盗撮は現行犯以外でも逮捕される?

盗撮は現行犯以外でも逮捕される?

盗撮は現行犯以外で逮捕されることはないと聞いたことがあります。実際、現行犯以外で逮捕される可能性はあるのでしょうか?

前田啓吾
前田啓吾

確かに、盗撮は現行犯以外での逮捕は難しいと言われています。しかし、現行犯以外で逮捕されるケースもあります。そもそも、現行犯でなければ逮捕されないという犯罪はありません。

盗撮が現行犯以外での逮捕が難しいと言われる理由は、他の犯罪と比較して現行犯でなければ証拠を確保することが困難なためです。証拠さえ残っていれば、盗撮でも後日逮捕されることはあります。

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盗撮は現行犯以外でも逮捕される

盗撮は現行犯以外でも逮捕される可能性があります。そもそも、現行犯でなければ逮捕されないという犯罪はありません。どのような犯罪であっても、逮捕の要件さえ満たしているのであれば後日逮捕される可能性はあるのです。

ここでは、逮捕の種類逮捕の要件について解説します。

逮捕の種類

逮捕には、次の3つの種類があります。

逮捕の種類
  1. 通常逮捕
  2. 現行犯逮捕
  3. 緊急逮捕

逮捕の原則的な形式は通常逮捕です。通常逮捕では、裁判官が逮捕を許可する逮捕状を発布したうえで、犯人を逮捕します。

現行犯逮捕は、現行犯であることを理由に逮捕状なしでの逮捕を認めるものです。

緊急逮捕は、一部の重大犯罪について逮捕状の提示なしに犯人を逮捕できます。ただし、緊急逮捕では犯人を逮捕した後で逮捕状が発布されます。

逮捕の要件

通常逮捕の要件は、次の2つです。

通常逮捕の要件
  1. 嫌疑の相当性
  2. 逮捕の必要性

嫌疑の相当性とは、逮捕の理由となる犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることを言います。嫌疑の相当性の要件を満たすには、逮捕の対象となる人物が犯人であると疑うに足りる証拠がなくてはなりません。

逮捕の必要性とは、逃亡もしくは証拠隠滅のおそれが認められることを言います。逮捕の必要性は、被疑者の状況や犯罪の内容などを考慮して判断されます。たとえば、被疑者が家族と同居しており、定職に就いているのなら逃亡のおそれは低いと判断される可能性が高くなるでしょう。

盗撮の場合でも、嫌疑の相当性逮捕の必要性の要件を満たすのであれば、通常逮捕される可能性があります。

盗撮の証拠となるもの

盗撮が現行犯以外でも逮捕される場合、嫌疑の相当性の要件を満たすための証拠が必要となります。現行犯以外の盗撮で証拠となり得るものとしては、次のものが挙げられます。

盗撮の証拠となるもの
  • 盗撮画像・動画のデータ
  • 被害者や目撃者の証言
  • 防犯カメラの映像
  • 現場に残された物証
  • 被疑者の自白

それぞれの証拠について、どのようなものが盗撮の証拠となるのかを具体的に解説します。

盗撮画像・動画のデータ

被疑者のスマホやパソコンに盗撮画像・動画のデータが残されていた場合、被疑者が盗撮したことの証拠となるでしょう。

盗撮の現行犯以外でも、職務質問や捜索差押などで過去の盗撮画像・動画のデータが発見されることがあります。別件の犯罪を犯していた場合、被害者の証言や防犯カメラの映像など他の証拠がある場合などは、捜索差押許可状が発布されて自宅のパソコンからデータが発見されるケースもあります。

なお、被疑者のスマホやパソコンに盗撮画像・動画のデータがある場合でも、被疑者が撮影したものではないケース被害者が特定できないケースでは盗撮の証拠とはなりません。

被害者や目撃者の証言

被害者や目撃者の証言も盗撮の証拠となります。

ただし、被害者や目撃者の証言だけで逮捕状が発布されるケースは多くありません。被害者や目撃者の証言は、防犯カメラの映像や現場に残された物証など他の証拠を補完するものとして利用されることが多いでしょう。

防犯カメラの映像

現代の日本では街中や建物内などあらゆる場所に防犯カメラが設置されています。防犯カメラに盗撮行為の映像が残っていれば、決定的な証拠となる場合もあります。

防犯カメラの映像だけでは犯人が特定できない場合でも、被害者や目撃者の証言などと併せて犯人の特定に至るケースも少なくありません。防犯カメラは、犯罪行為を客観的に記録したものとして、極めて価値の高い証拠として扱われます。

現場に残された物証

盗撮現場に設置されたカメラや現場から逃亡する際に落としたスマホや身分証などは、盗撮の証拠となります。

盗撮現場に設置されたカメラについては、持ち主が犯人である可能性が極めて高いといえます。犯人が現場から逃亡する際にスマホや身分証などを落としていた場合、そこから犯人が特定される場合もあります。スマホに盗撮画像や映像のデータが残されていた場合には、盗撮の決定的な証拠となります。

被疑者の自白

被疑者の自白も盗撮の証拠となります。現行犯で逮捕されなかった場合でも、後日自首して自白した場合には逮捕される可能性があります。

ただし、刑事裁判では被疑者の自白のみを証拠とすることはできません。裁判では、被疑者の自白に加え、盗撮データや防犯カメラ映像などの客観的証拠を併せて有罪判決が下されます。

まとめ

盗撮は現行犯以外でも逮捕される可能性があります。盗撮行為から時間が経過していても、被害者の証言や防犯カメラ映像をもとに逮捕に至るケースは少なくありません。

盗撮で逮捕された場合、初犯であれば略式起訴による罰金刑となる可能性が高いでしょう。

盗撮による逮捕や刑罰を避けるためには、被害者や捜査機関に対する適切な対応が求められます。盗撮による逮捕について不安がある方は、早めに刑事事件に精通した弁護士へ相談されることをおすすめします。