
SNSやマッチングアプリの普及に伴い、急速に一般化している「パパ活」。中高年男性が若い女性とデートをし、対価として金銭や物品を渡すこの行為は、一見するとカジュアルな「合意の上の関係」に思えるかもしれません。
しかし「デートだけなら本当に安全なのか」「お互いに納得していれば違法ではないのか」という甘い認識は非常に危険です。知らぬ間に相手が未成年であった場合、あるいは事前のやり取りの内容によっては、性交渉がなくても警察に逮捕される重大な犯罪に該当するケースが潜んでいます。
本記事では、パパ活が違法・犯罪となる境界線をはじめ、未成年者が絡んだ場合の重い刑罰、逮捕された場合の社会的リスク、そして万が一のトラブルに直面した際の正しい対処法まで、分かりやすく解説します。
2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました。旧制度や過去の事件に関連する場合は、懲役・禁錮と表記している場合もあります。
パパ活とは
パパ活とは、一般に中高年男性が若い女性とデートなどを行い、対価として金銭や物品を渡す行為を指します。
なお、ほとんどのケースで若い女性が対象となりますが、中には若い男性である場合もあります。パパ活とは逆に中高年女性が若い男性等とデートを行い、対価として金銭や物品を渡す行為のことを「ママ活」といい、同様の問題が生じます。
昭和・平成時代は「援助交際」と呼ばれていたものがパパ活という名で呼ばれるようになりました。実態として両者は非常に近いものですが、世間のイメージや使われる文脈には以下のような違いがあります。
- パパ活: アプリ等を利用し、「食事やデート(非性行為)」をメインとしたライトな関係性を表す言葉として使われることが多い。
- 援助交際: 主に「性行為」を前提とした、昔ながらの売春行為というイメージが強い。
パパ活は「食事だけでお金がもらえる(渡す)クリーンな活動」というイメージで語られがちですが、言葉の響きがカジュアルになったからといって、法律的なリスクが低くなるわけではありません。
当事者間に「パパ活のつもり」という甘い認識があったとしても、相手の年齢や行為の内容によっては、児童買春や淫行条例違反、さらには未成年者誘拐罪といった重い罪に問われる危険があります。
援助交際についての危険性などについては、下記の別記事にて詳しく解説しています。

パパ活の特徴:若い女性が見返りを条件に中高年男性とデート等を行う
パパ活の特徴は、若い女性が見返りを条件に中高年男性とデート等を行うことです。一般的に中高年男性と若い女性という関係にあることからこのように言われるだけで、需要と供給が一致すれば年代は問いません。
パパ活の特徴:見返りは金銭やモノであるのが一般的
パパ活の特徴のもう1つとして、見返りが金銭や物品であることが一般的だという点が挙げられます。デート等1回につきいくら、あるいはモノ(貴金属やブランド物であることが多い)という形の見返りがほとんどです。
パパ活の特徴:疑似恋愛に近い
性行為等を主目的とするいわゆる援助交際と比べて、パパ活はデートや話し相手などを求める意味合いが傾向として強く、恋愛感情を持ってしまう可能性があります。恋愛感情をうまく利用し、男性複数人からお金をだまし取った「頂き女子りりちゃん事件」は記憶に新しいかと思います。
パパ活は恋愛感情を持ちやすいという特徴から、詐欺事件に巻き込まれる可能性も秘めているので充分な注意が必要です。
マッチングアプリなどで知り合った複数の男性に対し、恋愛感情を抱かせながら嘘のストーリーを伝えて同情を誘い、総額2億円以上の現金を騙し取りました。
さらに、男性から効率的にお金を騙し取るためのノウハウをまとめた『頂き女子のマニュアル』を作成し有料で販売。マニュアルを購入した別の女性たちも同様の詐欺を働き、逮捕者が出る事態へ発展しました。
デートや食事の範囲内であれば違法性は生じない
デートや食事の範囲内であれば違法性は生じません。
デートや食事の範囲内で、見返りや対価として金銭やモノを渡す行為を処罰する法律はありません。そのため、犯罪に問われることはありません。
ただし、デートをきっかけにして犯罪に発展する可能性は充分に考えられます。以下で紹介する犯罪に該当すれば、デートから犯罪を問われる可能性があるので注意が必要です。
親に無断で未成年者を自分の車に乗せて遠方へ連れ回したり、自宅やホテル、カラオケなどの密室へ連れ込んだりした場合、性的な行為が一切なくても「未成年者誘拐罪(3か月以上7年以下の拘禁刑)」となる可能性もあります。
パパ活は違法?犯罪が成立する場合
パパ活をすると成立する可能性がある犯罪には次のものがあります。
| 罪名 | 刑罰 |
|---|---|
| 未成年者誘拐罪 | 3か月以上7年以下の拘禁刑 |
| わいせつ目的誘拐罪 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 面会要求罪 | 1年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 実際に会った場合 2年以下の拘禁刑 または100万円以下の罰金 |
| 淫行条例違反 | 2年以下の拘禁刑 または100万円以下の罰金 |
| 児童買春・児童ポルノ禁止法違反 | 児童買春 5年以下の拘禁刑 または300万円以下の罰金 児童ポルノ 1~5年以下の拘禁刑 または100~500万円以下の罰金 |
| 不同意わいせつ罪 | 6か月以上10年以下の拘禁刑 |
| 不同意性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑 |
相手が未成年者である場合に未成年者誘拐罪が成立しうる
相手が未成年者である場合、未成年者誘拐罪(刑法第224条)が成立する可能性があります。
誘拐とは、欺罔行為や誘惑によって従来の生活環境から離脱させる行為をいいます。パパ活は誘惑によって未成年者を誘拐しようとするものであり、未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。未成年者誘拐罪が成立すると3か月以上7年以下の拘禁刑となり、逮捕・起訴のリスクが高まります。また、わいせつ目的である場合には、わいせつ目的誘拐罪(刑法第225条)として1年以上10年以下の拘禁刑となり刑が加重されるため、注意が必要です。
わいせつ目的で16歳未満に会うことを要求すると面会要求罪が成立しうる
わいせつ目的で16歳未満の者に会うことを要求すると、面会要求罪が成立する可能性があります。
わいせつ目的で金銭を与えたり、与える約束をして面会を要求すると、刑法第182条1項第3号で、面会要求罪が成立します。面会要求罪は2023年7月の刑法改正で規定されたもので、その法定刑は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が課されます。
さらに進んで、実際に会った場合には、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が課されるものも併せて知っておきましょう。
未成年者相手に体の関係をもった場合
未成年者と体の関係を持った場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。
- 淫行条例違反
- 児童買春
- 不同意わいせつ・不同意性交
淫行条例違反
いわゆる青少年保護育成条例における青少年との淫行の禁止を規定するものを淫行条例といいます。宮城県の場合は宮城県青少年健全育成条例第31条第1項で青少年(18歳未満のこと)との淫行が禁止されています。淫行条例については宮城県青少年健全育成条例第41条第1項で、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が規定されています。

