警察の事情聴取(取り調べ)にどう対応する?

警察の事情聴取(取り調べ)にどう対応する?

警察の事情聴取(取り調べ)では、対応を間違えると意図しない内容の供述調書が作成され、取り返しのつかない事態となります。警察の取り調べを受ける状況になり「話したらダメな内容はあるの?」「弁護士を呼ぶことはできるの?」など不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

結論から言うと、警察の取り調べには、刑事事件の実績や経験が豊富な弁護士に相談したうえで対応すべきです。

今回は、警察の取り調べへの対応法に不安を感じている方に向けて、取り調べの種類取り調べを受ける際の注意点弁護士に相談するメリットなどを解説します。

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警察の事情聴取(取り調べ)とは?

事情聴取とは、捜査機関が事件の捜査を進めるために必要な情報を関係者から聴き取ることを指します。事情聴取と取り調べは、ほとんど同じ意味と考えていただいて問題ありません。

事情聴取への対応を解説する前提として、ここでは、事情聴取の対象となる人事情聴取の種類について解説します。

事情聴取の対象

事情聴取の対象となるのは、被疑者もしくは参考人です。

被疑者とは、捜査機関から犯罪の疑いをかけられて捜査対象とされている人のうち、起訴前の段階にある人のことを指します。起訴後は被告人となります。

参考人とは、捜査を進めるうえで参考となる情報を持っている人のことです。目撃者や家族、友人、会社の同僚など、あらゆる人が参考人として扱われる可能性があります。

参考人の中には、被疑者とまでは呼べないものの、事件への関与が疑われている人も含まれます。参考人として事情聴取を受けたのち、事件への関与が明らかとなり、被疑者として扱われるケースも少なくありません。

このように、1つの事件でも多くの人が事情聴取を受けることになるため、警察から事情聴取の呼び出しがあったとしても、被疑者として扱われているとは限らない点には注意してください。

事情聴取の種類

事情聴取は、逮捕されずに進められる任意の事情聴取逮捕・勾留中の事情聴取に分けられます。

任意の事情聴取は、拒否することも可能です。ただし、任意の事情聴取を拒否したことが原因で、被疑者としての疑いが強くなり、逮捕に至るケースもあります。そのため、特別な事情がない限り、任意の事情聴取であっても誠実に対応すべきです。

逮捕・勾留中の事情聴取については、取り調べ受忍義務があるため、取り調べを拒否することはできません。取り調べに応じることと、供述を強制されることは意味が異なります。

取り調べ受忍義務により取り調べに応じなければならない場合でも、供述を強制されることはありません。取り調べに対して話したくないことがあれば、黙秘権を行使して供述を拒否することは可能です。

取り調べを受ける際の注意点

取り調べを受ける際に特に注意すべき点は、次の3点です。

取り調べを受ける際の注意点
  • 黙秘権の意味を理解する
  • 供述内容の一貫性を保つ
  • 安易に供述調書に署名しない

それぞれの注意点について具体的に解説します。

黙秘権の意味を理解する

被疑者には黙秘権があります。黙秘権とは、自己に不利な供述を強要されない権利のことです。取り調べに対して、終始黙っていることもできますし、答えたくない質問に対してだけ回答を拒むことも可能です。

取り調べの内容は供述調書にまとめられて裁判の証拠となります。不利な内容や記憶が曖昧な内容について供述調書を作成されてしまうと、後から内容を訂正するのも難しくなってしまいます。そのため、言いたくないことについては、黙秘権を行使すべきです。

ただし、黙秘権を行使することで、証拠隠滅を疑われて逮捕に至ったり、勾留期間が延長されてしまうリスクは否定できません。黙秘権を行使するか否かは、黙秘権の内容とリスクを理解したうえで慎重に判断すべきです。

