
「別れた相手が今何をしているか気になる」
「もう一度だけ話し合いたい」
そんな恋愛感情のすれ違いや執着が行き過ぎた結果、相手の自宅までついていってしまったり、大量にメッセージを送ってしまったりしていませんか?
自分では「ただの好意」や「話し合いの要求」だと思っていても、犯罪行為とみなされる可能性もあります。これらを取り締まるのが「ストーカー規制法」です。
本記事では、どのような行為がストーカーとみなされてしまうのか、具体的な犯罪の条件や科される罰則、そして万が一トラブルになってしまった場合の正しい対応方法までを分かりやすく解説します。
2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました。旧制度や過去の事件に関連する場合は、懲役・禁錮と表記している場合もあります。
ストーカー規制法とは
ストーカー規制法とは、正式名称をストーカー行為等の規制等に関する法律といい、いわゆるストーカー行為やストーキングを規制する法律です。
ストーカー規制法は、1999年に発生した桶川ストーカー殺人事件を契機に制定されました。この事件では、恋愛関係がもつれてストーカー行為の被害に遭うも、警察が適切な対応を取らなかった結果、被害者が殺害されるに至りました。この事件が報道されたことで、ストーカー行為を規制する必要性が認識され、議員立法で制定されました。
ストーカー規制法によって犯罪となる行為とは
ストーカー規制法によって犯罪となる行為には次のものが挙げられます。
| 犯罪となる行為 | 刑罰 |
|---|---|
| ストーカー行為 | 1年以下の拘禁刑 または100万円以下の罰金 |
| 接近禁止命令等に違反するストーカー行為 | 2年以下の拘禁刑 または200万円以下の罰金 |
| 接近禁止命令等に違反してつきまとい等 または位置情報無承諾取得等をすることによるストーカー行為 | 2年以下の拘禁刑 または200万円以下の罰金 |
| 接近禁止命令等に違反する行為 | 6か月以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
以下で犯罪となる行為をそれぞれ確認していきます。
ストーカー行為
ストーカー規制法によって犯罪となる行為として、ストーカー行為が挙げられます(ストーカー規制法第18条)。
ストーカー行為については、ストーカー規制法第2条第4項で次のように規定されています。
| 「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。 引用:ストーカー行為等の規制等に関する法律|e-Gov法令検索 |
つきまとい行為について、同じくストーカー規制法では次のように定めています。
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
引用:ストーカー行為等の規制等に関する法律|e-Gov法令検索
つきまとい行為に該当するためには、次の3つが必要です。
- 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的
- 当該特定の者又はその配偶者・直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対して
- ストーカー規制法第2条第1項第1号~第8号に該当する行為
そして、つきまとい行為のうち、次の項目については身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。
- つきまとう
- 待ち伏せする
- 進路に立ちふさがる
- 住居・勤務先・学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所の付近を見張る
- 住居等に押し掛ける
- 住居等の付近をみだりにうろつく
- その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと
- 面会・交際その他の義務のないことを行うことを要求する
- 著しく粗野又は乱暴な言動をすること
- 電子メールの送信等
冒頭のつきまとう行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合にはストーカー行為として処罰の対象です。
ストーカー行為を行うと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が課せられます。
接近禁止命令等に違反するストーカー行為
接近禁止命令等に違反するストーカー行為(ストーカー規制法第19条第1項)が挙げられます。
ストーカー禁止法3条は、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせることを禁止しています。更に反復して上記の行為をするおそれがある場合、都道府県公安委員会は加害者に対して接近禁止命令ができます(ストーカー規制法第5条)。
この接近禁止命令等に違反してストーカー行為を行った場合、単純なストーカー行為よりも重い、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が課せられます。
なお、位置情報無承諾取得等とはGPS機器等の位置情報を取得すること・GPS機器等を取り付けることによって位置情報を取得することをいいます(ストーカー規制法第2条第3号)。
接近禁止命令等に違反してつきまとい等・位置情報無承諾取得等をすることによるストーカー行為
接近禁止命令等に違反して、つきまとい等・位置情報無承諾取得等をすることも、ストーカー行為をすることと同様に禁止されており、同じく2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が課せられます(ストーカー規制法第19条第2項)。
接近禁止命令等に違反する行為
単に接近禁止命令等に違反した場合、ストーカー規制法第20条に違反し、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が課せられます。
このように、ストーカー規制法では警察や公安委員会が段階を踏んで「警告」や「禁止命令」を出す仕組みが整っています。
一方で、被害者側から見ると「相談したのにすぐに警告を出してくれない」「警察がなかなか動いてくれない」と感じるケースもあります。警察が本格的に捜査や警告に踏み切るための「基準」や「必要な証拠」を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

ストーカー規制法に違反した場合のリスクと対応方法
ストーカー規制法に違反した場合のリスクと対応方法を知っておきましょう。
ストーカー規制法に違反した場合のリスク
ストーカー規制法に違反すると、接近禁止命令を受けるほか、犯罪として逮捕・起訴されるリスクがあります。逮捕された場合には家族関係にヒビが入るほか、身柄拘束されていることから会社に出社・連絡ができず、不利益を被ることになります。
また、被害者から民事訴訟を起こされ、損害賠償の支払い義務が発生する場合があります。
ストーカー規制法に違反した場合の対応方法
ストーカー規制法に違反した場合に避けなければならないのが逮捕・起訴されることで、すでに逮捕されている場合には早期に身柄を解放してもらえるようにしなければなりません。そのために有効なのは被害者と示談することです。
もっともストーカー行為を行った場合には示談のために接触することも通常は困難です。弁護士に依頼して示談をすることをおすすめします。
ストーカー行為でトラブルになったら
本記事では、ストーカー規制法が禁止する行為や、違反した場合の刑罰などについて解説しました。
自分では「もう一度話し合いたいだけ」と思っていても、拒絶されている相手につきまとったり、大量のメッセージを送ったりする行為は犯罪です。公安委員会の「接近禁止命令」を無視した場合は最長2年の拘禁刑が科されるなど、刑罰は非常に重くなっています。
ある日突然「警察からの警告」や「逮捕」によってこれまでの生活を失わないためには、事態が深刻化する前に被害者と誠実な示談交渉を行うことが極めて有効です。しかし、加害者本人が直接コンタクトを取ろうとすれば、さらなる処罰や事態の悪化を招きかねません。
仙台青葉ゆかり法律事務所では、ストーカー事件の警察対応や、被害者様との示談交渉、刑事弁護のご相談をお受けしています。「警察から連絡が来た」「自分の行為が法律に触れていないか不安」という方は、手遅れになる前に、まずは一刻も早く当事務所へご相談ください。解決に向けて全力でサポートいたします。







