未成年と性行為(淫行)をして逮捕される可能性や刑罰について

未成年と性行為(淫行)をして逮捕される可能性や刑罰について

未成年者と性行為をしてしまった場合、気をつけなければならないのは、逮捕・起訴される可能性があるということです。法律や条例で未成年者と性行為をすることについて犯罪とされる場合があるのですが、それはどのような場合に、どのような刑罰の対象となるのでしょうか。

本記事では、未成年者と性行為をしてしまった場合に逮捕される可能性や、刑罰について解説します。

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未成年者と性行為をした場合に成立する犯罪と刑罰

未成年者と性行為をした場合に成立する犯罪と刑罰には次のものがあります。

宮城県青少年健全育成条例違反(淫行条例)

いわゆる淫行条例違反として逮捕・処罰されるおそれがあります。

宮城県青少年育成条例第31条第1項は、「何人も、青少年に対しみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」と規定しており、みだらな性行為(淫行)を禁止しています。なお、青少年とは、宮城県青少年育成条例第14条第1号に基づき、18歳未満の者を指します。この規定に違反した場合の法定刑は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です(宮城県青少年育成条例第41条第1項)。一般に淫行条例・青少年保護育成条例と呼ばれるものがこれで、他の都道府県にも同様の規定が存在します。

なお、「淫行」については最高裁判所昭和60年10月23日判決によれば、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうもの」と定義されています。

宮城県では、2024年11月14日に白石市職員が逮捕されるに至っており、基本的には逮捕される可能性が非常に高いといえるでしょう。

児童福祉法違反

児童福祉法違反として逮捕・処罰されるおそれがあります。

児童福祉法第34条第1項第6号では、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しています。なお児童とは、青少年と同じく18歳未満の者をいいます(児童福祉法第4条第1項)。「淫行をさせる」という意味は、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」をいい性行為の相手方でも成立するというのが判例です(最高裁判所平成28年6月21日決定)。

児童福祉法34条第1項第6号違反については、児童福祉法第60条で10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられ、これらを併科(懲役と罰金両方に処する)することも可能です。

青少年健全育成よりも法定刑が重いこともあり、逮捕・起訴の可能性はさらに高いといえます。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下児童買春・児童ポルノ禁止法)違反として処罰されるおそれがあります。

児童買春・児童ポルノ禁止法第4条では、児童買春を禁止しています。児童とは18歳未満の者を指し・児童にお金を払って性行為をする行為は児童買春にあたります。児童買春は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また、未成年者との性行為を撮影したもの(児童ポルノ)を所持したり提供した場合には、以下の通りの刑罰が課せられます。

内容法定刑
児童ポルノの所持1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
児童ポルノの提供3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金

懲役刑が設定されていることもあり重い犯罪といえ、逮捕の可能性は非常に高いといえるでしょう。

不同意わいせつ・不同意性交等

次の行為を行うか、その行為が行われた状態を利用してわいせつな行為を行った場合には、不同意わいせつ罪(刑法第176条)、性交等を行った場合には不同意性交等罪が(刑法177条)が成立します。

不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立する行為
  • 暴行もしくは脅迫を行う
  • 心身の障害を生じさせる
  • アルコールもしくは薬物を摂取させる
  • 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせる
  • 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない
  • 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚がくさせる
  • 虐待に起因する心理的反応を生じさせる
  • 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる
  • 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせる
  • 行為をする者について人違いをさせる
  • 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をする
内容法定刑
不同意わいせつ6か月以上10年以下の拘禁刑
不同意性交等5年以上の有期拘禁刑

なお、わいせつとは「いたずらに人の性欲を刺激し、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること(最高裁判所の定義)」であり、性交等とは「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(刑法第177条)」をいいます。

法定刑が非常に重く、特別な対策をしなければ逮捕は免れず、起訴され有罪・実刑となる可能性も否定できません。

自由恋愛である場合には逮捕・起訴がされない場合もある

なお、性行為については自由恋愛の範囲内であれば逮捕・起訴がされない場合もあります。

もっとも、不同意わいせつ・不同意性交等では同意できるのは16歳以上であり、16歳未満である場合には自由恋愛の範囲内であっても違法となりうるので注意が必要です。

逮捕・起訴されないための対策

未成年者との性行為が犯罪に該当する可能性がある場合、逮捕や起訴を避けるためにはどのような対策が考えられるのでしょうか。

被害者と示談する

被害者と示談することが挙げられます。

逮捕は罪証隠滅・逃亡のおそれがある場合におこなわれるのですが、被害者と示談が済んでいる場合、罪証隠滅・逃亡のおそれはないと判断され、逮捕が見送られる可能性が高まります。また、被害者と示談をしている場合、犯人が反省していること・処罰感情が弱くなっているといえることなどから起訴されない可能性が高くなるでしょう。

被害者との示談をする場合には相手の親権者とおこなう必要があり、非常に心証が悪いことが考えられるので、直接示談交渉をするよりも弁護士を通じて示談交渉をするのが良いでしょう

自首をする

自首することが挙げられます。

被害者と面識がない・被害者への連絡方法がわからない場合には示談ができません。そのため、警察に自首するのが良いでしょう。警察が相手の連絡先を教えてくれることは期待できないので、弁護士に依頼して警察から被害者の連絡先を教えてもらって示談をすることになります。

まとめ

本記事では、未成年者と性行為をした場合に逮捕される可能性はあるのか、どのような刑罰となるのかを中心に解説しました。未成年者と性行為をした場合には、その態様によって様々な犯罪が成立する可能性があり、適切な対応が必要です。まず弁護士に相談することをおすすめします。