供述内容の一貫性を保つ

取り調べでは、できる限り供述内容の一貫性を保つことが重要です。当初と供述内容に変化があると、供述全体の信用性が低下する可能性があります。

捜査機関や裁判所が被疑者の供述の信用性を判断する際には、供述内容の一貫性が重要視されます。特に、事件の重要部分について供述内容に変遷(移り変わり)がある場合、供述の信用性は低く判断されるでしょう。

そのため、取り調べでは、一貫した内容で供述すべきです。当初から一貫した供述を行うためには、早い段階で弁護士に相談しておくことが重要です。

安易に供述調書に署名しない

取り調べを終えると供述調書が作成されます。供述調書の内容に誤りがある場合や供述調書に載せたくない内容がある場合、被疑者は供述調書への署名・押印を拒否できます

被疑者が署名・押印した供述調書の内容を覆すことは容易ではありません。供述調書を作成する際には、内容をしっかり確認したうえで、納得できない場合には署名・押印を拒否してください。一部の内容についてのみ誤りがある場合には、その部分だけを訂正してもらうことも可能です。

供述調書は、起訴・不起訴の判断や裁判における重要な証拠となります。安易に署名・押印して、意図しない内容の供述調書を作成しないよう十分に注意してください。

取り調べの対応を弁護士に相談するメリット

取り調べを受ける際には、事前に弁護士に相談すべきです。取り調べの対応について弁護士に相談するメリットは、次の3点です。

取り調べの対応を弁護士に相談するメリット
  1. 供述の方針を相談できる
  2. 取り調べの内容から状況を分析できる
  3. 違法な取り調べに対抗できる

それぞれの内容について解説します。

供述の方針を相談できる

弁護士に相談すると、話すべきこと・話してはいけないことについて助言を受けられるため、供述の方針を定めたうえで取り調べに臨むことが可能です。

被疑者自身が供述の方針を決めるのは簡単ではありません。方針を決めずに取り調べを受けると、曖昧な内容を明確な記憶として述べてしまったり、意図しない内容を供述してしまったりする可能性が高まります。

供述調書にまとめられた内容を後から覆すのは困難であり、供述内容が変わると供述全体の信用性が低く判断されるでしょう。

弁護士に事前に相談しておけば、事件の内容を把握したうえで供述の方針を一緒に検討できます。その結果、一貫した内容で供述でき、取り調べに対する不安も軽減されます。

取り調べの内容から状況を分析できる

取り調べは、複数回にわたって行われるのが一般的です。弁護士に相談すると、取り調べの内容から現在の状況を分析し、今後の方針について助言を受けられます。

取り調べを受けた経験がない被疑者自身が、取り調べの内容から捜査機関の意図を汲み取るのは簡単ではありません。弁護士に相談すると、取り調べで聞かれた内容から、捜査機関が何を考えているのかどのような方針で捜査を進めているのかを分析できます。

そのため、現状を理解したうえで、今後の方針についても妥当な判断ができるようになります。

違法な取り調べに対抗できる

捜査機関による取り調べは法律に従って適正に行われなければなりません。長時間に及ぶ取り調べや供述の強要、暴力など、違法な取り調べに対しては徹底して対抗すべきです。

違法な取り調べが行われても、被疑者自身ではそれを違法と判断できない場合があります。また、違法なものと判断しても、被疑者自身が捜査機関に対抗するのは簡単ではありません。

弁護士に相談すれば、捜査機関への抗議や準抗告など、適切な手段によって違法な取り調べに対抗できます。

まとめ

警察の事情聴取や取り調べは、今後の人生を大きく左右しかねない重大な場面です。対応を誤れば、意図しない供述調書が作成され、不利な状況に陥る危険があります。だからこそ、一人で悩まず、刑事事件に精通した弁護士の助言を受けながら適切に対応することが大切です。

当事務所では、これまで数多くの刑事事件に対応してきた経験を活かし、事情聴取や取り調べへの対応について丁寧にサポートいたします。警察から呼び出しを受けて不安を感じている方、どう対応すべきか迷われている方は、ぜひ当事務所にご相談ください。