男性が離婚を有利に進めるために知っておきたいこと

男性が離婚を有利に進めるために知っておきたいこと

離婚では、男性が不利に感じることが多いでしょう。実際、養育費を支払っているにもかかわらず子どもに会えない父親や、慰謝料の支払いで自分の生活が苦しくなるケースも珍しくありません。

しかし、男性だからといって必ずしも離婚で不利になるわけではありません。正しい知識を持ち、離婚協議や調停に臨むことで、不当な不利益を回避できます。

今回は、離婚を考えている男性に向けて、離婚に関する実情や、有利に進めるために知っておくべきことなどを解説します。不利な条件で離婚を成立させないためにも、ぜひ最後までご覧ください。

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男性が離婚で不利に扱われやすい理由

男性の離婚は不利」とされる最大の理由は、離婚時に男性が金銭的な負担を強いられるケースが多いためです。

多くの家庭では、男性が主な収入を担っており、女性は専業主婦というケースも少なくありません。離婚では、収入が多い側が金銭的な負担を求められることが一般的です。たとえば、別居期間中の婚姻費用は、収入の高い方が低い方に支払うことになります。また、財産分与においては、女性の収入が少なくても、財産は基本的に半分ずつ分けられるのが原則です。

さらに、親権争いでも母親が有利になることが多く、父親は子どもが成人するまで養育費を支払うことになります。

確かに、離婚において男性が大きな金銭的負担を負うケースは多いですが、法律に関する知識不足から必要以上に負担しているケースも見られます。男性が離婚で不利な立場に立たないためにも、離婚に関する正しい知識を持つことが大切です。

離婚を有利に進めるために知っておくべきこと

ここでは、男性が離婚を有利に進めるために知っておくべきことを次の6つの項目に分けて解説します。

男性が離婚を有利に進めるために知っておくべきこと
  • 離婚原因
  • 婚姻費用
  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 親権
  • 養育費

離婚原因

裁判で離婚が認められるには、不貞行為や悪意の遺棄、強度の精神病など、法律上の離婚原因が必要です。そのため、妻から性格の不一致を理由に離婚を求められても、応じる義務はありません。

ただし、離婚原因で争うべきかどうかは慎重に判断する必要があります。

妻の離婚の意思が固い場合、別居を経て調停や裁判に発展し、長期間の別居が「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因と認められる可能性があります。

別居が長期化すると、その間の婚姻費用の負担が増えるため、妻の意思が変わらない場合、早めに離婚を受け入れた方が良いこともあります。

婚姻費用

夫の収入が妻より多い場合、別居期間中の婚姻費用を夫が負担することになります。離婚に前向きであれば、早期に離婚を成立させることで金銭的な負担を減らせます。

財産分与や慰謝料についての争いが長引くと予想される場合、先に離婚だけを成立させ、その後で財産や慰謝料に関する問題を解決するという方法もあります。

また、妻の不倫が原因で別居に至った場合は、婚姻費用の支払い義務が軽減される可能性もあります。別居の原因が妻にある場合、妻からの婚姻費用の請求には注意が必要です。

慰謝料

慰謝料は、離婚時に必ず発生するものではありません。男性側に不倫やDV、モラハラなど慰謝料の原因がない場合、慰謝料を支払う必要はありません。逆に、妻が不倫やDVをしていた場合、男性側が慰謝料を請求できます。

男性側に慰謝料を支払う原因がある場合でも、妻から提示された金額をそのまま支払う必要はありません。適切な金額を確認するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

財産分与

妻が専業主婦で収入がない場合でも、財産分与は基本的に半分ずつ分け合うのが原則です。ただし、「特有財産」とされるものについては、財産分与の対象外となります。

たとえば、婚姻前の預貯金や株式、親からの相続財産は「特有財産」とされます。また、男性側が会社を経営している場合でも、会社の財産は基本的に財産分与の対象にはなりません。ただし、1人会社など会社の財産が個人資産と同一視される場合は、財産分与の対象となる可能性があるため注意が必要です。

親権

親権争いでは、母親が有利になることが多いですが、父親にも親権が認められるケースがあります。

父親が親権を得るためには、子どもとの関係や離婚後の養育環境が重視されます。たとえば、父親が両親と同居していて、子どもの面倒を見られる体制が整っている場合や、母親が夜職で育児が難しい環境である場合、父親に親権が認められる可能性があります。

また、子どもが小学校高学年から中学生程度まで成長している場合は、子どもの意思も尊重されるため、父親との同居を希望すれば親権が認められる可能性が高くなります。

養育費

養育費は、子どものために支払われるものであり、少なくとも相場に基づいた金額を支払うべきです。

ただし、離婚後に状況が変わった場合には、養育費の減額を請求できる可能性があります。たとえば、妻が再婚して家計が改善された場合や、男性が再婚して扶養する子どもが増えた場合などが該当します。

父親が親権を持つ場合、母親に養育費を請求することも可能です。