話し合いによる協議離婚の成立が難しい場合、離婚調停を申し立てることになります。離婚調停は、調停委員が仲介して、離婚の成立や条件について話し合う手続きです。
「離婚調停では何について話し合うの?」「離婚調停はどのような流れで進むの?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、離婚調停の申し立てを検討している方に向けて、離婚調停で話し合う事項と離婚調停の流れについて解説します。離婚調停に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
離婚調停で話し合う事項
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員の立ち会いのもと、離婚の成立や条件について話し合い、調整する手続きです。
調停手続では、通例として男女1名ずつの調停委員が夫婦それぞれから交互に話を聞き、離婚の合意や条件について調整を進めます。夫婦間の直接の話し合いでは合意に至らなかった場合でも、調停委員の仲介によって合意が成立する可能性があります。
離婚調停で話し合う主な事項は、以下のとおりです。
また、離婚調停の申し立て時に夫婦が別居している場合には、婚姻費用分担請求調停も同時に申し立てられることがあります。この場合、離婚調停と婚姻費用分担請求調停は併合され、同じ期日に話し合いが行われることが多いです。
離婚調停を利用すれば、中立の第三者である調停委員が立ち会い、離婚に関する様々な事項を冷静に話し合うことができます。
離婚調停の流れ
離婚調停の申し立てから手続きが終了するまでの基本的な流れは以下のとおりです。
それぞれの段階について、詳しく解説します。
離婚調停の申立書を提出する
離婚調停を申し立てるには、相手方の住所地にある家庭裁判所、もしくは夫婦の合意によって定めた家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」の申立書を提出します。
申立書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードできます。申立書には、夫婦の本籍地や氏名、子どもの氏名、離婚調停で求める内容(申立ての趣旨)などの記載が必要です。
調停の申し立てには、申立書以外に以下の書類が必要です。
他にも、自分の主張を裏付ける証拠資料があれば、提出してください。
相手方に申立書・呼出状が送達される
申立書や必要書類に不備がなければ、提出後1〜2週間ほどで裁判所から日程調整についての連絡がきます。
裁判所と申立人との調整で日程が決まると、裁判所から相手方に申立書や呼出状などの書類が送達されます。初回の調停期日は、裁判所の混雑状況や時期によって異なりますが、申立書の提出から1〜2か月後に指定されることが多いです。
第1回調停期日が開かれる
調停期日では、調停委員が主催のもと当事者双方の主張や意見の聞き取りが行われます。当事者双方は別々の待合室で待機し、個別に調停室に呼び出されます。調停の手続きでは、原則として当事者双方が同席して話し合うことはありません。
第1回調停期日では、まず申立人の話を聞き、その後相手方の話を聞くという流れで、交互に調停委員による聞き取りが行われます。この第1回調停期日で調停が解決するケースは稀です。双方の意見を聞いた後、調停委員から次回期日までに準備すべき資料や検討事項が伝えられます。
相手方には調停期日への出席義務はないため、第1回の調停期日では相手方が欠席することもありますが、その時点で調停が不成立となることは少ないです。ただし、今後も相手方が出席する見込みがないと判断された段階で調停は不成立となります。
続行期日が開かれる
2回目以降の調停期日(続行期日)は、1か月から2か月に1回のペースで開かれます。続行期日でも、初回と同様に調停委員が当事者双方から交互に話を聞き、意見の調整を行います。
続行期日では、双方が主張をまとめた書面や主張を裏付ける証拠を提出し、それに対する調停委員の意見が伝えられます。主張や証拠の内容によっては、調停委員が相手方を説得することもあります。
続行期日は、複数回継続され、離婚の成否や条件についての合意が形成されていきます。手続きの期間は3か月から1年を超えることもあります。
調停成立もしくは不成立により手続きが終了する
当事者が合意に達した場合、調停成立により手続きが終了します。調停成立時には、確定判決と同様の効力を持つ「調停調書」が作成されます。調停調書に記載された慰謝料や養育費が支払われない場合には、強制執行により預金口座や給与の差し押え手続きが可能です。
調停成立後、10日以内に離婚届と調停調書謄本を役所に提出することで、戸籍上の離婚が成立します。
一方で、調停を重ねても合意に至らなかった場合、調停不成立となり、離婚裁判で決着をつける必要があります。