身に覚えのない犯罪で逮捕されたら?冤罪被害を防ぐために

身に覚えのない犯罪で逮捕されたら?冤罪被害を防ぐために

普通に暮らしていたのに、全く身に覚えのない犯罪で逮捕される…。このようなことは現実に起こり得ます。このような冤罪の被害に遭った場合、どう対応するべきなのでしょうか。

本記事では、身に覚えのない犯罪で逮捕された冤罪被害に対する対応策について解説します。

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冤罪とは

冤罪とは、無実であるのに犯罪者として扱われることを指す一般的な用語です。

冤罪の定義には、犯罪を行っていないにも関わらず有罪判決を受ける場合や、単に犯罪者として扱われる場合などが含まれ、明確な定義はありません。よくセットで使われる「痴漢冤罪」という言葉は、痴漢をしていないにも関わらず痴漢をしたと疑われるという意味です。

誤認逮捕とは?冤罪との関係は?

なお、近い言葉として誤認逮捕がありますが、冤罪とはどのような関係にあるのでしょうか。

誤認逮捕とは、犯罪を犯していないにも関わらず逮捕されることを指す一般的な用語です。誤認逮捕は刑事事件の流れの中の一つである逮捕に限定され、犯罪者として扱われること一般を指す冤罪における一つの出来事といえるでしょう。

身に覚えのない犯罪で逮捕された場合に起こる不利益

身に覚えのない犯罪で逮捕された場合、次のような不利益を受けます。

犯罪の被疑者として身柄拘束される

犯罪の被疑者として身柄拘束されます。

逮捕とは、捜査機関が犯罪の被疑者を強制的に身柄拘束する行為のことをいいます。逮捕は最長72時間可能で、その間は留置所に留め置かれます。自宅には戻れないことはもちろん、会社に出社・連絡することができません。

逮捕に引き続き勾留の手続きが取られると、被疑者勾留では最長20日間、起訴されると最初は2ヶ月間、以後は1ヶ月ごとに延長がされ、刑事裁判が終わるまで身柄拘束が続きます

警察から取り調べを受ける

警察から取り調べを受けます。

単に身柄拘束をされるわけではなく、その間警察から取り調べを受けることになります。身に覚えがない場合に犯行を否認すると、より厳しい取り調べを受ける可能性が否定できません。厳しい取り調べから解放されるために、やってもいない事実をやったと自白させられることは、冤罪を生む大きな要因となります。

家宅捜索を受け、押収される

警察による家宅捜索を受け、犯罪に関係のあるものについて差押えがされます。

刑事事件では証拠を収集するために、裁判官が捜索差押令状を発布すると、警察は被疑者が所持している物を捜索し、差し押さえを行います。その結果、自宅や職場が捜索されることになり、同居する家族に迷惑をかけたり、職場に自身の逮捕が知られてしまう場合があります。

面会が制限されてしまう

逮捕により面会が制限されてしまいます。

逮捕は罪証隠滅・逃亡のおそれがあることから行われるため、これらを防止する必要があります。そのため、家族などとの面会が制限されており、この間に面会できるのは弁護士のみとなります。

勾留後は面会は可能ですが、頻度・時間・差し入れられる物品などは制限されているほか、接見禁止命令が出ている場合には弁護士以外は面会できません。

有罪となってしまう

実際に犯罪を行っていないにも関わらず、有罪となってしまうことがあります。

身柄を拘束され、取り調べで不当に誘導された結果、やってもいない犯罪を自白してしまうことがあります。これをもとに起訴され、裁判でも適切に覆せないと、そのまま有罪となってしまうことがあります

身に覚えのない犯罪で逮捕された場合の対応方法

身に覚えのない犯罪で逮捕された場合の対応方法は次の通りです。

弁護士に依頼する

基本的な対応方法として弁護士に依頼することをおすすめします。

身に覚えのない犯罪で逮捕された場合には、捜査機関に無実であることを伝えるために、犯罪事実を行っていないことを証拠で示す必要があります。犯罪を行ったとされる時間に別の場所に居たアリバイになる証拠を取得するなどの必要がありますが、被疑者自身は身柄拘束されており、積極的な行動を行えません。

そのため、弁護士(私選弁護人)に依頼することをおすすめします。私選弁護人の選任は本人又は家族が可能です。

逮捕直後に当番弁護士を呼ぶ

逮捕直後に当番弁護士を呼びましょう。

逮捕直後に一度に限って弁護士会が無料で弁護士を派遣してくれる制度が当番弁護士の制度です。被疑者本人や家族の要請があれば弁護士が派遣されるので、警察に当番弁護士を呼び、アドバイスを受けましょう。

被疑者国選弁護制度を利用する

被疑者国選弁護制度を利用しましょう。

上述したように、無実を証明するには弁護士のサポートが欠かせません。しかし、私選弁護人を雇うには費用がかかり、経済的余裕がない場合は相談や依頼が難しくなるでしょう。

このような場合に、国が費用負担して弁護士を選任する「被疑者国選弁護制度」の利用が可能です。もっとも一定の資力に関する要件が設けられており、弁護士を選べないので注意しましょう。

供述調書へのサインは特に注意する

供述調書へのサインは特に注意しましょう。

供述調書とは取り調べの内容を記載したもので、後に証拠として利用されるものです。身に覚えのない逮捕をされて否認をしている場合、警察が自白があったことを証拠とするために、実際には供述していない事実を記載していることがあります。にも関わらず、サインをしてしまうと、供述していないことを供述したことになってしまい、不利な状況に追い込まれます。

供述調書にサインをする際は、内容が正確であるか確認した上でサインをしてください。

まとめ

本記事では、身に覚えのない犯罪で逮捕された場合の対応方法について解説しました。

身に覚えのない犯罪で逮捕される可能性はゼロではありません。そのような場合、適切に対応して身の潔白を証明することが重要です。そのためには、弁護士のサポートが欠かせません。早めに弁護士に相談することをおすすめします。