肢として考えておきましょう。

他の整形外科等で受診して診断書を出してもらう

整形外科で診断書を書いてもらえない場合の対応方法に、他の整形外科で受診して診断書をもらうことが挙げられます。

主治医と交渉しても診断書を出してもらえない場合には他の対応が必要です。診断書は主治医・最初に診断した医師しか書くことができないわけではなく、他の医師でも診断書を出してもらえます。そのため、他の整形外科で受診して診断書を出してもらいましょう。

また、頭部を強く打った後に言語障害や記憶障害などの脳に関する症状が出ていて、整形外科では診療できないことが理由で診断書が出せない場合には、脳神経外科のある大きな病院に行くようにしましょう。

人身事故へ切り替えをする場合には事前に警察にも相談

人身事故へ切り替えをする場合には、警察に事前に相談しておきましょう。

当初物損事故として処理している場合でも、後から症状が出始めたときに、後から人身事故に切り替えることができます。ただし、この場合には診断書が必要なのですが、診断書を出してもらえていない場合には、警察にその旨を先に相談しておきましょう。

人身事故への切り替えには期限があり、警察署によって交通事故からおおむね2週間くらいが限度とされています。診断書を出す・出さないの話をしているうちに期限が過ぎてしまい、診断書を出してもらえない可能性があります。そのため、早めに相談しておきましょう。

自分の保険会社に相談してみる

自分の加入している保険会社にも相談しましょう。

保険会社によっては医師にどのように伝えればいいかなどのアドバイスをしてくれることがあります。

相手の保険会社と診断書なしで交渉する

相手の保険会社と診断書なしで交渉するのも方法の1つです。

診断書はあくまで争いがある場合に自分の主張を裏付ける証拠の1つとして提出するものです。そのため争いがない場合であれば必要ないことがあります。そのため、相手の保険会社が診断書を不要とすれば、賠償金の請求を認めることもあります。

もっとも、一般的には相手の保険会社は賠償額を少なくしようとするので、合意ができたとしても実はもっと賠償金をもらえたケースなどもあり、注意が必要です。

まとめ

本記事では整形外科で診断書を書いてもらえない場合について解説しました。

診断が十分ではない、整形外科の領域だけではない症状が出ているなど、様々な理由から診断書を出してもらえないことがあります。交通事故の被害の有力な立証手段である診断書をもらえないと、交通事故の賠償金請求の解決に大きな影響を及ぼします。医師が診断書を出さないような場合には、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。