仕事中や通勤中に怪我をした、仕事が原因で病気になってしまったなど労災に遭った場合には、手続きや交渉が必要となります。
弁護士に依頼すると費用がかかるため、躊躇する方も多いのではないでしょうか。
本記事では、労災に遭った場合に、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
労災に遭った場合の法律問題
労災に遭った場合には次の法律問題が発生します。
労災保険給付を受けるための手続き
労災に遭った場合には労災保険給付を受けるための手続きが発生します。
労災保険給付を受けるためには労災認定を受ける必要があり、そのための手続きをきちんと行う必要があります。
会社への損害賠償請求
会社に損害賠償請求ができる場合があります。
会社は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務を負っています(安全配慮義務:労働契約法第5条)。
会社がこれらの義務を怠って労働者が怪我や病気になった場合には、契約上の義務違反として、会社に対して損害賠償請求ができます。
労災保険給付を受けている場合でも、慰謝料や休業補償給付の一部など、労災保険で補償されない損害について、会社に損害賠償を請求できます。
労災に遭った場合によく起きるトラブル
労災に遭った場合によく起こるトラブルには次のものがあります。
労災かくし
労災に遭った場合のトラブルの代表例が労災かくしです。
労災保険の保険料は会社が負担しているのですが、労災が発生することでこの保険料が上がるのではないか、といった心配から、怪我をした労働者に労災手続きをさせない場合があります。
他にも、手続きが面倒である、派遣会社が派遣元との関係を維持したい、下請け会社が元請けとの関係を維持したい、などの理由でも労災かくしが行われます。
適切な給付を受けられない可能性があり、きちんと会社に要求することが不可欠です。
適切な後遺障害等級が受けられない
適切な後遺障害等級の認定が受けられないことがあります。
後遺障害等級の認定は医師による診断書をもとに審査が行われます。医師は治療の専門家ではあっても、労災認定の専門家ではありません。そのため、本来認定されるはずの後遺障害等級が認定されない場合があります。
後遺障害等級認定が受けられなかった・より低い級に認定された、という場合、適切な補償が受けられないので注意が必要です。
会社が損害賠償請求に応じない
上述したように、労災に遭った場合、ケースによっては会社に損害賠償の請求ができます。
しかし、本来損害賠償に応じるべきであるにもかかわらず、会社がこれに応じないことがあります。
退職を強要される・解雇される
怪我の具合によっては退職を強要されたり、解雇されることがあります。
これらが違法である場合には別途争う必要があります。
弁護士に依頼する3つのメリット
弁護士に依頼するメリットには次の3つのものがあります。
会社との交渉や裁判を任せられる
弁護士に依頼するメリットの1つ目は、会社との交渉を任せられることです。
労災かくしをしようとしている場合や、手続きに協力しない場合には、会社に対して適切に働きかけ、応じない場合には労働基準監督署に相談することが重要です。
また会社に対して損害賠償請求を求める、解雇された場合には解雇無効を求めたり解決金の支払いを求めるなどする必要があります。交渉をしても応じない場合には訴えることが必要です。
会社と一人の労働者では交渉は非常に難しく、弁護士にハードな交渉や難しい裁判を任せることができるのは大きなメリットです。
適切な後遺障害等級の認定を得られる
弁護士に依頼するメリットの2つ目は、適切な後遺障害等級の認定を得られることです。
適切な後遺障害等級に認定してもらうためには、医師に認定されやすい診断書を作成してもらうため、記載内容を工夫したり、必要な検査を受ける必要があります。
労働問題に強い弁護士に依頼すれば、治療段階からきちんとサポートしてくれます。
他の労働問題にも対応できる
弁護士に依頼するメリットの3つ目は、他の労働問題が発生した場合にも対応できることです。
労災で怪我をしたことが原因で解雇された場合の対応や、残業代が未払いであるなど、その他の労働問題を抱えている場合には、労災と併せて解決してもらえます。
まとめ
本記事では労災事故を弁護士に依頼するメリットについて解説しました。
労災事故にあった場合、治療と平行して労災保険への申請や会社との交渉などが必要となり、煩わしいと感じる方も多いでしょう。
労災申請に協力してもらえない、後遺障害等級認定が必要である、ほかにも労働問題があるかもしれない、という場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。