弁護士なしでも示談は可能?弁護士をつけずに示談することの危険性を解説

弁護士なしでも示談は可能?弁護士をつけずに示談することの危険性を解説

刑事事件の被害者との示談交渉は、弁護士なしでも可能です。しかし、弁護士をつけずに示談すると、適切な示談ができず、後から事件を蒸し返されてしまう可能性もあります。被害者が面談にすら応じてくれないケースもあるでしょう。

この記事では、弁護士をつけずに示談することの危険性示談交渉を弁護士に依頼すべき理由について解説します。被害者との示談交渉を弁護士に依頼するか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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弁護士をつけずに示談することの危険性

被害者との示談交渉を弁護士なしで進めることには、次のようなリスクがあります。

示談交渉を弁護士なしで進めるリスク
  • 被害者が交渉にすら応じてくれない
  • 適切な時期までに示談を成立させられない
  • 不当な条件で示談を成立させてしまう
  • 後から事件を蒸し返されてしまう

それぞれのリスクについて具体的に解説します。

被害者が交渉にすら応じてくれない

加害者本人が示談交渉を行うと、被害者が連絡を拒絶して交渉にすら応じてくれない可能性があります。

加害者が被害者の連絡先を知らない場合、被害者の許可を得たうえで検察や警察から連絡先を教えてもらう必要があります。しかし、被害者の中には、加害者に自分の個人情報を伝えることに強い抵抗を感じる方も少なくありません。被害者が連絡先の開示を拒絶した場合、示談交渉をスタートすることすらできなくなってしまいます。

被害者の連絡先を知っている場合でも、加害者に対する恐怖心や警戒心から話すら聞いてもらえない可能性もあるでしょう。

弁護士なしでの示談交渉は、交渉のスタート地点に立つことすらできない場合も多いのです。

適切な時期までに示談を成立させられない

示談は適切な時期までに成立させなければ、期待していた成果を得られなくなってしまいます。示談交渉に時間がかかると、示談が成立する前に逮捕や起訴されてしまう可能性もあります。

示談交渉の経験がない加害者本人がスムーズに交渉を進めるのは簡単ではありません。当事者同士では感情的になり、冷静に交渉を進められない可能性もあるでしょう。

刑事事件の示談は、できる限り早く成立させなければなりません。加害者本人による示談交渉は、時間がかかり、有効な示談を成立させられないリスクが高まります。

不当な条件で示談を成立させてしまう

弁護士なしで示談を進めると、適切な示談金の額を判断できず、不当な金額で示談を成立させてしまうリスクがあります。

適切な示談金の額を判断するには、犯罪の種類だけでなく、具体的な被害の内容、被害者の年齢や立場、加害者の経済状況などさまざまな事情を考慮しなければなりません。専門的な知識や経験がない加害者本人が適切な示談金の額を判断することは難しいでしょう。

また、加害者本人は、被害者からの提案を強く拒否できない立場にあるため、被害者の要求に従い、不当な金額で示談に応じてしまう可能性もあります。

後から事件を蒸し返されてしまう

加害者が示談交渉を進めると、適切な示談書を作成できず、後から事件を蒸し返されてしまうリスクがあります。

示談が成立した際には、示談書を作成することになります。示談書の内容は、事件を根本的に解決するものでなければなりません。加害者が示談書を作成すると、必要な記載が漏れて、事件の根本的な解決とはならず、後から事件を蒸し返されてしまう可能性があります。

例えば、示談書の項目として、被害届の取り下げや加害者の刑事処分を望まないとの宥恕条項が抜けていた場合、示談は民事の被害弁償の意味を持つだけで、刑事事件はそのまま進められてしまう可能性もあります。

示談交渉を弁護士に依頼すべき理由

これまでに説明したとおり、弁護士なしで示談交渉を進めることにはさまざまなリスクがあります。被害者との示談交渉は、弁護士に依頼すべきです。示談交渉を弁護士に依頼すべき具体的な理由としては、次のものが挙げられます。

示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
  • 被害者が示談に応じる可能性が高まる
  • 適切な条件で示談できる
  • 示談不成立となった際の対応も任せられる

それぞれの理由について、詳しく解説します。

被害者が示談に応じる可能性が高まる

加害者本人との接触を拒否する被害者であっても、弁護士からの連絡であれば対応してくれる可能性があります。連絡先の開示についても、加害者ではなく弁護士であれば応じてくれる可能性も高くなるでしょう。

弁護士に示談交渉を依頼すると、被害者に話すら聞いてもらえず交渉のスタート地点にすら立てないというリスクは低くなります。

適切な条件で示談できる

弁護士に示談交渉を依頼すると、専門的な知識と経験から適切な条件で示談交渉を進めてもらえます。

示談交渉の経験が豊富な弁護士であれば、適切な示談金額を判断することは容易です。被害者も弁護士からの説明であれば、示談金の額や示談内容に納得する可能性が高くなるでしょう。示談書の作成も任せられるので、事件を根本的に解決する適切な内容の示談書を作成できます。

弁護士に示談交渉を任せると、被害者との交渉をスムーズに進め、早期に適切な条件で示談を成立させることが期待できます。

示談不成立となった際の対応も任せられる

弁護士に示談交渉を依頼した場合、仮に示談不成立となったときでも、刑事処分をできる限り軽減するための対応を任せられます。

刑事処分を軽減する方法は、示談だけではありません。示談が成立しない場合でも、示談交渉の経緯を捜査機関に報告する、贖罪寄付を行う、賠償金を供託するなど、刑事処分の軽減が期待される方法はあります。弁護士に依頼すると、こうした方法についての対応もすべて任せられます。

まとめ

弁護士をつけずに示談を行うことは可能ですが、被害者が交渉に応じてくれない、示談の成立が遅れる、不当な条件で合意してしまう、示談書の不備により事件を蒸し返されるといったリスクがあります。

これに対し、弁護士に依頼すれば、被害者が応じる可能性が高まり、適正な条件で示談を成立させやすくなります。さらに、示談が不成立となった場合でも、刑事処分を軽減するための対応を任せることができます。

示談交渉に不安を抱えている方は、早めに刑事事件の経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。