家族や知人が逮捕されてしまったら、「釈放されるまでの流れはどうなるのだろう」と不安に感じることでしょう。
刑事手続については、刑事訴訟法や刑法などで手続きの流れが明確に決められています。手続きの流れを理解しておけば、先行きについての不安も少なくなるでしょう。
今回は、逮捕されてから釈放、裁判に至るまでの刑事手続きの流れを詳しく解説します。手続きの見通しがわからず不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
逮捕から釈放までの全体像
逮捕されると、刑事裁判にかけられるかが決まる起訴・不起訴の判断までに最大で23日間の身柄拘束を受けることになります。
起訴されると刑事裁判を受けることになりますが、刑事裁判の有罪率は99%以上です。そのため、被疑者にとっては起訴・不起訴の判断が有罪か無罪かを決める重要な意味を持つことになるのです。
起訴後は、判決の前でも保釈によって釈放される可能性があります。勾留されたまま刑事裁判で有罪となっても、執行猶予判決であれば釈放されます。
逮捕
警察に逮捕されると、警察での簡単な取り調べが行われます。その後、被疑者の身柄は、逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。
ケンカや万引きなど軽い犯罪で現行犯逮捕されたケースでは、警察での取り調べ後に釈放されることも少なくありません。ですが、逮捕状を示されての通常逮捕のケースでは、検察官送致となるのがほとんどです。
警察から送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を勾留するか釈放するかの判断をして、勾留が必要と判断するときには裁判官への勾留請求を行います。
検察官による勾留請求があると、裁判所での勾留質問が行われます。裁判官は、勾留質問で勾留の要件を満たしているか否かを判断しますが、勾留請求が却下されるケースは少ないです。
逮捕から勾留質問までの期間は、弁護士以外に被疑者との面会はできません。逮捕されて不安を感じている被疑者にとっては、逮捕後できる限り早めに弁護士と面会することが重要です。
勾留
裁判官による勾留決定がされると、引き続き10日間の身体拘束を受けることになります。勾留の期間は10日間ですが、捜査の進捗によって最大で10日間の延長が認められているため、合計で20日間の拘束を受ける可能性があります。
検察官は、勾留期間中に被疑者を起訴するか釈放するかを決めなければなりません。勾留後は、本格的な捜査が行われて起訴・不起訴の判断がされることになります。
起訴されてしまうと、有罪となる可能性が極めて高いです。そのため、早期釈放や不起訴を目指すのであれば、勾留期間中の弁護活動が重要となります。たとえば、勾留期間中に被害者との示談が成立した場合には、起訴されずに早期釈放となる可能性が高いでしょう。
起訴後勾留
勾留された状態で起訴されると、起訴後勾留としてそのまま身体拘束の状態が続きます。起訴後勾留は、1か月ごとに更新されて判決の日まで続くのが基本です。
ただし、起訴後勾留には、保釈の制度があります。保釈とは、保釈保証金を納付することを条件として被告人を釈放する制度です。保釈されるには、裁判所への保釈請求が認められる必要があります。保釈請求が認められ、保釈保証金を納付すると、その時点で釈放されます。
刑事裁判
起訴されると刑事裁判で有罪・無罪の判決を受けることになります。起訴から刑事裁判が開かれるまでは、一般的な事件でも1か月ほどかかります。重大事件では、刑事裁判が開かれるまでの準備に1年ほどかかるケースも少なくありません。
自白事件では、起訴から約1か月後に初回の裁判期日が開かれ、それから2~3週間後に判決期日が開かれるケースが多いです。
判決
刑事裁判の審理が終わると、判決が下されます。無罪判決となった場合には、ただちに釈放され、有罪判決となった場合でも、執行猶予判決であればすぐに釈放されます。
早期釈放には弁護士との面会(接見)が重要
逮捕・勾留が長引くと、解雇や退学処分など私生活に重大な影響を与える可能性があります。逮捕からの早期釈放を目指すには、逮捕後すぐに弁護士と面会することが重要です。
逮捕された被疑者は、今後の見通しがわからずに不安を抱えています。弁護士が早期に面会して、手続きの流れや事件の見通しを説明することで被疑者の不安をやわらげることができるでしょう。
事件の内容によって、勾留の要件を満たしていないと考えられるときには、準抗告や勾留取消請求の手続で釈放が認められる可能性があります。勾留されてしまったときでも、示談を成立させれば早期釈放となるケースもあります。
逮捕後、勾留までの間に被疑者と面会できるのは弁護士だけです。勾留後も、被疑者へのアドバイスや示談交渉などの弁護活動が重要となります。家族や知人が逮捕されて不安を感じている場合は、早い段階で弁護士に相談して被疑者との面会を求めるようにしてください。