恐喝罪とは?罪に問われる言葉や罰則について

恐喝罪とは?罪に問われる言葉や罰則について

暴行または脅迫を用いて相手方を畏怖させ、財物または財産上不法の利益を交付させる犯罪が恐喝罪です。お金を貸したのに返してくれないような場合に、相手に取り立てをしますが、その内容次第ではこの恐喝罪に該当してしまうことがあります。

そこで本記事では、恐喝罪とはどのような犯罪かどのような言葉によって罪に問われるのかその罰則などについて解説します。

刑事事件お問い合わせ

恐喝罪とは

恐喝罪とは、刑法第249条に規定されている犯罪で、暴行又は脅迫を用いて相手方を畏怖させ、財物を交付させたり、財産上不法な利益を得たりした場合に成立するものです。

被害者の財産と、その意思決定や行動の自由を保護することを目的に、犯罪として規定されています。

恐喝罪の成立要件

恐喝罪の成立要件は次の通りです。

暴行又は脅迫を用いる

恐喝罪が成立するためには暴行又は脅迫を用いることが必要です。

暴行

恐喝罪において暴行とは、相手を怖がらせる程度の有形力の行使を行うことをいいます。暴行の度合いが強くなり、相手の反抗を抑圧する程度に達している場合には、より罪の重い強盗罪(刑法第236条)が成立します。

相手の反抗を抑圧する程度かどうかは、加害者および被害者の性別や年齢・体格・凶器の有無などから、客観的に判断されます。

胸ぐらを掴む程度の暴行であれば、相手を怖がらせるにとどまる可能性が高いですが、金属バットで殴るなどした場合には反抗を抑圧しているといえ、恐喝ではなく強盗罪が成立します。

脅迫

恐喝罪において脅迫とは、相手を怖がらせる程度の害悪の告知を行うことをいいます。脅迫の場合も相手の反抗を抑圧する程度に達している場合には、強盗罪が成立します。害悪の内容は具体的な明示が無くても成立します。

例えば「今すぐお金を支払わないとどうなっても知らない」というような内容でも、相手を怖がらせる内容なので、害悪の告知として成立します。

相手を畏怖させる

暴行・脅迫によって相手を畏怖させる(怖がらせる)必要があります。

怖がらせる内容かどうかは、一般の人が怖いと思うかどうかによって判断されます。そのため、暴行・脅迫が行われたにもかかわらず、相手がたまたま勇気のある人で、一切怖がっていない場合でも、恐喝行為が成立し、後述する恐喝未遂が問題となります。

財物を交付させる・財産上不法の利益を得る

以上の恐喝罪の行為によって、財物を交付させるか(刑法第249条第1項)、財産上不法の利益を得た(刑法第249条第2項)場合に、恐喝罪が成立します。

財物を交付させる典型的なケースは、金銭などを相手に出させる行為です。財産上不法の利益を得るというのは、債務の免除を迫るものが典型例で、借金の免除をさせる、飲食代金の支払いをしない、などがこれにあたります。

恐喝罪には未遂犯の処罰がある

恐喝罪には未遂犯を処罰する規定があります(刑法第250条)。

そのため、暴行・脅迫を用いたものの、相手がこれに応じなかった場合でも、恐喝未遂罪として処罰されます。恐喝未遂である場合、刑法第43条の規定によって、刑を減軽することができます。

恐喝罪に問われうる言葉

恐喝罪では、相手を怖がらせる程度の害悪の告知を行う脅迫が成立要件となることは上述した通りです。

では具体的にどのような言葉を発すると恐喝罪に問われるのでしょうか。

「支払わないと殴る」

いわゆるカツアゲと呼ばれる「払わないと殴る」などの言葉は恐喝罪に該当します。

「払うまで帰さない」

2024年11月7日に、大阪市のホストクラブ店で運営会社の社長ら2人が恐喝罪の容疑で逮捕されました。この事件では、20代の女性客を泥酔させ、ホテルに監禁した上で「お金を払うまで帰られへんから」などと脅迫した疑いがあります。

このように、「お金を払うまで帰さない」という言葉は恐喝罪に該当します。

「お金を払わなければ警察に突き出す・動画を投稿する」

2024年1月17日横浜でいわゆる私人逮捕系Youtuberが恐喝未遂の容疑で逮捕されました。女性を盗撮したとして男性会社員に対して「警察に行くこともできるが嫌でしょう。いくら出すの」と言って、現金を脅し取ろうとした疑いがあることによるものです。

「配偶者に不倫をバラされたくなければお金を払え」

いわゆる美人局と呼ばれるものの一種で、「不倫をバラされたくなければお金を払え」というのは、夫・妻問わず恐喝罪に該当します。

「借金を返済しなければ会社に押しかける」

借金の取り立てのために過度な内容を伝えることも、恐喝罪にあたる場合があります。

「会社に押しかける」「拉致をする」「性風俗で働かせる」などの言葉で借金返済を迫ると、恐喝罪に該当する可能性があります。

恐喝罪の罰則

恐喝罪は、財物を交付させる(刑法第249条第1項)場合も、財産上不法な利益を得る(刑法第249条第2項)場合も、10年以下の懲役が課されています。非常に重い犯罪であるため、注意が必要です。

まとめ

本記事では、恐喝罪とはどのような犯罪かについてを中心に解説しました。

借金や売掛などの取り立てのために、つい行き過ぎた言動をすることでも成立しうる犯罪で、法定刑も10年の懲役と非常に重く注意が必要です。

捜査の対象になっている場合には逮捕・起訴されないように、すでに逮捕されているような場合には身柄の解放のために、適切な対応が必要となります。なるべく早く弁護士に相談・依頼することをおすすめします。