
男女間のトラブルやSNS上でのトラブルにおいて、近年問題視されることが多い「裸の写真を送らせる」という行為。軽い気持ちや一時の感情だったとしても、送らせた側としては「刑事事件に発展して逮捕されるのではないか」という点が最も気になるはずです。
実際のところ、裸の写真を送らせる行為には、刑法をはじめ様々な法律が関係しており、深刻な刑事責任を問われる可能性が十分にあります。
本記事では、裸の写真を送らせる行為がどのような犯罪に該当するのかなどについて解説しています。
2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました。旧制度や過去の事件に関連する場合は、懲役・禁錮と表記している場合もあります。
裸の写真を送らせる行為は犯罪になることがある
裸の写真を送らせる行為は犯罪になることがあります。どのようなシチュエーションで犯罪となりうるのかを確認しましょう。
| 罪名 | 刑罰 |
|---|---|
| わいせつ物頒布等罪 | 2年以下の拘禁刑 もしくは250万円以下の罰金 もしくは科料 または拘禁刑および罰金の併科 |
| 児童買春・児童ポルノ禁止法違反 | 1年以下の拘禁刑 または100万円以下の罰金 |
| リベンジポルノ防止法違反 | 3年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
| 強要罪 | 3年以下の拘禁刑 |
| 映像送信要求罪 | 1年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
わいせつ物頒布等罪
有償で頒布する目的で裸の写真を送らせる行為は、わいせつ物頒布等罪(刑法第175条)に該当します。
刑法第175条第1項では、わいせつな文書や図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布、公然と陳列した者が処罰されます。これは自分が保持しているわいせつ物を頒布・陳列することを処罰するもので、裸の写真を送らせただけでは該当しません。しかし、2項は「有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者」は前項と同様とする旨規定されており、有償で頒布する目的で裸の写真を送らせてこれを保管すると該当します。
わいせつ物頒布等罪については、2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金もしくは科料が規定されており、拘禁刑及び罰金を併科されることもあります。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
18歳未満に裸の写真を送らせることは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下児童買春・児童ポルノ禁止法)に違反する犯罪です。18歳未満に裸の写真を送らせる行為は、児童ポルノの製造を禁止する児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第3項に違反する犯罪です。また、その写真を所持することも児童ポルノの所持に該当し児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第1項に違反し同様に犯罪となります。
以上の犯罪は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられます。

リベンジポルノ防止法違反
裸の写真を送らせてリベンジポルノに利用した場合には、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下リベンジポルノ防止法)に違反する犯罪です。
元交際相手・元配偶者のわいせつな画像などを、復讐(リベンジ)目的で頒布する行為を、リベンジポルノといいます。第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、インターネットを通じて裸の写真などを不特定多数に提供することは、リベンジポルノ防止法第3条1項で禁止されています。
違反した者には、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられます。

強要罪
相手の意に反して強制的に裸の写真を送らせた場合には刑法の強要罪(刑法第230条)が成立します。
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせる犯罪を強要罪といいます。相手を脅して裸の写真を送らせた場合には強要罪が成立します。
強要罪は3年以下の拘禁刑に処せられます。
映像送信要求罪
16歳未満に裸の写真を送るように要求すること自体が犯罪です。
刑法第182条3項は、16歳未満の者に次の映像を送信することを要求した場合、犯罪になると規定しています。
- 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態
- 膣または肛門に陰茎を除く身体の一部や物を挿入しまたは挿入される姿態
- 性的な部位(性器・肛門若しくはこれらの周辺部・臀部又は胸部)を触りまたは触られる姿態
- 性的な部位を露出した姿態
これらに該当すると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。
被害者と示談をすることが最も大切
裸の写真を送らせた行為が犯罪に該当する場合の対処方法として、被害者と示談を行うことが挙げられます。
本記事で紹介したように、裸の写真を送らせた行為が犯罪に該当する場合、その罪は重く、逮捕される可能性があります。性犯罪での逮捕は社会生活に対する影響が大きく、家族や勤務先の信頼を一気になくすので、絶対に避けるべきといえます。被害者と示談をすれば、逮捕される可能性が低くなり、すでに逮捕されている場合は釈放が早まることもあります。そのため、示談を進めることが最善策です。
ただし、場合によっては被害者が高額な金銭を要求したり、違反行為を口実に繰り返し金銭を求めてくる可能性もあります。そのため、示談交渉は弁護士に依頼し、代理で進めてもらうことをおすすめします。

まとめ
本記事では、裸の写真を送らせる行為が該当する犯罪と、その厳しい刑罰について解説しました。
ほんの軽い気持ちや一時の感情だったとしても、裸の写真を送らせる行為には多くの法律が関係しており、最悪の場合は逮捕され、社会生活や家族の信頼をすべて失うリスクがあります。
もし、すでに写真を送らせてしまい、トラブルに発展しそうな場合は、一刻も早く被害者と「示談」を行うことが最善の回避策です。しかし、当事者同士での交渉は、感情的にこじれたり、法外な金銭を要求されたりするリスクがつきまといます。
仙台青葉ゆかり法律事務所では、性犯罪関連の示談交渉や刑事弁護に取り組んでいます。手遅れになって後悔する前に、まずは弁護士へ相談し、冷静かつ迅速に対応を進めていきましょう。







