盗撮は犯罪になる?刑罰や示談金について

盗撮は犯罪になる?刑罰や示談金について

盗撮をすることは悪いことだという認識をほとんどの方が持っています。

しかし、具体的にどのような犯罪にあたり、どのような刑罰に処されるのでしょうか。またもし盗撮をしてしまった場合、どのような対応が必要なのでしょうか。

本記事では、盗撮は犯罪になるのか犯罪になる場合の刑罰や示談について解説します。

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盗撮で成立する可能性のある犯罪

盗撮をすることで成立する可能性のある犯罪には、次のものがあります。

撮影罪(性的姿態等撮影罪)

令和5年7月13日に施行された、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律において創設された撮影罪に該当する可能性があります。

次の行為は撮影罪で処罰の対象となります。

撮影罪で処罰の対象となる行為
  • 正当な理由がないのに、ひそかに、対象性的姿態等(※1.2)を撮影する行為
  • 刑法第176条第1項各号に規定されている行為(※3)または事由その他これらに類する行為または事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
  • 性的なものではないとの誤信をさせ、もしくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の性的姿態等を撮影する行為
  • 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影する行為および13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
※1 性的姿態等とは
  • 人の性的な部位(性器・肛門・これらの周辺部・臀部・胸部)または人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
  • わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿
※2 対象性的姿態等

人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの

※3 刑法第176条第1項各号に規定されている行為
  • 暴行もしくは脅迫を行う
  • 心身の障害を生じさせる
  • アルコールもしくは薬物を摂取させる
  • 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせる
  • 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない
  • 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させる
  • 虐待に起因する心理的反応を生じさせる
  • 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる

定義は非常に複雑ですが、たとえば駅でスカートの中を盗撮する行為は、次のようにこの撮影罪に該当します。

例:駅でスカートの中を盗撮する行為
  • 人が身に着けている下着なので性的姿態にあたる
  • 人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものではないので対象性的姿態にあたる
  • 正当な理由がないのにひそかに対象性的姿態等を撮影している

撮影罪に該当した場合は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されることがあります。

軽犯罪法

軽犯罪法第1条第23項は、正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服を着けずにいる場所をひそかにのぞき見た者に、拘留又は科料に処する旨を規定しています。

撮影をした場合もこれに該当しますが、現在は上記の撮影罪があるので、適用対象となるのは、令和5年7月13日以前の行為です

迷惑防止条例

各都道府県では迷惑防止条例が制定されており、盗撮行為に対して刑事罰が課される旨が規定されています

宮城県では、宮城県迷惑防止条例第3条の2第1項第3号で、公共の場所にいる人または公共の乗物に乗つている人に対して下着等を撮影することを禁止し、第4項で正当な理由がないのに、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所にいる人又はタクシーや貸切バスなど、多数の人が利用する乗り物に乗つている人の下着等を撮影することを禁止しています。これに違反すると、宮城県迷惑防止条例第16条第1項で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。

この行為についても現在は撮影罪の対象となり、対象となるのは令和5年7月13日より前の行為です

住居侵入・建造物侵入罪

盗撮をする目的で住居や建造物に侵入すると、住居侵入罪建造物侵入罪(刑法第130条)に該当します。

住居侵入罪・建造物侵入罪に該当する場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処されます。盗撮罪が成立する場合、侵入行為と盗撮行為は目的・結果の関係にある場合、刑法第54条第1項によって、もっとも重い罪で処罰されるため、盗撮罪での処罰がされます。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

盗撮対象が児童(18歳未満)である場合には、児童ポルノに該当し、児童買春・児童ポルノ禁止法第7条違反となる場合があります。

児童ポルノとは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物で、次のいずれかに該当する児童の姿態を描写したものをいいます。

児童ポルノに該当する児童の姿態
  • 児童を相手方とするまたは児童による性交又は性交類似行為
  • 他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
  • 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部・臀部または胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

盗撮によって児童ポルノを提供する目的で製造すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。また提供する目的がなくても所持している場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。

盗撮が犯罪になる場合の対応方法

盗撮が犯罪になる場合、逮捕・起訴されないようにするため、すでに現行犯逮捕や通常逮捕をされた場合、早期に身柄を解放してもらうためにはどのような対応方法があるのでしょうか。

この場合早期に被害者と示談をすることが逮捕・起訴を免れ、または逮捕されている場合早期の身柄解放のために必要不可欠となります。もっとも盗撮の場合、相手の連絡先がわからない場合が多く、警察も相手の連絡先を教えてくれないことがほとんどです。そのため、弁護士に依頼し、弁護士を通じて被害者と示談交渉を行いましょう。

まとめ

本記事では盗撮は犯罪となるのか、刑罰や示談について解説しました。

盗撮は撮影罪に該当する行為で、そのほかにも児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があるものです。逮捕や起訴を防ぐため、またすでに身柄を拘束されている場合には早期の身柄解放のためには、被害者との示談が欠かせません。被害者との示談をするためには弁護士に依頼する必要があるので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。