風営法違反とは?違反する行為や罰則などをわかりやすく解説

風営法違反とは?違反する行為や罰則などをわかりやすく解説

風営法違反で摘発されると、営業停止や許可取り消しなどの行政処分を受けるだけでなく、経営者やスタッフが逮捕される可能性もあります。

2025年には風営法が改正され、色恋営業やスカウトバックなどの規制対象が拡大されるとともに、罰則も従来より強化されました。

今回は、風営法違反の規制対象となる事業風営法違反となる行為、罰則などを解説します。

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風営法違反とは?

風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。

風営法の目的は、風俗営業を規制して生活環境の保全や青少年の健全な育成を図ることにあります。

風俗営業とは、ソープランドやデリヘルなどの性風俗店だけを指すものではありません。

風営法の規制を受ける風俗営業には、次のような種類があります(風営法2条1項)。

規制対象具体例
1号設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業キャバクラ、ホストクラブ、スナックなど
2号設備を設けて客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むものカップル喫茶、バーなど
3号設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの個室付きの居酒屋、バーなど
4号設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業雀荘、パチンコ・パチスロ店など
5号遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業ゲームセンター、ダーツバーなど

風営法違反で処罰の対象となるのは、店舗の経営者やキャストです。一般の客が風営法違反で処罰されることはありません。

ただし、キャストが18歳未満と知りながら性交等を行ったときは、児童ポルノ禁止法青少年育成条例などで処罰される可能性はあります。

また、ハプニングパーで他の客が見える場所で性交等を行った際は、客であっても公然わいせつ罪による処罰の対象です。

風営法違反の行為と罰則

風営法違反となる行為の例としては、次のようなものが挙げられます。

風営法違反となる行為の例
  • 無許可営業
  • 客引き
  • 未成年者による接待
  • 名義貸し
  • 色恋営業 など

それぞれの行為の具体的な内容と罰則について解説します。

無許可営業

風俗営業を行うには、風俗営業の種別に応じて、公安委員会の許可を受けなければなりません(風営法3条1項)。

必要な許可を受けずに風俗営業を行った場合、無許可営業として5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます(同法49条1号)。

風営法は、2025年の改正により規制の範囲が広がるとともに罰則も強化されました。無許可営業の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科から大幅に強化されています。

無許可営業は、飲食店営業許可を取得しているコンカフェやガールズバーで問題となるケースもあります。

コンカフェやガールズバーで接待行為を行う場合は飲食店営業許可に加えて風営法の許可も必要となるため、風営法の許可がなければ無許可営業として摘発される可能性があるのです。

客引き

風営法では、営業のための客引きや客引きのためにつきまとうことなどを禁止しています(同法22条1項1号・2号)。

客引きの規制に違反すると、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます(同法52条1号)。

客引きの代表的な例は、いわゆる「キャッチ行為」です。

通行人が無視しているにもかかわらず、しつこく声をかけたり、行く手をふさいだりすると、風営法違反の客引きとして摘発される可能性があります。

一方、店前での呼び込みやチラシ配りなどは規制の対象とはされていません。

未成年者による接待

風営法では、18歳未満の未成年による接待を禁止しています。また、風俗営業の営業者が18歳未満の者を客として立ち入らせることも規制の対象です。

未成年者による接待の規制に違反すると、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または両方が科されます(同法50条1項4号)。

たとえば、雀荘やパチンコ店では、18歳未満の者を雇うことも客として出入りさせることも禁止されています。

名義貸し

風営法では、名義貸しが禁止されています(同法6条)。

自分の名義で許可を得たのに他人に営業を任せる、実質的な経営者が名義人以外であるといったケースは、名義貸しの禁止による規制の対象です。

名義貸しの禁止に違反すると、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます(同法49条3号)。

名義を借りた側も、自らの名義で許可を受けていないため、無許可営業として処罰されます。

色恋営業

2025年の風営法改正では、色恋営業やスカウトバックが新たに規制されました。

色恋営業とは、客の恋愛感情を利用して「遊興や飲食をしなければ関係が壊れる」などと告げ、高額な支払いをさせる行為を指します。

色恋営業は、それ自体が刑事処罰の対象とはされていません。

しかし、売掛金の支払いのために客を威迫したり、売春をさせたりすると、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます(同法53条)。

また、刑事罰が科されない場合でも、改善指示や営業停止などの行政処分の対象となる可能性があります。

スカウトバックとは、風俗営業者がキャストを紹介してもらった見返りとして、スカウトに報酬を支払う行為を指します。

スカウトバックの規制に違反すると、6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます(同法53条)。

風営法違反と行政処分

風営法の規制に違反した場合、刑事罰だけでなく行政処分の対象ともなります。

行政処分には、重いものから順に次の3種類があります。

行政処分の種類
  1. 許可取り消し
  2. 営業停止
  3. 改善指示

風俗営業の許可が取り消されると、その日から5年間は新たに許可を取得することができません

営業停止になると、事案の内容に応じて最長6か月間、営業が禁止されます。

改善指示は、それ自体にペナルティはありませんが、指示に従わなければ営業停止や許可取り消しなどの重い処分を科される可能性が高くなります

風営法違反で逮捕されるとどうなる?

風営法違反で逮捕された場合、初犯であれば不起訴もしくは罰金刑となる可能性が高くなっています。

ただし、風営法改正によって罰則が強化されたことを考慮すると、事案によっては初犯でも実刑となる可能性は十分にあるでしょう。

風営法違反で逮捕や摘発を受けた場合は、速やかに弁護士へ依頼し、適切に対応することが重要です。

まとめ

風営法違反は、無許可営業や名義貸し、未成年者の接待など、知らないうちに違反行為に該当してしまうケースも少なくありません。

摘発を受けると、経営者本人だけでなく、店舗運営全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。

また、風営法違反で逮捕された場合は、今後の営業の継続や再起に大きく影響します。早めに弁護士へ相談し、適切に対応することが被害の拡大を防ぐために重要です。

風営法違反でお困りの方や、風俗営業の許可取得・コンプライアンス対応に不安をお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。