公然わいせつ罪とは?罪に問われる行為は?逮捕されたら?

公然わいせつ罪とは?罪に問われる行為を紹介

公然わいせつ罪という言葉自体はニュースなどでよく耳にしますが、「具体的にどこからが犯罪になるの?」と聞かれると、意外と答えに詰まってしまうものです。

法律上の定義である「公然」や「わいせつ」という言葉は、時代の変化や場所の状況によって解釈が変わるため、非常にあいまいです。実は「自分はただ悪ふざけをしただけ」「誰も見ていないと思った」という言い訳が通用せず、ある日突然、警察沙汰になってしまうケースも少なくありません。

そこで本記事では、公然わいせつ罪の「本当の境界線」をどこよりも分かりやすく解説します。公然わいせつ罪とはどのような犯罪か何をしたら罪に問われるのかについて整理していきます。

懲役・禁錮から拘禁刑へ

2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に1本化されました。旧制度や過去の事件に関連する場合は、懲役・禁錮と表記している場合もあります。

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公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪とは、刑法第174条に規定されている犯罪で、公然とわいせつな行為を行った場合の罪をいいます。

法定刑は6月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とされています。

拘留と科料

拘留とは、1日以上30日未満の身柄拘束を伴う刑罰
科料とは、1,000円以上1万円未満の金銭を徴収する財産刑

公然わいせつ罪は窃盗や傷害などのように、被害者がいるわけではありませんが、わいせつな行為によって社会の風紀を乱すことを防ごうとするものです。

何をしたら公然わいせつ罪となるのか

では、何をしたら公然わいせつ罪となるのでしょうか。

公然わいせつ罪の要件は次の2つです。

公然わいせつ罪の要件
  1. 公然と
  2. わいせつ行為

それぞれ具体的に内容を確認しましょう。

公然と

要件の一つ目は「公然と」行われるものであることです。

「公然」とは不特定または多数人が認識しうる状態を指すと、最高裁の判例で示されています(最高裁決定昭和32年5月22日)。

公然わいせつが行われることが多い、路上公園駅の構内ショッピングモールなどは不特定多数が利用するため、これに該当します。

わいせつ行為

要件の二つ目は「わいせつ行為」であることです。

わいせつとは「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの 」と現在の最高裁判所にあたる戦前の大審院の判例で示されています(大審院判決大正7年6月10日)。

わいせつにあたるかどうかは行為者本人の主観ではなく、社会一般の感覚によって客観的に判断されます

そのため、たとえ行為者が性器を露出することはわいせつではないと考えていても、客観的には性欲を興奮・刺激せしめ、普通人の正常な性的羞恥心を害するもので、善良な性的道義観念に反するものとみなされます。

公然わいせつ罪の事例紹介

具体的に事例別に公然わいせつにあたるかどうかを確認しましょう。

誰もいない公園で全裸になる

誰もいない公園で全裸になる行為は公然わいせつ罪にあたります。

誰もいないということは、不特定または多数人が認識していない状態なので公然といえず、公然わいせつ罪にはあたらないようにも思えます。しかし、不特定または多数人が認識しうる状態であるなら、現実に不特定または多数人が認識している必要はありません。

公園は、いつでも、誰でも(不特定多数が)自由に出入りできる「公共の場所」です。

  • 「たまたま」その瞬間に人がいなかっただけ
  • 次の瞬間には、犬の散歩中の人や、子供が走り込んでくるかもしれない
  • 近くのマンションの上層部から見下ろせるかもしれない

このような状況である以上、主観的に「誰もいない」と思って全裸になっても、客観的には「誰かに見られる危険性が極めて高い状態」を作っているため、公然わいせつ罪が成立します。

ストリップ劇場

ストリップ劇場で性器を露出することは公然わいせつ罪にあたります。

ストリップ劇場は密閉した空間で特定の客を相手に興行がおこなわれているので公然といえず、公然わいせつ罪にはあたらないようにも思えます。しかし、客は不特定多数の人から勧誘された結果であり、このような場合には公然性の要件を満たすと最高裁で示されており、公然わいせつ罪が成立します(最高裁決定昭和31年3月6日)。

「見たくない人を不快にさせていないなら、誰にも迷惑をかけていないのでは?」と思うかもしれませんが、公然わいせつ罪が守ろうとしているのは、「特定の誰かの感情」だけではありません。

