
金銭を対価に男性とデートや性行為をすることを援助交際と表現することがあります。この援助交際をした場合には罪に問われるのでしょうか。
本記事では援助交際をした場合に成立する可能性がある犯罪と、逮捕される可能性・刑罰について解説します。
援助交際とは
援助交際とは、金銭を対価に女性が男性とデート・性行為をすることを言います。
現在では「パパ活」と呼ばれることが多くなった一方で、性行為については売春防止法2条における「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」という売春の定義にあてはまります。
援助交際で成立する可能性がある犯罪と刑罰
援助交際をすると成立する可能性がある犯罪には次のものがあります。
デートだけであれば犯罪は成立しない
援助交際がデートだけなのであれば、これを処罰する法律はありません。
売春自体は禁止されているが罪には問われない
援助交際は上述したように売春防止法における売春にあたりますが、売春防止法は売春行為自体を禁止しているものの、売春行為自体について犯罪とはしていません。
もっとも援助交際のために場所を提供したり、援助交際をあっせんする場合には、売春防止法違反として罪に問われる可能性があるので注意しましょう。
児童買春
相手が児童(18歳未満)である場合には、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となります。
児童買春・児童ポルノ禁止法第4条は、児童に対してお金を払って性行為をすることを、児童買春として禁止しています。
児童買春とは対価を払って「性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすること」をいいます(児童買春・児童ポルノ禁止法違反第2条第2項)。児童買春をした場合、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処される可能性があります。
淫行条例
いわゆる、淫行条例違反として逮捕・処罰されるおそれがあります。
各都道府県には青少年保護育成条例(宮城県の場合は、宮城県青少年健全育成条例)が制定されています。淫行条例とは、青少年保護育成条例における青少年(18歳未満の者)とみだらな性行為又はわいせつな行為(淫行)を禁止しています。宮城県青少年健全育成条例第31条第1項は淫行を禁止しており、違反した場合2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(宮城県青少年育成条例第41条第1項)。
児童ポルノに関する罪
援助交際の内容次第では児童ポルノに関する法律に違反として罪に問われる可能性があります。
児童ポルノについては、次の行為が禁止されており、処罰の対象となります。
内容 | 法定刑 |
児童ポルノの所持(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第1項) | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 |
児童ポルノの提供(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第2項) | 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 |
児童ポルノの製造(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第3項) | 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 |
援助交際で児童相手に性行為などをし、それを撮影する、または撮影させて送らせることは児童ポルノの製造にあたります。また、これをインターネットで拡散すれば提供となり、いずれも刑罰に処せられます。
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪
援助交際の相手が16歳未満である場合、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪に問われます。
刑法第176条第3項は16歳未満の相手に対してわいせつ行為をした場合、不同意わいせつ罪となることが規定されています。不同意わいせつ罪で罪に問われる場合の刑罰は、6か月以上10年以下の拘禁刑です。
また、刑法第177条第3項は16歳未満の相手に対して性交等をした場合に不同意性交等罪となることが規定されています。不同意性交等罪で罪に問われる場合の刑罰は、5年以上の有期拘禁刑です。
いずれも13歳以上16歳未満の場合は、その人よりも5歳以上年上の場合に限ります。
出会い系サイト規制法違反
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法違反)では、出会い系サイトにおいて児童(18歳未満)に対して、交際や性行為などを誘引することを禁止しています(出会い系サイト規制法第6条)。
出会い系サイトにおいて未成年者に対してどのような形での援助交際を持ちかけても違法となり、この場合の刑罰は100万円以下の罰金です。
援助交際で逮捕される可能性は非常に高い
援助交際についてはバレることで逮捕される可能性が高いことを知っておきましょう。
たとえば未成年者が援助交際をしているのが親にバレた場合、警察に通報するなどして事件化することになります。上記のように援助交際で罪となる場合、その多くに懲役刑が法定されており、罪としては非常に重いと考えるべきです。そのため、特別な対応をしなければ逮捕・起訴される可能性が高いといえます。
援助交際で犯罪に当たる場合に何をすればよいか
これまでに紹介した行為を行い、罪に問われる可能性がある状況になった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
内容にもよりますが、たとえば不同意性交等罪や不同意わいせつ罪のように、刑罰が非常に重いものについては逮捕・起訴される可能性が高くなります。この場合には、被害者(実際には被害者である児童の親)と示談し、反省の態度を示すとともに、被害者側からも寛大な処分を求める意向を示してもらうための対応が必要です。これは、すでに逮捕されており、身柄拘束からの解放を目指す場合でも同様です。
性犯罪に関して被害者と示談を進める場合は、相手方との連絡や交渉が非常に難しい状況になることが多いです。また、相手の情報がわからない場合には警察から教えてもらうこともできません。そのため、弁護士を通じて示談をする必要があります。逮捕・起訴を避けるためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
本記事では、援助交際がどのような罪にあたり、どのような刑罰が規定されているのか、逮捕の可能性などについて解説しました。相手が未成年者である場合には、さまざまな刑罰に該当する可能性があり、その多くは近年厳罰化の傾向にあるものばかりです。
罪に問われる行為をした場合には逮捕・起訴される可能性が高く、被害者側と示談をするなどの対応が必要です。なるべく早く弁護士に相談して、対応をするようにしましょう。