撮影罪とは?性的姿態撮影等処罰法で犯罪になる5つの行為

撮影罪とは?性的姿態撮影等処罰法で罪になる5つの行為

スマートフォンや小型カメラの悪用による盗撮被害の深刻化を受け、令和5年7月13日に「性的姿態撮影等処罰法(通称撮影罪)」が施行されました。これにより、従来の迷惑防止条例違反ではなく、全国一律の基準として処罰される体制へと移行しています。

条例による規制があったにもかかわらず、なぜ新たに撮影罪を新設したのでしょうか。そこには、従来の法律の隙間を埋め、被害の拡大を徹底的に防ぐための重要な法改正の意図があります。

今回は、撮影罪の概要従来の迷惑防止条例との違いを整理するとともに、性的姿態撮影等処罰法において処罰の対象となる「5つの行為」とそれぞれの罰則について詳しく解説します。

懲役・禁錮から拘禁刑へ

2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました。旧制度や過去の事件に関連する場合は、懲役・禁錮と表記している場合もあります。

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撮影罪とは

撮影罪とは、令和5年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法(正式名称:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律)によって新設された犯罪です。

性的姿態撮影等処罰法は、性的な姿態を勝手に撮影する行為や、その画像が拡散されることによる被害の発生・拡大を防止することを目的として作られました

性的姿態撮影等処罰法で犯罪になる5つの行為

性的姿態撮影等処罰法で処罰の対象となる犯罪は、次の5つです。

罪名刑罰
性的姿態等撮影罪3年以下の拘禁刑
または300万円以下の罰金
性的影像記録提供等罪特定・少数に提供
3年以下の拘禁刑
または300万円以下の罰金

不特定・多数に提供
5年以下の拘禁刑
または500万円以下の罰金
性的影像記録保管罪2年以下の拘禁刑
または200万円以下の罰金
性的姿態等送信罪5年以下の拘禁刑
または500万円以下の罰金
性的姿態等影像記録罪3年以下の拘禁刑
または300万円以下の罰金

ここからは、これら5つの犯罪について、処罰の対象となる行為の内容を解説します。

性的姿態等撮影罪

性的姿態等撮影罪(撮影罪)は、性的姿態等を同意なく撮影することで成立する犯罪です。撮影罪における性的姿態等とは、以下のものを指します。

撮影罪における性的姿態等
  • 人の性的な部位(性器、肛門、これらの周辺部、でん部または胸部)
  • 人が身に付けている下着のうち性的な部位を直接または間接に覆っている部分
  • わいせつな行為または性交等がされている間における人の姿態

撮影罪で罪になる行為は、以下の4つです。

撮影罪で罪になる行為
  • 正当な理由なく、人が通常は衣類を身に付けている場所でひそかに性的姿態等を撮影する行為(不特定多数の人の目に触れることを認識しながら自ら性的姿態等を露出している場合を除く)
  • 不同意わいせつ罪に当たる行為またはそれに類する行為により、相手を同意しない意思を形成、表明もしくは全うすることが困難な状態にさせ、または相手がそのような状態にあることに乗じて性的姿態等を撮影する行為
  • 行為の性質が性的なものでないと誤信させる、もしくは、特定の人以外は閲覧しないと誤信させて性的姿態等を撮影する行為
  • 正当な理由がないのに13歳未満の者を対象として性的姿態等を撮影する行為、または、13歳以上16歳未満の者を対象として相手より5年以上前に生まれている人が性的姿態等を撮影する行為

不同意わいせつ罪に当たる行為またはそれに類する行為」については、不同意わいせつ罪の記事をご覧ください。

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撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となっており、未遂でも処罰の対象となります

性的影像記録提供等罪

性的影像記録提供等罪は、撮影罪で記録された画像・映像やそれをコピーしたものを特定の相手に提供した場合に成立する犯罪です。法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となっています。

これらの画像や映像を不特定多数の人に提供したり、公然と陳列した場合には、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科されます。

法定刑の違いは?

