「つい我慢できなくて…」
「軽いイタズラの気持ちで…」
のぞき行為をしてしまったという場合、刑事罰に問われる可能性があります。
そこで本記事では、のぞき行為でどのような犯罪が成立するのか、刑事事件になった場合の刑罰や、対応方法について解説します。
のぞき行為に成立する犯罪
のぞき行為に成立する犯罪として、次の3つがあります。
迷惑防止条例
のぞき行為に成立する犯罪として、迷惑防止条例があります。各都道府県に迷惑防止条例があり、のぞき行為はこの迷惑防止条例で処罰の対象となっています。
宮城県も迷惑防止条例が定められており、のぞき行為が処罰の対象とされています。
宮城県迷惑防止条例第3条の2
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し(中略)次に掲げる行為をしてはならない。
第2項2号
人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
また、写真を撮影するような場合は第3項で同様に処罰の対象とされています。
宮城県迷惑防止条例第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
上記の規定については同第16条1項で、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する旨が規定されているほか、常習性がある場合には同2項で2年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する旨が規定されています。
軽犯罪法
公共の場所ではないのぞき行為については、軽犯罪法で処罰されます。
軽犯罪法第1条22号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
軽犯罪法に違反した場合は拘留又は科料に処せられます。
住居侵入・建造物侵入罪
のぞき行為が住居や建造物に侵入して行われる場合、住居侵入罪・建造物侵入罪が成立します。
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
例えば、人の住居に侵入してお風呂やトイレをのぞいたような場合がこれにあたります。
仮に住人の許可を得て住居に入ったとしても、のぞきの目的を秘匿していたような場合には住居侵入罪が成立するので注意しましょう。
また、例えば駅でのぞきをしたような場合には、建造物侵入罪が成立します。
駅は不特定多数人が敷地に入る場所ですが、のぞき目的のように管理している人が認めていない形で入る場合には建造物侵入罪が成立します。
住居侵入罪・建造物侵入罪はのぞき行為について最も重い3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が規定されています。この場合、刑法54条によって、最も重い刑罰で処罰されることになります。
のぞき行為で刑事事件になった場合の対応方法
のぞき行為で刑事事件になった場合の対応方法を確認しましょう。
のぞき行為で刑事事件となった場合に何を目標とするか
対応方法の前提として、のぞき行為で刑事事件となった場合、何を目標として行動しなければならないかを知っておきましょう。
のぞき行為で刑事事件になる場合ほとんどが次のパターンで刑事事件化します。
- 現行犯で逮捕される
- 監視カメラ・防犯カメラから捜査が行われる
現行犯で逮捕された場合、その間家族や会社と連絡が取れなくなってしまうので、早期に身柄開放をしてもらうことが当面の目標となります。
一方で監視カメラ・防犯カメラから捜査が行われる場合、逮捕されないようにするのが目標です。その上で、起訴され有罪とならないようにするのが最終的な目標となります。
被害者と示談し嘆願書を作成してもらう
被害者と早期に示談をする必要があります。逮捕をするためには逮捕の必要性が必要とされています(刑事訴訟法第199条第2項)。
逮捕の必要性は逃亡・証拠隠滅の恐れがある場合に認められるとされているので、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを示す必要があります。
そのために、相手ときちんと連絡をとって、示談をすることが重要です。
また、検察官は起訴するかどうかを判断する際に、被害の弁償をしているか、被害者の処罰感情がどの程度か、反省の念があるか、再犯のおそれがあるかなどの事情を斟酌します。
そのため、示談をすれば、起訴を避けられる可能性も高くなります。示談をした場合に、被害者に加害者を許し処罰を望まない旨の嘆願書を作成してもらうようにしましょう。
反省を示す
反省を示す行動を取りましょう。上述の被害者との示談も反省を示す方法の一つですが、ほかにもきちんと被害者への謝罪や捜査への協力を行うなどの方法が挙げられます。
反省を示すことで、逮捕や起訴を免れる可能性が高くなります。
のぞきで逮捕された・刑事事件になりそうなときは弁護士に相談・依頼
のぞきで逮捕された・刑事事件になりそうなときは弁護士に相談・依頼しましょう。
逮捕されている場合、身柄を拘束され外部との接触ができず、被害者と示談ができないので、弁護士に相談・依頼して示談をしてもらえば、身柄を早期に開放してくれる可能性が高まります。
また、まだ逮捕されていないものの刑事事件になりそうなときには、身柄拘束を避けるためにも弁護士に依頼して適切に示談や反省を示すことが重要です。