たとえその場にいる全員が「見たい!」と同意していても、社会全体から見て「オープンに性器を露出する興行を野放しにすることは、社会の健全な秩序(風俗)を乱す」と判断されるため、犯罪が成立してしまうのです。

わいせつな内容のライブ配信

インターネットのライブ配信でわいせつな内容配信することは、公然わいせつ罪にあたります。

配信サービスが海外のサーバーであり、配信者が外国にいる場合でも、日本国内の人が受信できる状態であれば国内犯として日本の刑法が適用され(刑法第1条)、インターネットを通じて公然とわいせつ行為をしていると判断されるためです。

ライブチャットなどのわいせつな内容のライブ配信で逮捕されたら、公然わいせつ罪よりも重い刑罰のわいせつ電磁的記録媒体陳列罪となる可能性があります。

ライブチャットで逮捕される可能性は?関連する犯罪と法定刑を解説
ライブチャットはリアルタイムのビデオ映像を見ながら、チャットでの会話を楽しむことができるサービスです。近年、ライブチャットをわいせつな目的で利用することによる逮捕報道を目にする機会も多くなっています。「ライブチャットで逮捕されるのはどのよう…
罪名刑罰
公然わいせつ罪6月以下の拘禁刑
もしくは30万円以下の罰金
または拘留もしくは科料
わいせつ電磁的記録媒体陳列罪2年以下の拘禁刑
もしくは30万円以下の罰金
もしくは科料
または拘禁刑と罰金刑の併科

公園で恋人同士がキスをすること

公園で恋人同士がキスをすることは公然わいせつ罪にはあたりません。

公園で恋人同士がキスをすることは、現在では日常的に見られるものであり、「徒に性欲を興奮または刺激させる」「一般人の正常な性的羞恥心を害する」と評価できないためです。

もっとも、服を脱がせる・性行為または性交類似行為を行うことは、わいせつに該当し、公然わいせつ罪が成立します。

公然わいせつ罪で罪に問われるときの対策

公然わいせつ罪で罪に問われるときの対策には次のものがあります。

自首または出頭する

自首または出頭しましょう。自首とは、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自ら罪を申告して処罰を求めることをいいます。

罪に問われる際、まず逮捕される可能性がありますが、逮捕は逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断された場合に行われます。自首によってこのような恐れがないと判断されれば、逮捕を避けることができる可能性が高まります

さらに、自首によって処罰の必要性がないと検察官に判断されれば起訴を見送ってもらえる可能性があります。万が一起訴されても、情状酌量による減刑のための資料になります

犯罪と犯人が捜査機関に発覚した後に警察に自ら赴くことを出頭といいますが、この場合にも逮捕の必要性や起訴、情状酌量に影響する可能性はあります。

弁護士に依頼する

弁護士に依頼して弁護活動をしてもらいましょう。

公然わいせつのような性犯罪の場合、会社から懲戒解雇される可能性が高くなります。弁護士に依頼して、逮捕・起訴を避ける、身柄拘束の期間を短くするための行動をとってもらいましょう。

公然わいせつ罪で逮捕されたら

公然わいせつ罪は、犯罪の中でも比較的軽い犯罪とみられているので、逮捕まで至ることはそこまで多くありません。酒に酔って裸になってしまった、というような場合は現行犯逮捕される可能性も十分にあります。

酔いが覚めて公然わいせつをしたことを覚えておらず、容疑を否認している場合などは身体拘束が長引く可能性があります。家族が逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談して接見を依頼しましょう。起訴までは時間との勝負となるので、処分を軽くするためにも適切な対応が必要となります。

もし、ご自身や大切なご家族が「公然わいせつ」の疑いをかけられたり、あるいは誤って一線を越えてしまったりした場合は、以下の2点を決して忘れないでください。

  • 「時間との勝負」であることを自覚する
  • 一人で悩まず、すぐに弁護士に相談する

逮捕された場合でも、迅速な対応によって影響を最小限に抑えることが可能です。仙台青葉ゆかり法律事務所では、公然わいせつ罪で逮捕された方の刑事弁護を承っています。早期にトラブルを解決して、平穏な日常を取り戻すお手伝いをいたします。