被害届を取り下げてもらうにはどうする?取り下げの効果と弁護士に依頼する理由を解説

被害届を取り下げてもらうにはどうする?取り下げの効果と弁護士に依頼する理由を解説

犯罪を犯して被害届を出されると、刑事処分を受けるリスクが高まります。逮捕や起訴によって前科が付けば、社会生活に大きな不利益を受けることになります。

刑事処分を受けるリスクを低くするには、被害届を取り下げてもらうのが効果的です。

そもそも被害届にはどのような意味があるの?」「取り下げてもらうにはどうしたら良いの?」など疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

今回は、被害届の取り下げを必要としている方に向けて、そもそも被害届とは何か被害届取り下げの効果被害届を取り下げてもらうための方法などを解説します。

刑事事件お問い合わせ

そもそも被害届とは

被害届とは、犯罪の被害に遭った事実を警察に申告する書面のことです。

警察は被害届の受理を拒むことはできません。ただし、受理しても捜査を行うかどうかは警察の判断に委ねられています。被害届を受理しても捜査に着手しない場合がありますが、それ自体が違法となるわけではありません。

被害届は、捜査を開始するきっかけとして重要な役割を果たすケースが多くあります。実際、被害者のいる事件の多くは、被害届がきっかけで警察の知るところとなり、捜査が開始されます。

一方、被害届と似たものとして、告訴があります。告訴は、被害を申告するだけでなく犯人の処罰を求めるものです。告訴を受理した場合、警察は、事件を捜査する義務を負います。そのため、事件や証拠の内容によっては、告訴を受理してもらうのが難しいケースもあります。

被害届が取り下げられるとどうなる?

被害届は、警察に被害を申告する書面に過ぎません。そのため、被害届が取り下げられたとしても、捜査や裁判の進行を止めるような法律上の効果はありません。

ただし、実際には、被害届の取り下げによって、捜査が打ち切られたり、不起訴になる可能性が高まったりなどの効果が期待できます。ここでは、取り下げの事実上の効果と、期間制限について解説します。

取り下げの効果

被害届をきっかけに捜査が開始されたとしても、被害届の取り下げにより捜査を打ち切る法律上の効果はありません。

しかし、被害者が被害届を取り下げるということは、犯人の処罰を望まないことを意味するものと言えます。そのため、被害届が取り下げられると、捜査機関が被害者の意向に沿って、捜査を打ち切ったり、不起訴処分としたりする可能性が高まるのです。

被害届が取り下げられずにいると、捜査は進行し、逮捕されたり、起訴されたりする可能性が高いでしょう。被害届の取り下げは、処罰を免れる、または最小限に抑えるために大きな意味を持ちます。

取り下げの期間制限

被害届の取り下げは、法律上の効果を持つものではありません。そのため、いつまでに取り下げなければならないという期間制限もありません。

しかし、被害届の取り下げによる捜査の打ち切りや不起訴など事実上の効果を期待するのなら、できる限り早く取り下げてもらうのが効果的です。

たとえば、逮捕前に被害届を取り下げてもらえれば、逮捕に至る可能性は低くなります。起訴前に取り下げてもらえれば、不起訴となる可能性が高まります。起訴後であっても、判決前であれば情状として考慮される可能性があります。

被害届の取り下げが遅くなると、その分だけ期待できる効果が低くなるので、被害者との示談交渉はできる限り早く開始すべきです。

被害届を取り下げてもらうには?

被害届を取り下げてもらうためには、被害者との示談を成立させる必要があります。加害者本人が被害者と示談交渉を行うと、被害者が恐怖を感じることも多いため、示談交渉は弁護士に依頼すべきです。

ここでは、被害者との示談の内容や示談交渉を弁護士に依頼するメリットを解説します。

被害者との示談

示談とは、加害者が謝罪し、示談金を支払うことにより、被害者が加害者を許したり、被害届を取り下げたりすることを指します。

当然のことながら、被害者には示談に応じる義務はありません。示談を成立させるには真摯な反省の態度を示すこと示談金によって賠償義務を果たすことなどが求められます。

示談が成立した場合には、示談書を作成する必要があります。示談の内容に被害届の取り下げが含まれていれば、示談の成立により被害届も取り下げられることになります。

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

示談交渉は弁護士に依頼すべきです。示談交渉を弁護士に依頼する理由・メリットとしては、次のものが挙げられます。

示談交渉を弁護士に依頼するメリット
  • 示談交渉に応じてもらえる可能性が高まる
  • 示談交渉をスムーズに進められる
  • 適切な金額で示談できる

加害者本人が示談交渉を行おうとすると、被害者が直接のやり取りを拒絶して交渉にすら応じてくれない可能性があります。被害者の連絡先を知らないケースでは、連絡先すら入手できないこともあるでしょう。弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士からの連絡で示談交渉に応じてくれる可能性が高くなります。

本人同士が交渉すると感情のもつれで交渉が進みにくくなりますが、弁護士が介入することで、示談交渉をスムーズに進められます。示談は、できる限り早く成立させるべきなので、弁護士に交渉を依頼するメリットは大きいです。

また、適切な示談金の額を判断するには、専門的な知識と経験が必要となります。加害者本人が交渉すると、不当に高い金額で示談してしまう可能性もあるでしょう。弁護士に交渉を任せることで、適切な金額で交渉を進められます。

被害者との示談交渉を必要とする方は、できる限り早く弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

被害届の取り下げは、法律上の直接的な効果はありませんが、捜査の打ち切りや不起訴につながるなど、事実上大きな意味を持つことがあります。そのためには被害者との示談成立が不可欠であり、適切かつ迅速に対応するには弁護士の力を借りることが重要です。

被害届の取り下げや示談交渉でお悩みの方は、一人で抱え込まず、ぜひ当事務所にご相談ください。