公然わいせつ罪とは?罪に問われる行為を紹介

公然わいせつ罪とは?罪に問われる行為を紹介

人がいるところで全裸になるなどの行為によって成立する犯罪が公然わいせつ罪です。

公然わいせつ罪は「公然」「わいせつ」いずれも言葉だけでは意味があいまいで、具体的に何をしたら罪に問われるのか分かりづらい犯罪です。

そこで本記事では、公然わいせつ罪とはどのような犯罪か何をしたら罪に問われるのかについて解説します。

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公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪とは、刑法第174条に規定されている犯罪で、公然とわいせつな行為を行った場合の罪をいいます。

法定刑は6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とされています。

公然わいせつ罪は窃盗や傷害などのように、被害者がいるわけではありませんが、わいせつな行為によって社会の風紀を乱すことを防ごうとするものです。

何をしたら公然わいせつ罪となるのか

では、何をしたら公然わいせつ罪となるのでしょうか。

公然わいせつ罪の要件は次の2つです。

公然わいせつ罪の要件
  1. 公然と
  2. わいせつ行為

それぞれ具体的に内容を確認しましょう。

公然と

要件の一つ目は「公然と」行われるものであることです。

「公然」とは不特定または多数人が認識しうる状態を指すと、最高裁の判例で示されています(最高裁決定昭和32年5月22日)。

公然わいせつが行われることが多い、路上公園駅の構内ショッピングモールなどは不特定多数が利用するため、これに該当します。

わいせつ行為

要件の二つ目はわいせつ行為であることです。

わいせつとは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの 」と現在の最高裁判所にあたる戦前の大審院の判例で示されています(大審院判決大正7年6月10日)。

わいせつにあたるかどうかは行為者本人の主観ではなく、社会一般の感覚によって客観的に判断されます

そのため、たとえ行為者が性器を露出することはわいせつではないと考えていても、客観的には性欲を興奮・刺激せしめ、普通人の正常な性的羞恥心を害するもので、善良な性的道義観念に反するものとみなされます。

事例別公然わいせつにあたるか

具体的に事例別に公然わいせつにあたるかどうかを確認しましょう。

誰もいない公園で全裸になる

誰もいない公園で全裸になる行為は公然わいせつ罪にあたります。

誰もいないということは、不特定または多数人が認識していない状態なので公然といえず、公然わいせつ罪にはあたらないようにも思えます。

しかし、不特定または多数人が認識しうる状態であるなら、現実に不特定または多数人が認識している必要はありません。

ストリップ劇場

ストリップ劇場で性器を露出することは公然わいせつ罪にあたります。

ストリップ劇場は密閉した空間で特定の客を相手に興行がおこなわれているので公然といえず、公然わいせつ罪にはあたらないようにも思えます。

しかし、客は不特定多数の人から勧誘された結果であり、このような場合には公然性の要件を満たすと最高裁で示されており、公然わいせつ罪が成立します(最高裁決定昭和31年3月6日)。

わいせつな内容のライブ配信

インターネットのライブ配信でわいせつな内容配信することは、公然わいせつ罪にあたります。

配信サービスが海外のサーバーであり、配信者が外国にいる場合でも、日本国内の人が受信できる状態であれば国内犯として日本の刑法が適用され(刑法第1条)、インターネットを通じて公然とわいせつ行為をしていると判断されるためです。

公園で恋人同士がキスをすること

公園で恋人同士がキスをすることは公然わいせつ罪にはあたりません。

公園で恋人同士がキスをすることは、現在では日常的に見られるものであり、「徒に性欲を興奮または刺激させる」、「一般人の正常な性的羞恥心を害する」と評価できないためです。

もっとも、服を脱がせる・性行為または性交類似行為を行うことは、わいせつに該当し、公然わいせつ罪が成立します。

公然わいせつ罪で罪に問われるときの対策

公然わいせつ罪で罪に問われるときの対策には次のものがあります。

自首または出頭する

自首または出頭しましょう。自首とは、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自ら罪を申告して処罰を求めることをいいます。

罪に問われる際、まず逮捕される可能性がありますが、逮捕は逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断された場合に行われます。自首によってこのような恐れがないと判断されれば、逮捕を避けることができる可能性が高まります

さらに、自首によって処罰の必要性がないと検察官に判断されれば起訴を見送ってもらえる可能性があります。万が一起訴されても、情状酌量による減刑のための資料になります

犯罪と犯人が捜査機関に発覚した後に警察に自ら赴くことを出頭といいますが、この場合にも逮捕の必要性や起訴、情状酌量に影響する可能性はあります。

弁護士に依頼する

弁護士に依頼して弁護活動をしてもらいましょう。

公然わいせつのような性犯罪の場合、会社から懲戒解雇される可能性が高くなります。弁護士に依頼して、逮捕・起訴を避ける、身柄拘束の期間を短くするための行動をとってもらいましょう。

まとめ

本記事では公然わいせつ罪について解説しました。

公然わいせつ罪で逮捕・起訴されると前科がつき、家族や会社に知られることで大きなダメージを受ける可能性があります。逮捕や起訴を回避するために、弁護士に相談・依頼するようにしましょう