宮城県青少年健全育成条例(青少年保護育成条例):違反になる行為と罰則について解説

宮城県青少年健全育成条例(青少年保護育成条例)-違反になる行為と罰則について解説

青少年の健全な育成を目的とするのが青少年健全育成条例です。青少年健全育成条例違反には様々なものがありますが、いわゆる淫行条例と呼ばれるものが問題になります。

本記事では、青少年健全育成条例違反になる行為と罰則にはどのようなものがあるか淫行条例との関連と併せて解説します。

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青少年健全育成条例とは

青少年健全育成条例とは、青少年の健全な育成を目的として主に都道府県が制定する条例です。

一般的には、青少年保護育成条例と呼ばれるほか、東京都の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」などと地域によって名称が異なります。

青少年の健全な育成のために一定の行為を禁止し、違反した場合の罰則が設けられているため、注意が必要な条例です。

青少年とは

宮城県青少年健全育成条例においては、青少年とは第14条1号で、18歳未満の者をいうとされています。

宮城県青少年健全育成条例で禁止されている行為の例と罰則

宮城県青少年健全育成条例では次の行為などが罰則を設けて禁止されています。

有害興行の指定

「著しく性的感情を刺激し、甚だしく残忍性を有し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な育成を阻害すると認める」興行を有害興行として指定し、青少年に観覧させることを禁止しています(宮城県青少年健全育成条例第17条)。

興行とは映画、演劇、演芸又は見せ物をいうと規定されています(宮城県青少年健全育成条例第14条2号)。

これに違反した場合には宮城県青少年健全育成条例第41条第4項1号で、30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

有害図書の指定

「図書類の内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺激し、甚だしく残忍性を有し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な育成を阻害すると認める」図書を有害図書として指定し、青少年に販売・頒布・貸し付け・閲覧させ・視聴させ・聴取させることを禁止しています(宮城県青少年健全育成条例第18条)。

違反行為については第41条第4項2号で30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

有害がん具の指定

一定のがん具を有害がん具として指定し、青少年に販売・頒布・貸し付けを禁止しています(宮城県青少年健全育成条例第19条)。

有害がん具については知事が個別に指定するもののほかに、個別の指定がなくても有害がん具とされるものがあります。

個別に指定されるものは次の通りです。

個別に指定される有害がん具
  • 著しく人の生命、身体又は財産に危害を及ぼし、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
  • 著しく青少年の非行を誘発し、その健全な育成を阻害するおそれのあるもの 
  • 著しく青少年の性的感情を刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもの 

個別の指定がなくても有害がん具とされるものは次の通りです。

個別の指定がなくても有害がん具とされるもの
  • 下着の形状をしたがん具
  • 使用済みの下着である旨が表示されている・誤認される表現若しくは形態を用いたもの(いわゆるブルセラ商品)
  • 専ら性交・性行為の用に供する物品であつて、規則で定めるもの(いわゆる大人のおもちゃ)

違反行為については第41条第4項3号で30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

広告規制

「著しく性的感情を刺激し、甚だしく残忍性を有し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な育成を阻害すると認められる看板、ポスターその他の広告物を掲示」することが禁止されています(宮城県青少年健全育成条例第20条第1項)。

上記にあたる広告物について広告主又は管理者に対し、期間を定めて、当該広告物の内容の変更又は撤去を命ずることができる旨が規定されており(宮城県青少年健全育成条例第20条第2項)、これに従わない場合には第41条第4項4号で30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

興行場等への深夜入場の禁止

興行場、遊技場(カラオケ店、インターネットカフェ、ボウリング場など)を営んでいる場合、保護者が同伴する場合を除いて、深夜(午後11時から翌日の午前4時までの間)、青少年を入場させることが禁止されています(宮城県青少年健全育成条例第30条第1項)。

違反行為については第41条第4項7号で、30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

淫行の禁止

青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為(淫行)が禁止されています(宮城県青少年健全育成条例第31条)。

違反行為については、第41条第1項で2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。淫行の禁止については懲役刑があり、罰金も高額となるので注意が必要です。

児童ポルノの提供を求める行為

青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求める行為は禁止されています(宮城県青少年健全育成条例第31条の2)。

違反行為については第41条第4項8号で、30万円以下の罰金又は科料に処せられます。

淫行条例とは?青少年健全育成条例との関係は?

淫行条例とは、未成年者との淫行を禁止する条例の規定についての通称です。淫行条例という名称の条例があるのではなく、青少年健全育成条例の未成年者との淫行に関する規定のことを指すものです。

宮城県青少年健全育成条例との関係では、上述の第31条がこれにあたります。

青少年健全育成条例違反で逮捕される?

青少年健全育成条例違反で逮捕されるのでしょうか。

逮捕は逮捕の必要性がある場合に限られ、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に行われます。単に淫行条例に違反した場合でも逮捕例は多く、例えば最近ですと2024年10月28日に旭川市で5月にSNSで知り合った女子高生にいかがわしい行為をしたとして、26歳の会社員が逮捕されています。

児童買春・不同意性交などの、より罪の重い行為がある場合には逃亡・証拠隠滅のおそれはさらに高くなるので、逮捕は避けられないといえるでしょう。

まとめ

本記事では、宮城県青少年健全育成条例に違反する行為や罰則などを中心にお伝えしました。

特に淫行条例違反に該当してしまった場合、適切な対応をしなければ逮捕・勾留などの身柄拘束・起訴に至ってしまう可能性が高く、社会的な不利益は避けられません。身柄拘束や起訴を回避するために、弁護士に相談・依頼して適切な行動をするようにしましょう