法定刑の違いは、特定・少数者である相手に提供しているか、不特定・多数者である相手に提供しているかによって変わります。インターネット上にアップロードするなどして、だれでも見れるようにすると不特定・多数者であるとみなされる可能性があります。

性的影像記録保管罪

性的影像記録保管罪は、撮影罪で記録された画像や映像を提供する目的、もしくは公然と陳列する目的で保管した場合に成立する犯罪です。撮影の実行犯だけが逮捕されるのではなく、その画像や動画を持っているだけでも処罰される可能性がある点に注意が必要です。

法定刑は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金となっています。

性的姿態等送信罪

性的姿態等送信罪は、撮影罪による画像や映像をメールやライブストリーミングなどで送信した場合に成立する犯罪です。誰でも見ることができる「生配信」などで盗撮映像を流す行為などが該当します。

法定刑は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金となっています。

性的姿態等影像記録罪

性的姿態等影像記録罪は、撮影罪による画像や映像であると知りながら、それを記録した場合に成立する犯罪です。盗撮画像・映像だと知りながらダウンロードする行為も処罰対象となります。

法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となっています。

撮影罪と迷惑防止条例の違い

これまで、盗撮行為は主に迷惑防止条例違反として処罰されてきました。しかし、迷惑防止条例は、各都道府県によって文言や罰則が異なるため、処罰の対象となる行為や罰則が地域ごとに異なっていました。

撮影罪は、全国で適用される法律であるため、全国一律の基準での処罰が可能となります。また、処罰の対象となる行為を類型化することで、これまで処罰が難しいとされていた行為や、軽犯罪法違反や住居侵入罪などの解釈によって処罰してきた行為も撮影罪で一律に処罰できるようになりました。

撮影罪の法定刑は、3~5年以下の拘禁刑または300~500万円以下の罰金となっており、迷惑防止条例よりも重い罰則が適用されます。迷惑防止条例の罰則は地域によって異なりますが、宮城県の場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則です。

さらに、性的姿態撮影等処罰法は、性的姿態等の撮影だけでなく、提供や保管、記録する行為も処罰の対象としています。

このように、撮影罪は、迷惑防止条例違反とは異なり、盗撮行為に対する全国一律の処罰を可能にするものです。また、近年拡大する盗撮行為を取り締まるため、処罰の対象となる行為を拡大し、迷惑防止条例違反よりも罰則を厳しくしています。

なお、撮影罪が施行された令和5年7月13日以降の盗撮行為については撮影罪が適用されますが、それ以前の撮影行為については、従来通り迷惑防止条例違反が適用されます。

盗撮に関連するその他の法律

盗撮事件では、新設された「撮影罪」や従来の「迷惑防止条例」だけでなく「行為の状況」や「どこで撮ったか」「誰を撮ったか」によって、別の法律が適用されるケースが多々あります。具体的には、以下のような法律が関係してきます。

罪名内容
住居侵入罪
建造物侵入罪
盗撮カメラを設置する目的で、女子トイレ、更衣室、学校の校舎などに侵入する行為など

3年以下の拘禁刑
または10万以下の罰金
児童ポルノ禁止法違反18歳未満の学生などを対象に盗撮を行い、その画像や動画を保存・拡散する行為など

1~3年以下の拘禁刑
または100~500万円以下の罰金
軽犯罪法違反人が通常衣服をつけない場所をひそかにのぞき見たり、カメラを向けたりする行為など

拘留または科料
拘留と科料

拘留とは、1日以上30日未満の身柄拘束を伴う刑罰
科料とは、1,000円以上1万円未満の金銭を徴収する財産刑

撮影罪(盗撮事件)で逮捕されたら

撮影罪はまだ新設されてから日が浅い法律であり、実務上の運用や「どの行為がどの罪名(保有、送信、記録など)に該当するか」の判断は非常に複雑です。そのため、盗撮事件の弁護実績や経験が豊富な弁護士でなければ、適切な見通しを立てることが難しいのが現状です。

もしご自身やご家族が盗撮行為をしてしまい、警察の捜査や逮捕に不安を抱えている場合は、一刻も早く弁護士へ相談することをおすすめします。早い段階で弁護士が介入し、被害者の方への誠実な示談交渉や、処罰の軽減に向けた弁護活動を行うことが、その後の人生を大きく左右します。

仙台青葉ゆかり法律事務所は、これまで多くの迷惑防止条例違反や刑事事件の弁護経験を積み重ねてまいりました。最新の撮影罪に関するトラブルにも迅速に対応いたします。当事務所は土日祝日でも対応可能な法律事務所ですので、緊急のご相談でも躊躇せず、まずは一度ご連絡ください。