児童買春罪
パパ活で体の関係をもった場合には、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下児童買春・児童ポルノ禁止法)第4条の児童買春に該当します。児童(18歳未満のこと)に対して対価を支払って性交等を行うことを児童買春といい、児童買春・児童ポルノ禁止法第4条で禁止されています。法定刑は淫行条例よりも重い5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が規定されています。

不同意わいせつ・不同意性交
次の行為を行うか、その行為が行われた状態を利用してわいせつな行為を行った場合には、不同意わいせつ罪(刑法第176条)、性交等を行った場合には不同意性交等罪が(刑法177条)が成立します。
- 暴行もしくは脅迫を行う
- 心身の障害を生じさせる
- アルコールもしくは薬物を摂取させる
- 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせる
- 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない
- 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚がくさせる
- 虐待に起因する心理的反応を生じさせる
- 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる
- 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせる
- 行為をする者について人違いをさせる
- 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をする
なお、わいせつとは「いたずらに人の性欲を刺激し、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること(最高裁判所の定義)」であり、性交等とは「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(刑法第177条)」をいいます。
法定刑が非常に重く、特別な対策をしなければ逮捕は免れず、起訴され有罪・実刑となる可能性も否定できません。
成人・未成年者問わず売春防止法に違反するが刑罰規定はない
成人・未成年に関わらず売春を行った場合、売春やその相手方になる行為は売春防止法第3条に違反します。もっとも売春防止法第3条には刑罰規定は無く、売春をしたことによって男性側・女性側に犯罪は成立しません。
パパ活で逮捕に至った時のリスク
パパ活で逮捕に至ったときには次のリスクがあります。
- 社会的な影響:逮捕や勾留により会社に出勤できなくなるなど
- 家族への影響:最悪のケースでは離婚問題に発展することも
パパ活で逮捕に至る場合の多くが性犯罪に絡むものであり、会社にバレた場合には懲戒解雇などのおそれがあります。また性犯罪で逮捕されたことによって家族からの見る目が厳しくなるほか、不貞行為として離婚原因となり(民法第770条第1項第1号)、離婚問題に発展すると厳しい立場に置かれます。
罪に問われる行為をした場合の対応
罪に問われる行為をした場合の対応として次のものが挙げられます。
- 被害者と示談する
- 警察に自首する
被害者と示談をすることは非常に重要で、告訴がなければ犯罪とならない親告罪である未成年者誘拐で事件化することを防ぐことができ、他の犯罪でも逮捕・起訴される可能性を下げる効果があります。また、自首によって罪証隠滅・逃亡のおそれや起訴が必要ないことを示せる場合もあります。
性犯罪であり、未成年者が対象となっている場合、自分で示談をしようとしても相手の親が容易に応じてくれないこともあるので、弁護士に依頼して示談をするのが望ましいでしょう。
パパ活で逮捕やトラブルに巻き込まれたら
本記事では、パパ活行為がどのような刑罰や逮捕リスクがあるのかを解説しました。
「食事やデートをするだけ」であれば犯罪にはなりませんが、パパ活というカジュアルな言葉の裏には、一歩間違えれば「未成年者誘拐罪」や「児童買春」、さらには「頂き女子」のような巨額の「詐欺罪」に巻き込まれる重大なリスクが常に潜んでいます。
特に相手が未成年者であった場合、知らなかったでは済まされない厳しい現実が待っています。
もし「警察から連絡が来た」「相手の親から呼び出されている」「自分のした行為が犯罪になるかもしれない」と少しでも不安を感じている場合は、手遅れになる前に、なるべく早く刑事事件の解決実績が豊富な弁護士へご相談ください。仙台青葉ゆかり法律事務所では、パパ活から発展したトラブルや示談交渉のご相談をお受けしています。







