

自首すると罪が軽くなるのですか?また、自分で警察に出向いたのに自首が認められない場合もあると聞きましたが本当でしょうか。

自首が認められると、刑が軽減される可能性があります。自首は、逮捕を避けたり、刑を軽くしたりするのに有利に働く場面が多いでしょう。
ただし、自分で警察に出向いた場合でも、捜査機関が犯人を特定していたのなら自首とは認められません。
自首を認めてもらうには、警察が犯罪を認知したり、犯人を特定したりする前に動く必要があります。
今回は、自首したらどうなるのかと不安を抱えている方に向けて、自首と出頭の違い、自首のメリット・デメリット、自首をする際の注意点などを解説します。
自首とは?自首と出頭の違い
自首とは、捜査機関に犯罪が発覚する前、もしくは捜査機関が犯人を特定する前に、自ら犯罪事実を申告することをいいます。つまり、自首が成立するのは、次のいずれかの場合です。
- 捜査機関がそもそも犯罪を認知していない
- 犯罪を認知しているものの、犯人を特定できていない
一方、捜査機関が犯罪を認知し、犯人を特定している場合に自ら捜査機関や裁判所に出向くことを出頭と言います。
たとえば、指名手配されている犯人が自ら警察署に出向いたケースは、自首ではなく出頭となります。
自首の効果
自首が成立する場合には、刑が減刑される可能性があります。刑法42条1項は「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と規定しています。
「できる」との文言のとおり、自首が成立したとしても必ず刑が軽減されるわけではありません。
しかし、実務上は、刑の軽減が認められる可能性が高いでしょう。有期の拘禁刑で刑が軽減されると、刑期が法定刑の2分の1になります。
たとえば、法定刑が10年以下の懲役の罪では、5年以下の懲役刑となります。
また、自首が成立せず出頭となった場合でも、刑の軽減が認められないわけではありません。
出頭の場合、法律上の軽減はありませんが、自ら出頭した情状を考慮し、最終的に言い渡される判決が軽減される可能性は十分にあります。
自首のメリット・デメリット
ここでは、自首のメリットとデメリットについて解説します。
自首のメリット
自首の主なメリットは、次の3点です。
- 刑が軽減される可能性が高くなる
- 逮捕される可能性が低くなる
- 精神的な不安が軽減される
自首することの最大のメリットは、刑が軽減されることです。法律上、刑の軽減は裁判所の裁量によりますが、軽減が認められる可能性は高いでしょう。
また、自首による反省の態度が考慮されて、起訴猶予による不起訴処分となる可能性もあります。
犯人が自首した場合には、逃亡のおそれが低いと判断され、逮捕される可能性が低くなります。
在宅で捜査を受けることにはなりますが、逮捕による身体拘束を避けられる点は大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、自首が認められたとしても、重大犯罪など逮捕が避けられないケースもある点には注意が必要です。
犯人は、捜査状況を知ることができません。そのため、犯罪を犯すと「バレたらどうなるだろう?」、「そのうち逮捕されるのでは?」といった不安を抱えて生活することになります。
自首で罪を告白すると、先が見えないことによる精神的ストレスは軽減されます。不安を抱えながら生活するよりも、早く罪を償ってやり直した方が良いと感じられることも多いでしょう。
自首のデメリット
自首のデメリットは、自らが被疑者として捜査を受けることになる点です。
自首は、捜査機関に犯罪や犯人が発覚する前に行われるものなので、自首によって捜査機関が犯罪の内容や犯人を認識することになります。
場合によっては、時効の成立まで発覚することがなかった犯罪で逮捕・起訴される可能性もあるのです。
犯罪の内容や被疑者の状況によっては、自首からそのまま逮捕される可能性もあります。逮捕されると一定期間の身体拘束は避けられません。
自首をする際には逮捕の可能性も考慮し、必要な身辺整理は済ませておくべきでしょう。
また、自首による刑の軽減は、あくまで裁判所の裁量となります。そのため、自首したとしても、必ずしも減刑効果を期待できるわけではありません。
自首をする際の注意点
自首をする際は、次の点に注意してください。
- 決意したならば、できる限り早めに自首する
- 犯罪の内容を説明できるよう準備する
- 事前に弁護士へ相談する
それぞれの注意点について具体的に解説します。
決意したならば、できる限り早めに自首する
自首を決意したならば、できる限り早く行動すべきです。
自首が認められるのは、捜査機関が犯罪を認知していない場合もしくは犯人を特定していない場合に限られます。自首するのが遅くなると、捜査が進行して自首が認められなくなる可能性があります。
出頭でも刑の軽減が期待できないわけではありませんが、減刑や起訴猶予の可能性を高めるには自首が認められるうちに行動すべきです。
犯罪の内容を説明できるよう準備する
基本的に、自首をするのに準備は必要ありません。しかし、口頭の説明だけでは内容が伝わらず、捜査がスムーズに進まなくなる可能性があります。
自首をするのなら、簡単に用意できるものだけでも資料や証拠を準備しておくと、スムーズに手続きを進められます。
ただし、準備に時間をかけすぎて自首が遅れないように注意してください。
事前に弁護士へ相談する
自首を検討しているのなら、事前に弁護士へ相談すべきです。
弁護士に相談すると、自首後に予想される流れを説明してもらえます。事前に説明を受けておけば、「自首したらどうなるのだろう」という不安を軽減できます。
また、自首する際に弁護士に同行してもらえば、事件内容の説明もスムーズに行えます。逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されて、逮捕・勾留される可能性も低くなります。
自首すべきか不安を抱えている方は、まずは弁護士へ相談してみてください。




 
  
  
  
  

