当番弁護士の役割とは?逮捕された際の迅速な対応方法を解説

当番弁護士の役割とは?逮捕された際の迅速な対応方法を解説

当番弁護士制度を利用すると、無料で弁護士から刑事手続きの説明や取り調べに対する助言を受けることができます。逮捕直後で不安を抱えている被疑者にとって、当番弁護士が果たす役割は非常に重要です。

今回は、当番弁護士について理解するために、当番弁護士を呼ぶ方法や当番弁護士の役割当番弁護士を利用する際の注意点などを解説します。

刑事事件お問い合わせ

当番弁護士制度とは?

当番弁護士制度は、逮捕された被疑者が1度だけ無料で弁護士による接見を受けられる制度のことです。

逮捕直後の被疑者は、自身が置かれた状況や刑事手続きの流れを理解できず、不安を感じていることが多いでしょう。不安を抱えたまま警察官の取り調べを受けたときには、自身の言い分とは異なる内容の供述調書に署名してしまう危険性もあります。そのため、逮捕直後に弁護士から手続きの説明や助言を受けることは、被疑者の精神的安定や冤罪を防ぐ上で重要です。

逮捕されてしまった場合には、まずは当番弁護士制度を利用して、今後の対応法を検討するようにしてください。

当番弁護士を呼ぶ方法

当番弁護士を呼ぶには、警察官、検察官もしくは裁判官に当番弁護士を利用したい旨を伝えてください。当番弁護士の要請があると、弁護士会から指定された当番弁護士が留置場所まで面会に来ます。

ここでは、当番弁護士を呼ぶ方法についてより詳しく理解するために、当番弁護士の対象となる事件、当番弁護士を呼べる人、当番弁護士を呼べるタイミングについて解説します。

当番弁護士の対象となる事件

逮捕されている事件であれば、どのような事件でも当番弁護士制度を利用できます。逮捕されたのが20歳未満の少年事件でも、当番弁護士の利用が可能です。

重大な事件は当然のこととして、当番弁護士は軽微な事件でも利用できるので、逮捕されたらまずは当番弁護士を呼んでください。

当番弁護士を呼べる人

当番弁護士は、逮捕されている本人だけでなく、家族の依頼で呼ぶこともできます家族が当番弁護士を呼ぶ場合には、弁護士会に連絡して当番弁護士の派遣を要請してください。

当番弁護士の利用に資力要件はありません。国選弁護を利用できるのは資力がない人だけですが、当番弁護士は資力を問わず誰でも利用できます。

当番弁護士を呼べるタイミング

当番弁護士は、逮捕された直後から釈放・起訴されるまでの間であればいつでも呼べます。

ただし、逮捕前に任意で取り調べを受けている事件や、起訴後の事件では当番弁護士を呼ぶことはできません。

国選弁護は勾留後でなければ利用できません。逮捕直後に刑事手続きの説明や取り調べについての助言を貰えるのは当番弁護士を利用するうえでの大きなメリットといえます。当番弁護士を利用するのは、逮捕からできる限り早いタイミングがおすすめです。

当番弁護士の役割

当番弁護士の役割としては、次の3つが挙げられます。

当番弁護士の役割
  • 逮捕・勾留の手続きの流れについての説明
  • 取り調べ対応についての助言
  • 家族への伝言

当番弁護士が被疑者と接見するのは1度限りであるため、当番弁護士の役割は限定的なものとなります。ですが、逮捕直後の被疑者にとっては、当番弁護士が果たす役割は重要なものです。

それぞれの役割について詳しく解説します。

逮捕・勾留の手続きの流れについての説明

初めて逮捕された被疑者は、刑事手続きの流れを理解していません。逮捕・勾留がいつまで続くか、起訴された場合にはどうなるのかなどを理解せずにいると、自分がいつごろ釈放されるのかの目安もわからず、被疑者は大きな不安を抱えることになるでしょう。

当番弁護士には、被疑者に刑事手続きの流れや今後の見通しを説明して、被疑者の精神的な負担を緩和する役割があります。

取り調べ対応についての助言

逮捕・勾留中の取り調べでは、供述調書が作成されます。供述調書は、刑事裁判における重要な証拠で、内容次第で有罪・無罪を決定づけることもあります。

不本意な供述調書が作成されることを防ぐには、当番弁護士による助言を受けておくことが重要です。当番弁護士は、事件の内容と被疑者の言い分を聞いたうえで、黙秘権を行使すべきか、犯罪事実を認めるべきか、供述調書の内容が自分の意図と異なる場合にどのように対処すべきかなどの助言をしてくれます。

当番弁護士からの助言を受ければ、取り調べにどのように対応すべきかという不安も軽減されるでしょう。

家族への伝言

逮捕された被疑者は、家族や仕事の関係者との連絡が取れずに不安を抱えているケースも多くあります。当番弁護士は、被疑者から聞いた伝言を家族や仕事関係者に伝えることができます。

逮捕から勾留までの間に被疑者と面会できるのは弁護士だけです。家族と面会できず不安を感じている被疑者にとって、当番弁護士の役割は非常に大きなものです。

当番弁護士を利用する際の注意点

当番弁護士を利用する際は、次の3つの点に注意が必要です。

当番弁護士を利用する際の注意点
  • 弁護士を選ぶことはできない
  • 接見してもらえるのは1度限り
  • すぐに来てくれるとは限らない

それぞれの注意点について詳しく解説します。

弁護士を選ぶことはできない

当番弁護士は弁護士会が指定するため、被疑者や家族が弁護士を選ぶことはできません。

弁護士会は、当番弁護士に登録されている弁護士を順番に派遣します。登録されている弁護士は、ベテラン弁護士から新人弁護士までさまざまです。そのため、当番弁護士の中には、義務的に対応している弁護士や刑事弁護の経験が乏しい弁護士もいます。

派遣される弁護士によっては、有益な説明や助言が受けられない可能性がある点には注意が必要です。

接見してもらえるのは1度限り

当番弁護士として接見してもらえるのは1度限りです。そのため、当番弁護士に被害者との示談交渉や検察官・裁判官への対応などの弁護活動を依頼することはできません

当番弁護士として派遣された弁護士に引き続き弁護を依頼するには、私選弁護人の契約をする必要があります。私選弁護には、着手金や報酬金などの費用がかかるため、資力がなければ依頼することはできません。

なお、資力がなく私選弁護の依頼ができない場合には、勾留後に国選弁護の利用ができます。

すぐに来てくれるとは限らない

当番弁護士の要請は、24時間いつでも可能です。しかし、派遣の要請を受けた当番弁護士がすぐに接見に来てくれるとは限りません。

派遣の要請を受けた弁護士は、基本的には当日中に接見する決まりとなっていますが、業務の状況によっては接見に向かうのが遅くなることもあるでしょう。すぐに被疑者との接見が必要な場合には、家族が私選弁護人に接見を依頼すべきです