
インターネットやSNSの普及により、児童ポルノで検挙される人数は増加傾向にあります。児童ポルノで逮捕されてしまった場合、被害児童との示談なしに不起訴処分を期待することはできません。事件の内容によっては懲役刑が科されることもあります。
この記事では、児童ポルノ関連の犯罪について種類や刑罰を説明したうえで、児童ポルノで逮捕されてしまったらどうなるかを解説します。児童ポルノ関連の犯罪で不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
児童ポルノに関わる犯罪とは?犯罪の種類と刑罰
児童ポルノ関連の犯罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」と言います。)で規制されています。児童買春・児童ポルノ禁止法では、毎年3000人程度が検挙されています。
本記事では、児童買春・児童ポルノ禁止法で規制される犯罪のうち、児童ポルノ関連の犯罪について詳しく解説します。ここからは、児童ポルノとは何かを説明したうえで、児童ポルノ関連の犯罪と刑罰について解説します。
児童ポルノとは
児童ポルノとは、18歳未満の者の性的な行為などを、視覚で認識できる方法により描写した写真や電磁的記録のことです。児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項では、児童ポルノに該当する描写として、次の3つを挙げています。
- 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
- 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
- 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
1号の性的類似行為とは手淫や口淫などのことです。
2号や3号の描写については、単に児童の性器等を触った場面や裸の児童を撮影しただけでなく、それが性欲を興奮させ又は刺激するものである場合に限り、児童ポルノとなります。
児童ポルノ関連の犯罪と刑罰
児童ポルノ関連の犯罪としては、大きく分けて次の3つの種類があります。
- 所持・保管
- 提供・陳列
- 製造
児童ポルノの所持・保管
自分自身の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持したり保管したりした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
所持の目的が特定の人に提供するものであった場合には、提供目的所持罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。
また、不特定もしくは多数の人に提供する目的で所持していた場合には、さらに重い5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科の対象です。併科とは、懲役刑と罰金刑を併せて科すことをいいます。
児童ポルノの提供・陳列
児童ポルノの提供とは、相手方が児童ポルノを利用し得る状態に置くことです。具体的には、児童ポルノを添付したメールを相手方に送付する行為やクラウド上にアップロードする行為などが児童ポルノの提供に該当します。
児童ポルノの陳列とは、児童ポルノを不特定もしくは多数の人に提供する行為または、公に公開する行為のことです。具体例としては、児童ポルノをSNSに投稿する行為が挙げられます。
児童ポルノを特定の人に提供する行為の刑罰は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。児童ポルノを不特定もしくは多数の人に提供する行為、陳列する行為については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科の対象となります。
児童ポルノの製造
児童ポルノの製造とは、写真や動画を撮影して児童ポルノを作り出すことです。児童ポルノの製造では、次の3つの行為が3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。
- 特定の人に提供する目的で児童ポルノを製造する行為
- 児童に自分自身の性的な描写を撮影させて児童ポルノを製造する行為
- 盗撮で児童ポルノを製造する行為
不特定もしくは多数の人に提供する目的で児童ポルノを製造する行為については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科の対象となります。
児童ポルノで逮捕されたらどうなる?示談金の相場は?
児童ポルノで逮捕された場合、初犯では罰金刑が科される可能性が高いでしょう。事案によっては懲役刑となる可能性も否定できません。
当然のことながら、罰金刑も前科となります。児童ポルノで逮捕され、罰金刑で前科がつくと会社を解雇される、再就職が困難になるなど社会生活において大きな不利益を受けることになります。
児童ポルノでの刑罰を回避するための有効な手段の1つが被害児童との示談です。示談を成立させることができれば、不起訴処分を期待できますし、逮捕前であれば逮捕を回避できる可能性も高まります。
児童ポルノ事件での示談金の相場は、30万円から50万円程度です。もちろん、具体的な事件の内容によっては金額が大きくなることもありますし、どんなに高い金額でも被害者が示談に応じてくれないこともあります。
児童ポルノ事件で示談を成立させるには弁護士に依頼すべきです。弁護士に依頼することで早期に示談を成立させられる可能性が高くなりますし、被害者が示談に応じてくれない場合でも処罰を軽減するために最適な対応をしてもらえます。
まとめ
児童ポルノ事件で逮捕された場合、社会的な影響や法的なリスクは非常に大きなものとなります。
早期に適切な対応をとることが、将来にわたる不利益を最小限に抑えるために欠かせません。弁護士に相談することで、示談交渉や不起訴処分に向けた対応を迅速に進めることが可能です。
お困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。