「仕事中の事故で大けがをし、元の仕事に戻れるか分からない」
「家族が労災事故で入院し、今後の生活や介護が心配」
「会社から労災保険で対応すると言われたが、それだけで十分なのだろうか」
重大な労災事故では、治療費だけでなく、長期間働けないことによる収入の減少や、後遺障害、将来の介護などが問題になります。
労災保険の給付を受けることと、会社などに損害賠償を請求することは、別に検討する必要があります。
この記事では、仕事中の事故で重いけがを負った方とご家族に向けて、補償・賠償の考え方と、早い段階で確認しておきたいことを解説します。
このような事故・けがでお困りではありませんか?
- 工事現場の足場や屋根、はしごなどから転落した
- 工場の機械に手や腕を巻き込まれた
- フォークリフトや重機との接触・挟まれ事故に遭った
- 落下した資材や倒れた荷物の下敷きになった
- 業務中の交通事故で重傷を負った
- 頭部や脊髄の損傷、手足の切断、重いやけどなどを負った
事故後、麻痺、歩行の困難、手足の機能障害、記憶・注意・行動の変化などが残ることもあります。
けがの程度や生活への影響は人によって異なります。診断名だけで判断せず、治療の経過、仕事や日常生活で困っていることを整理することが大切です。
労災保険では、どのような補償を受けられる?
労災保険には、治療や休業、障害などに対応する給付があります。支給には、それぞれ要件があります。
| 主な給付 | 対象となる内容 |
|---|---|
| 療養(補償)等給付 | 業務や通勤による傷病に必要な治療など |
| 休業(補償)等給付 | 療養のため働けず、賃金を受けられない場合の休業中の補償 |
| 障害(補償)等給付 | 症状固定後に一定の障害が残った場合の年金・一時金 |
| 傷病(補償)等年金 | 療養開始後1年6か月を経過しても治らず、一定の障害状態にある場合の年金 |
| 介護(補償)等給付 | 障害や受給する年金などの要件を満たし、現に介護を受けている場合の給付 |
重いけがでは、治療中から症状固定後まで、時期に応じて利用できる制度を確認する必要があります。
労災保険を受けていても、会社に損害賠償を請求できる場合があります
労災保険は、原則として会社の過失を前提としない制度です。
これに対し、会社への損害賠償請求では、安全配慮義務違反や不法行為など、会社側に法的な責任を問えるかを検討します。
例えば、次のような事情は確認すべきポイントになります。
- 必要な転落防止措置が取られていたか
- 機械の安全装置が適切に設置・管理されていたか
- 作業手順や危険性について十分な説明があったか
- 必要な資格・教育を受けずに作業を任されていなかったか
- 危険な作業方法や無理な指示がなかったか
ただし、労災と認められたからといって、会社の損害賠償責任が自動的に認められるわけではありません。 事故の原因と、会社が取るべきだった安全対策を具体的に確認します。
事故によっては、勤務先以外の元請会社、他の作業会社、事故を起こした第三者などの責任も検討することになります。
重傷事故では、将来の生活を含めた損害の確認が重要です
重い後遺障害が残る場合、事故直後にかかった費用だけでなく、将来必要になる支出や収入への影響も検討します。
会社などに損害賠償責任が認められる場合には、事情に応じて次のような項目が問題になります。
入通院や後遺障害による慰謝料
労災保険には、精神的苦痛そのものに対する慰謝料の給付はありません。賠償責任を負う相手がいる場合には、別途請求を検討します。
休業損害・逸失利益
働けなかった期間の収入への影響や、後遺障害によって将来の収入が減少することによる損害を検討します。
復職できた場合でも、担当業務の変更や作業上の制約などが生じていないか、具体的に確認する必要があります。
将来の介護費用や住環境を整える費用
介護が必要になる場合には、将来の介護費用、車いすなどの費用、住宅改修費などについて、必要性や金額を検討します。
これらがすべて認められるわけではなく、医療上の見通し、生活状況、事故との関係などの裏付けが必要です。
また、労災保険と損害賠償で同じ損害が重複して補われる部分には、調整が生じます。受け取った給付をすべて一律に差し引くというものではなく、給付と損害の項目ごとに確認します。
後遺障害は、診断名だけでなく生活・仕事への影響も整理しましょう
労災保険では、傷病が治ゆした後に一定の障害が残った場合、障害等級に応じた給付が行われます。
ここでいう「治ゆ」には、完全に元どおりになった場合だけでなく、症状が安定し、一般的な医療を行っても改善が期待できない「症状固定」の状態も含まれます。
