
弁護士法人仙台青葉ゆかり法律事務所
弁護士 前田啓吾
「離婚によって、自分が経営する会社に影響が出るのではないか」
「所有する不動産や金融資産は、どこまで財産分与の対象になるのか」
「親から相続した財産も、配偶者に分けなければならないのか」
会社を経営している方や、複数の不動産・金融資産を保有する方にとって、離婚は今後の生活だけでなく、事業や資産管理にも関わる問題です。
納得できる解決を目指すためには、分与する金額の交渉に入る前に、「対象となる財産」「その評価」「分け方」を整理することが大切です。
自分名義の財産でも、財産分与の対象になることがあります
財産分与では、財産の名義だけで判断することはできません。婚姻中に夫婦の協力によって取得した財産は、一方の単独名義であっても、原則として清算の対象となります。
一方、婚姻前から所有していた財産や、相続・贈与によって取得した財産は、原則として財産分与の対象にならない「特有財産」として扱われます。
資産が多い場合は、この区別を資料に基づいて説明できるかが重要です。例えば、婚姻前の預金を頭金に使って不動産を購入した場合には、購入時の契約書や送金記録、当時の預金残高などが検討の手掛かりになります。
「もともと自分の財産だった」という認識を、取得時期や資金の流れと結び付けて整理しておきましょう。
会社経営者は、個人の財産と会社の財産を分けて考える必要があります
会社経営者の離婚では、個人が保有する会社株式、会社への貸付金、役員報酬から形成した預貯金などについて、対象性や評価を検討する必要があります。
会社名義の財産と、経営者個人の財産は区別して整理します。会社の預金や不動産を、そのまま経営者個人の財産として計算することはできません。
また、非上場株式には上場株式のような市場価格がありません。取得の経緯や会社の財務状況などを踏まえて、評価方法を検討する必要があります。
株式の評価額が高くても、同額の現金をすぐに用意できるとは限りません。事業を続けるために必要な資金も踏まえ、どの財産を誰が取得するか、金銭で調整する場合の支払方法をどうするかまで考えることが大切です。
不動産は、評価額だけでなく借入れと税金も確認します
自宅や賃貸物件などを保有している場合、まず検討したいのは、取得時期、購入資金の出所、現在の価値、借入残高です。
そのうえで、売却して代金を分けるのか、一方が取得して金銭で調整するのかなど、具体的な方法を比較します。収益物件では、離婚後の賃料収入や管理負担も判断材料になります。
税金にも注意が必要です。土地や建物を財産分与として渡す場合、渡した側について、分与時の時価を収入金額として譲渡所得の課税関係が生じます。実際の税額は、取得費や適用できる特例などによって変わります。
財産分与を受ける側には通常、贈与税はかかりません。ただし、分与が過大な場合などには例外があります。
合意する前に税務面も確認し、実際に残る財産と必要な支出を把握しておくことが重要です。
「半分ずつ」という言葉だけでは、結論は出ません
財産分与では、分ける割合だけでなく、その前提となる財産の範囲と評価額が問題になります。
現行法では、婚姻中に取得・維持した財産への双方の寄与について、その程度が異なることが明らかでないときは、等しいものとされます。分与の額や方法は、婚姻期間、生活水準、職業・収入などの事情も考慮して判断されます。
したがって、「収入が多かったから、当然に自分の取得割合が大きくなる」とも、「現在ある財産をすべて半分にする」とも、一律にはいえません。
資産が多様な案件ほど、対象財産の一覧を作り、それぞれの取得経緯と評価の根拠を確認することが、交渉の土台になります。
条件を決める前に、資料と希望を整理しましょう
相談に向けては、手元にある範囲で、次の資料を整理すると役立ちます。
- 預貯金・証券口座の残高や取引履歴
- 不動産の登記事項証明書、購入契約書、ローン残高資料
- 会社の決算書、株主構成が分かる資料、会社との貸借に関する資料
- 相続・贈与や婚姻前の財産を確認できる資料
- 相手方から提示された離婚条件や合意書案
すべての資料がそろっていなくても、相談のために離婚の意思を固めておく必要もありません。
「事業を継続したい」「自宅での生活を維持したい」「離婚後の生活資金を確保したい」など、ご自身が重視することも整理しておくと、解決方法を検討しやすくなります。
仙台で、経営や資産に関わる離婚問題をお考えの方へ
経営者・資産家の離婚では、合意する金額に加えて、事業の継続、資産の流動性、税負担、離婚後の生活を見据える必要があります。
相手方から示された条件に応じる前、あるいはご自身から条件を提示する前に、法的な見通しを確認しておきませんか。
仙台で会社株式、不動産、相続財産などが関わる離婚についてお悩みの方は、弁護士法人仙台青葉ゆかり法律事務所の弁護士・前田啓吾へご相談ください。現在の状況と、これからの生活・事業についてのご希望をお聞かせください。
※本コラムは2026年10月時点の一般的な情報です。個別の結論は、財産の取得経緯や資料、その他の事情によって異なります。






