ストーカー被害で警察が動かないなら弁護士に相談

ストーカー被害で警察が動かないなら弁護士に相談
相談者
相談者

ストーカー被害を警察に相談していますが、なかなか動いてくれません。このまま警察が対応してくれるのを待っていても良いのでしょうか。

前田啓吾
前田啓吾

残念ながら、ストーカー被害で警察がすぐに動いてくれないことは珍しくありません。実際、警察の対応遅れが原因で深刻な被害が発生したというニュースを耳にしたこともあるでしょう。警察が動いてくれないのなら、すぐにでも弁護士に相談すべきです。

今回は、ストーカー被害でお悩みの方に向けて、ストーカー規制法の内容や警察が動いてくれない理由ストーカー被害に対して弁護士ができることなどを解説します。

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ストーカー規制法の内容

ストーカー行為は、ストーカー規制法によって規制されています。ストーカー規制法は2000年に施行されましたが、施行後もストーカーによる犯罪は後を絶ちませんでした。そのため、現在までに規制の範囲を拡大する、刑罰を重くするなどの法改正が繰り返されています。

ストーカー規制法では、つきまといや電子メールの送信、位置情報の無承諾取得などの行為が規制の対象とされています。規制された行為を反復して行うとストーカー規制法違反となり、刑事罰の対象となるのです。

ストーカー行為の具体例としては、次のようなものが挙げられます。

ストーカー行為の具体例
  • つきまとい、待ち伏せする、押しかける
  • 行動を監視していると告げる
  • 面会や交際の要求をする
  • 一方的に電話をかけ続ける、メールを送信し続ける
  • 中傷する
  • 性的羞恥心を害する など

従来、ストーカー行為の刑事罰は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金でした。現在、ストーカー行為の刑事罰は厳罰化され、基本的に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となっています。

公安委員会による禁止命令が出された状態で命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金と刑罰が重くなります。

ストーカー被害で警察が動かない理由

ストーカー規制法の厳罰化が進められる現状においても、ストーカー被害で警察が動いてくれないケースはなくなっていません。川崎市のストーカー殺人事件で、警察が対応のミスを認めたのは記憶に新しいところでしょう。

ストーカー被害で警察がすぐに動かない理由としては、次のものが挙げられます。

警察がすぐに動かない理由
  • ストーカー行為の証拠が十分でない
  • 行為の反復性が認められない
  • 他の事件を優先して手が回らない
  • 被害内容が正確に伝わっていない
  • 被害者が被害届の提出をためらっている
  • 加害者を特定できていない など

ストーカー行為は、犯罪に該当するか否かの判別が難しいものです。加害者が配偶者や元交際相手のケースでは、被害届を出すべきか迷うこともあるでしょう。

警察を動かすには、被害内容を正確に伝え、処罰の意思を明確にするなど、被害者側の協力も必要となります。

ストーカー被害に対して弁護士ができること

ストーカー被害で警察が動いてくれないときは、すぐにでも弁護士に相談すべきです。ストーカー被害に対して弁護士ができることとしては、次のようなものが挙げられます。

弁護士ができること
  • 加害者対応についてのアドバイス
  • 警察への同行・告訴状の提出
  • 接見禁止命令の発動を促す
  • 加害者との交渉
  • 民事訴訟の提起

それぞれの内容について、具体的に解説します。

加害者対応についてのアドバイス

弁護士は、被害の内容を聞きとって、何が法律違反になるのか、被害を拡大させないためにはどう対応すべきかなどの助言をします。

ストーカー事件では、加害者への対応を間違えると大きな事件に発展してしまう危険があります。そのため、加害者対応は、専門家の助言を受けたうえで慎重に行うべきです。

警察への同行・告訴状の提出

被害者のみの相談では警察が動いてくれない場合でも、弁護士が同行することで警察が動く可能性を高められます。

弁護士は、警察への相談に立ち会うことが可能です。弁護士が立ち会うことで、警察も深刻な状況であることを理解し、真剣に動いてくれる可能性が高まります。事案が複雑な場合には、資料を準備して警察に被害内容を伝えるサポートをすることも可能です。

警察の動きが遅いときは、告訴状を提出する、検察に抗議するなどして捜査の進行を促します。

接見禁止命令の発動を促す

ストーカー行為への対応は、警察による警告、公安委員会による接触禁止命令など、段階的に進められます。警察の警告でも被害が収まらないときは、弁護士から公安委員会に接触禁止命令の発動を促すことも可能です。

公安委員会の接触禁止命令に違反した場合、加害者には重い刑事罰が科されます。そのため、接見禁止命令にはストーカー行為を思いとどまらせる効果が期待できます。

加害者との交渉

弁護士に依頼したあとは、弁護士が加害者対応の窓口となります。被害者自身が加害者に対応する必要がなくなるため、精神的な負担を軽減できるでしょう。

弁護士は、内容証明を送付する、電話をするなどの方法で加害者と接触し、示談の成立を目指します。示談が成立したら、被害者との接触禁止や違反した場合の対応などを記載した示談書を作成します。

弁護士が介入することで、加害者が自らの行為の違法性を認識し、冷静さを取り戻すことも期待できます。

民事訴訟の提起

ストーカー行為が原因で怪我をしたり、精神的な病を抱えたりなどの被害を受けたときは、加害者に対して損害賠償を請求可能です。

弁護士は、損害賠償請求のため、内容証明の送付や民事訴訟の提起などの対応を行います。弁護士に依頼すれば、刑事だけでなく民事も含めた全面的な問題解決のサポートを受けられます。

まとめ

ストーカー被害は、放置すれば命に関わる深刻な事態に発展するおそれがあります。警察が動かない場合でも、弁護士を通じて適切な法的措置を取ることで、被害を抑止し、安全を確保することが可能です。

ストーカー被害でお困りの方は、決して一人で悩まず、ぜひ当事務所にご相談ください。