障害等級は第1級から第14級まであり、第1級から第7級は年金、第8級から第14級は一時金の対象です。
大切なのは、残っている症状を診療の場で具体的に伝えることです。
例えば、次のような変化を整理しておくと役立ちます。
- 歩く、立つ、物を持つといった動作の制限
- 食事、着替え、入浴、排泄などで必要な介助
- 記憶や集中力、感情・行動の変化
- 事故前の仕事を続けるうえでの支障
とくに頭部のけがでは、ご本人が変化に気づきにくい場合もあります。ご家族が気づいたことも、主治医に伝えておきましょう。
症状固定の時期や必要な検査は、主治医などの医学的判断を踏まえて確認します。障害等級の認定結果に疑問がある場合にも、理由と資料を確認することが重要です。
会社から示談書や補償の合意書を渡されたら、署名前に確認を
会社から見舞金や補償金を提示されることがあります。受け取りを検討するときは、金額だけでなく、書面の内容を確認してください。
特に、「今後一切請求しない」「すべて解決済みとする」といった条項は、その後の請求に影響する可能性があります。
治療が続いている段階や、後遺障害・将来の介護の見通しが立っていない段階では、十分な検討が必要です。
書面の名称が「確認書」「受領書」であっても、内容によって意味は変わります。署名する前に、写しを用意して弁護士に相談することをおすすめします。
治療中でも、弁護士へ相談できます
弁護士への相談は、治療が終わってからでなければできないものではありません。
重傷事故では、早い段階から次のような事項を整理することに意味があります。
- 事故状況や安全対策に関する証拠
- 労災保険の手続きの進み具合
- 会社などへの損害賠償請求の可能性
- 後遺障害や将来の生活に関して必要となる資料
- 会社・保険会社から届いた書面への対応
防犯カメラ映像など、時間が経つと失われる資料もあります。証拠を集める際は、療養と安全を優先し、無理に現場へ入ったり、危険な作業を再現したりしないでください。
よくあるご質問
自分にも不注意があった場合は、相談できますか?
相談できます。ご本人の不注意があっても、それだけで会社への請求ができなくなるとは限りません。
会社側の安全対策や事故の原因を確認します。損害賠償では、ご本人の過失が賠償額に影響する場合があります。
会社が労災と認めてくれない場合はどうすればよいですか?
会社が認めないことだけで、労災保険の請求ができなくなるわけではありません。
事業主の証明を得られない場合でも請求は可能ですので、事情を整理し、労働基準監督署へ相談してください。
家族だけでも相談できますか?
ご本人が入院中などで動くことが難しい場合は、まずご家族から状況をお知らせください。
個別の手続きや正式なご依頼にあたっては、ご本人の意思や代理権などを確認しながら進めます。
労災保険の手続きを会社に任せています。それでも相談できますか?
相談できます。会社が労災保険の手続きに協力している場合でも、会社への損害賠償や、提示された合意書の内容は別に確認できます。
相談のときに何を準備すればよいですか?
分かる範囲で、次の資料をご用意ください。
- 事故の日時・場所・作業内容をまとめたメモ
- 勤務先、元請会社、関係会社が分かる資料
- 診断書や入退院・治療の経過が分かる資料
- 労災保険の請求書や支給決定通知
- 給与明細、源泉徴収票などの収入資料
- 現場写真、会社とのメール・メッセージ
- 会社や保険会社から提示された書面
すべてそろっていなくても、まずは現在の状況をお伝えください。
仙台・宮城で、労災による重いけがや後遺障害にお悩みの方へ
重大な労災事故では、治療を受けながら、生活費、復職、介護、会社とのやり取りなど、多くのことを考えなければなりません。
「労災保険だけでよいのか分からない」「会社から示された条件を確認したい」という段階でも、ご相談ください。
仙台青葉ゆかり法律事務所では、事故の経緯や治療の状況を伺い、労災保険と損害賠償について、確認すべき点を整理します。土日祝日も相談に対応しています。希望日時をお知らせください。
お問い合わせの際は「仕事中の事故で重いけがをし、補償について相談したい」とお伝えください。
事故日、勤務先、けがの内容、現在の入院・通院状況、会社から書面を渡されているかをお知らせいただくと、ご案内がスムーズです。
弁護士法人仙台青葉ゆかり法律事務所
代表弁護士:前田 啓吾
電話:022-797-8355
※相談日時は予約状況により調整します。相談・依頼の費用は事前にご確認ください。利益相反等により対応できない場合があります。
※本記事は一般的な説明です。給付の対象や損害賠償の可否・金額は、事故の状況や個別の事情によって異なります。
参考資料






