盗撮事件における示談金の相場と示談成立のメリット

盗撮事件における示談金の相場と示談成立のメリット

盗撮をしてしまった場合、加害者は被害者に対して損害賠償をする義務があります。この場合に支払う金銭のことを示談金といいますが、示談金はいくらくらいが相場なのでしょうか。また、示談金の支払いをして示談が成立するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

本記事では盗撮事件における示談金の相場と、示談が成立した場合のメリットについて解説します。

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示談とは

示談とは、民事上の権利義務の争いについて、裁判をせずに当事者で話し合って解決することをいいます。

盗撮については、プライバシーを侵害する行為として、民法第709条の不法行為として加害者は被害者に対して損害賠償をする民事上の責任があります。この民事上の責任について裁判をしないで話し合いで解決するのが示談です。示談金は、示談により支払う金銭を指します。慰謝料と呼ばれる場合もありますが、本質的には民法第709条の不法行為損害賠償に起因するものです。

示談は民事上の問題であり、刑事事件には直接は関係しませんが、示談をしたことが刑事事件において間接的に影響します

示談金の相場

盗撮をした場合の示談金の額などについての公的な統計はありませんが、一般的に示談金の相場は10万円~30万円程度です。

示談金については示談金は法律で具体的な金額が定められていないため、当事者間の話し合いで決まります。その額は裁判になって裁判所が最終的に決定する額が参考になり、盗撮の場合は10万円~30万円程度が相場です。

金額に幅があるのは盗撮の悪質性などの被害内容によります。駅で衝動的にスマートフォンを取り出して盗撮したような場合と、執拗に長期間盗撮をしつづけてSNSで拡散したような場合では、悪質性が異なるので、悪質性に応じて金額に幅が生じるためです。

盗撮で示談をすることのメリット

盗撮で示談することのメリットには次のものが挙げられます。

刑事事件化を回避できる可能性がある

刑事事件化を回避できる可能性があります。

盗撮の被害者は盗撮されていることがわかった場合に警察に相談したり被害届の提出や告訴をすることを検討します。警察への相談や被害届の提出がされると警察で捜査を始めることになり、逮捕・起訴など刑事事件化することになります。

その前の段階で示談をすれば、警察への相談や被害届の提出・告訴が見送られ、警察も盗撮の事実を知ることなく終わる可能性があります

逮捕を避けられる可能性がある

逮捕を避けられる可能性があります。

警察が刑事事件として捜査をする場合、盗撮の加害者を逮捕する場合があります。逮捕は逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるのですが、示談が成立していれば逃亡や証拠隠滅の可能性は低いと判断され、逮捕されないで手続きが進む可能性があります

早期の釈放の可能性がある

すでに逮捕されている場合には早期の釈放の可能性があります。

すでに逮捕されてしまっている場合、逮捕された後でも被害者と示談が成立し、逃亡や証拠隠滅の可能性がなくなったと判断されれば釈放してもらえます。

不起訴処分となる可能性がある

不起訴処分となる可能性があります。

犯罪が行われたとしても必ず起訴されるわけではなく、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としない」と判断される場合には、検察官は不起訴とすることができます(刑事訴訟法第248条)。被害者と示談したことは情状や犯罪後の情況としてプラスの材料となり、不起訴処分となる可能性があります。

量刑が軽くなる

起訴されて有罪となる場合でも、量刑が軽くなる可能性があります。

起訴されると刑事裁判において刑事罰が決められます。刑事裁判においては有罪・無罪のほかに有罪である場合にはどのような刑罰になるかを決めます。その際に犯罪の情状に酌量すべきものがあるときには刑を減軽することができる旨が定められています(刑法第66条)。示談が成立していることで情状酌量として刑の減軽が受けられる可能性があります。

執行猶予がつく

執行猶予がつく可能性があります。

刑事裁判で有罪となり一定の範囲内での刑罰を受ける場合でも、情状によって刑の執行を猶予してもらえることがあります(刑法第25条)。示談をしていることは情状の判断にプラスの効果を与えるので、執行猶予がつく可能性があるといえます。

盗撮で示談をする場合には弁護士に依頼

盗撮で示談をする場合には弁護士に依頼しましょう

もしすでに逮捕されている場合、盗撮の被害者と示談するための交渉ができません。また、逮捕されていない場合でも相手の情報を知らなければ示談はできませんが、盗撮のような性犯罪について警察は被害者の情報を開示しません。仮に連絡先がわかっていたとしても、盗撮のような性犯罪について交渉に応じてもらえる可能性は低いでしょう。

弁護士に依頼すれば、逮捕されていても交渉できますし、警察は弁護士には連絡先を教えますそのため、示談をするにあたっては弁護士に依頼して行います。

まとめ

本記事では盗撮事件における示談金の相場と、示談成立のメリットについて解説しました。

盗撮事件の示談金の相場は10万円~30万円と幅があり、盗撮行為の内容やSNSなどでの拡散の有無などを勘案しながら交渉する必要があります。また相手との交渉を直接行うことは難しく、弁護士に依頼することが欠かせません。まずは弁護士に相談して、刑事事件化しないように適切な対応を検討しましょう。